芸能界などのエンターテイメントの分野で仕事をしてみたいと考える障害者やタレントと身近に関わりながら仕事をしてみたいと考える障害者は多いです。こうした芸能業界で長く安定して働きながら携わりたいとき、もっとも一般的なのが芸能事務所です。芸能事務所のスタッフとして勤務すれば、こうした夢がかなう可能性があります。
また芸能事務所には広告や映像制作を手掛ける会社があるため、これまで広告やメディア業界で働いていた障害者がスキルを活かして転職することもできます。
ただ芸能事務所などの芸能関係の求人は人気があり、一般枠とは別で設けられている障害者枠の採用でもハードルは高いです。
芸能事務所の障害者枠の求人にはどのようなものがあるのでしょうか。以下では、障害者雇用で芸能事務所へ転職したり、芸能界の仕事に長く安定して働いたりするための求人の選び方について解説します。
もくじ
芸能事務所の求人は障害者雇用は少ない
芸能事務所は大小さまざまな規模の会社が存在しますが、障害者枠の求人数は少ないです。以下は、転職サイトで「芸能事務所」の求人を「正社員」で検索したときの結果です。
全国で531件の求人です。次に検索条件に「障害者採用」の条件を加えて検索した結果は以下の通りです。
検索結果は、わずか1件です。このように芸能事務所の求人は、障害者枠はかなり少ないことがわかります。これは芸能事務所の場合、障害者の雇用義務が課されるほどの大きな会社がほとんど存在しないからです。
一般的に事業所は一定規模以上になると障害者の雇用義務が発生します。このため一般枠の採用とは別に障害者枠を設けて積極的に障害者を雇用しようとします。
ただ俳優やタレントなどの芸能人は芸能事務所との社員ではなく契約関係のため、大手芸能事務所でも実際の社員数は少ないです。一般的に芸能事務所の社員数は平均10人程度です。一方で100人を超える社員数の芸能事務所は全体の1%程度です。
このため障害者枠の芸能事務所の求人はほとんどないということを理解しておきましょう。
障害者雇用求人は大手芸能事務所に限られる
ただ規模の大きな芸能事務所であれば障害者雇用求人があります。大手では前述の通り障害者雇用義務があるので、一般枠とは別枠で障害者枠の採用を行っています。
また大手の芸能事務所は分業や業務の専門化が進んでいます。このため求人内容がマネージャーや企画・制作だけではありません。事務職などのバックオフィスの部署があります。
例えば以下は、大手芸能事務所の障害者雇用の求人です。
事務系から現場系まで幅広い職種の求人です。この求人は通年のオープンポジション採用なので本人の特性のほか欠員補充や会社で進行している事業など会社の都合によって採用後に配属が決まります。
芸能事務所の仕事といえば芸能マネージャーの仕事を考える人が多いですが、この求人に記載されている通りマネージャー以外の仕事が相当あります。例えば以下の通りです。
- 経理、総務、人事
- スポンサー獲得営業、チケット販売営業
- 広告・宣伝
- 映像制作、ネット配信、DVD販売
- 劇場企画・運営
- タレント養成学校の運営
芸能業界特有のコンテンツの企画・制作や販売のほかに一般の会社と同じ様な事務職・営業職があります。このように大手では芸能マネージャーの仕事は芸能事務所の中ではほんの一部に過ぎないことがわかります。
なお前述の通り芸能事務所には障害者雇用の求人がほとんどありません。このため知名度が高いこの求人のような大手芸能プロダクションでは、たとえ障害者枠でも競争は激しいです。
こうした理由から障害者枠で芸能事務所で働くためには、採用までのハードルが高いです。また求人では職種の選択の余地がなく、希望通りにいかないことがあることを理解しておきましょう。
成長中のネット関連の芸能事務所求人
芸能事務所に求人が少ない理由のひとつは芸能事務所がネットへの対応に遅れているからです。芸能事務所はテレビ局との強いつながりが武器です。ただ娯楽の中心がネットへ移行しているため、テレビ業界と同様に業績が伸び悩んでいます。
一方、ネット配信で活躍するタレントをマネージメントしたり映像企画・制作したりすることで業績を伸ばしている会社があります。こうした会社には障害者雇用求人が存在します。
例えば以下はネット配信のタレントを専門に管理する会社の障害者雇用・正社員求人です。
タレントのマネージャーの求人ですが、そのほかに映像制作や営業、管理などの求人があります。なお配属先は本人の特性や会社の現況を踏まえて決まります。
このように芸能プロダクションの仕事は従来のテレビ業界だけではありません。この求人のようにエンタメ系ネット関連のタレントのマネージャー求人もあります。また、このような会社ではネットの娯楽番組の配信や広告制作などの事業が多様なのでこれらの仕事にも携わることがあります。
