ADHD(注意欠陥多動性障害)の診断を受けた看護師の人たちは、多忙だったり人間関係につまずいたりして転職を考えることが多いです。看護師の仕事は、ADHDの特性には向いていないことが多いからです。

たとえば看護師の仕事は、複数の仕事を同時にこなすマルチタスクやチームワークが必要です。これらのことから、ADHDの看護師は、職場で働きづらさを感じることが多いです。

ただ、自分に合った障害者採用の求人を選ぶことで、看護師でも自分に合った職場を見つけることができます。

そこで、ADHDの看護師が就職や転職するときには、どのような求人を選べばいいのかをみていきます。

ADHDなどの障害に配慮が行き届いた看護師求人とは

病院で働く看護師には、たくさんの患者さんをケアする仕事があります。中にはADHDという障害についての知識や理解が必要な場合もあります。幸いなことに、ADHDの看護師には一定の配慮や理解が示される求人があります。

例えば以下は、大手精神病院の障害者雇用・正職員求人です。

看護師の障害者の正職員求人です。この求人の勤務内容や働き方は以下の通りです。

障害を気にせずに働きやすい環境を作るために、仕事の分担が明確にされています。最初は「投薬」「注射」「監視」「モニター業務」「巡回」という役割に分かれて、一度に複数の仕事をすることはありません。このような職場では、ADHDの症状が問題になることは少ないです。

また、看護のスキルを上げると、以下のようなキャリアアップの機会があります。

自分の仕事のスキルを上げていくと、自分自身の仕事の管理から、組織や他の人との話し合いなど、いろいろなスキルを身につけることができます。少しずつ仕事のレベルが上がっていくんだなとわかります。

ただ、必ずしもすべての病院・施設でADHDなどの障害に合わせた取り組みが行われているわけではありません。このためADHDの看護師自身が、自分自身が求める配慮を明確に伝え、職場環境の改善に向けて働きかけることも重要です。

ADHDへの配慮を明記した障害者雇用求人は少ない

普通、障害者雇用求人には「障害者手帳(精神保健福祉手帳)」が必要とされますが、看護師の場合は必須ではないことが多いです。看護師としての資質やスキルが優先されるからです。

ただし、看護師の仕事において障害に対する支援が必要な場合は、事前に相談して合理的な配慮が行われることが一般的です。

では、ADHDの看護師が障害者雇用求人を選ぶ際のポイントをみていきましょう。

ADHDの雇用実績に注目する

看護師の障害者雇用求人を選ぶとき、雇用実績が重要です。雇用実績がある病院は、ADHDへの配慮や理解が進んでいる組織だといえるからです

以下は、大手総合病院の障害者雇用・看護師求人の例です。

この求人は一般の病院で働く病棟看護師を募集しています。応募条件は「看護師の資格」を持っていることだけです。一般的な障害者雇用の求人とは異なり、障害者手帳を持っていることは求められません。ただし、この求人は以下の通り、過去に障害者を雇用した実績があります。

これまでの雇用実績から、この求人にはADHDという障害を持つ人が働いていた経験があります。求人内容には、ADHDに関連する配慮があることがわかります。例えば、業務のスピードに配慮がされているなどです。このような求人では、ADHDの特性に