障害者がエンターテイメントの分野で長く安定して働きたいとき、こうした成長分野の求人で選択の幅を広げることが大切です。そして昔ながらの芸能事務所では学べないような知識やスキルを習得して、時代の流れに合った働き方ができるようにしましょう。
番組制作求人で選択の幅を広げる
このように障害者雇用の求人で芸能マネージャーなどの芸能事務所の仕事にしばられていては求人の選択肢は少なくなります。それでは障害者が芸能界でエンタメ関連の仕事をしたいとき、障害者雇用の求人で選択肢を広げにはどうしたらいいでしょうか。
このとき、番組の映像制作や放送の仕事の求人も視野に入れることが必要です。そうすれば選択できる求人数を増やすことができます。番組制作を通して芸能人と身近に関わりながら仕事をすることで希望をかなえることができます。
なお芸能事務所にもタレントの管理だけでなく、前述の通り映像制作や広告制作を手掛ける会社もあります。ただ番組制作ができるような会社はノウハウや資金を持つ一部の大手に限られます。
そこで芸能事務所の求人とは別にテレビ局や番組制作会社などの求人に目を向けましょう。そうして選択できる求人の数を増やしましょう。
以下で、番組制作関係の会社の詳しい求人内容をみていきます。
多くのテレビ局に障害者雇用求人がある
テレビ局の番組制作のうちエンタメ部門では直接芸能界の仕事に関わることができます。テレビ局は芸能事務所に比べて会社の規模が圧倒的に大きいです。このためテレビ局の規模であれば法定の障害者雇用義務がある会社が多く障害者雇用の求人があります。
ただテレビ局は人気就職先であり、たとえ障害者雇用でも採用までのハードルが高いです。また東京や大阪の大手テレビ局は障害者の正社員雇用が少ないです。非正規雇用求人では長く安定して働くことができません。
そこで地方のテレビ局にも視野を広げましょう。例えば以下は地方テレビ局の障害者雇用正社員求人です。
テレビ局の事務や企画・制作、情報技術まで様々な職種の求人です。配属は本人のスキルや特性などを考慮して決定します。地方テレビ局ではニュースや報道番組が中心になりますが、情報番組などの娯楽系番組も制作しています。このため情報番組の制作に携わることができれば、地元タレントなどの出演する番組制作に関わることができます。
テレビ局の障害者雇用求人は芸能事務所よりもはるかに多いです。このため芸能の仕事に携わろうとするとき、芸能事務所よりもテレビ局の求人の方がチャンスは広がります。
ただ障害者雇用は地方テレビ局の一部に限られるため応募者が多く地方のテレビ局も狭き門です。またテレビ局に採用されたとしても希望する部署に配属されない可能性があります。
このように障害者がテレビ局で勤務しようとするとき、いくつものハードルがあります。ただ芸能事務所の求人だけではあまりにも選択幅が狭いので、テレビ局の求人にもチャレンジしましょう。
番組制作会社にも障害者雇用求人が存在する
一方で番組制作会社の求人であれば、テレビ局の求人に比べて芸能業界で仕事ができるチャンスが増えます。番組制作会社にはテレビ局と同じように障害者雇用義務が課されるくらいの大きな規模の会社があるからです。
また前述の通り芸能事務所だけでなく、テレビ局も採用までの競争は激しいです。このため求人の選択肢は増やす必要があります。このとき同じテレビなどの番組制作会社に目を向けるようにしましょう。
例えば以下は、番組制作会社の障害者雇用・正社員求人です。
NHKの番組制作会社で映像制作や編集の仕事です。ニュースや娯楽番組のほか、ドキュメンタリー制作に携わります。
このような求人であればテレビ局に比べて番組制作に関わるチャンスは増えます。そして番組制作を通して芸能人と仕事ができます。また番組制作のスキルを学ぶことで芸能界やエンタメなどの芸能界の分野で必要とされ、長く安定して働くことができます。
タレントやアナウンサーなどの身近で働くことにあこがれている障害者は芸能事務所だけでなく、こうした番組制作分野にも目を向けて求人選びをしましょう。
まとめ
芸能事務所の求人は少なく障害者雇用はほとんどありません。そこで従来の芸能事務所求人とは違う分野にも目を向けて求人を探す必要があります。このときネットのタレントを専門に管理するなど、成長分野の会社にも目を向けましょう。
また、このような芸能事務所以外で芸能に関わる方法はテレビ局や番組制作会社の障害者枠の求人です。これらの会社でも障害者雇用求人は大手に限られますが、芸能事務所の求人に比べれば数が多いです。
このように芸能に携わって求人を選ぶとき、芸能事務所だけにしばられては求人数が少なすぎて転職で成功できません。そこでテレビ局や番組制作なども選択肢に入れて求人選びをしましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。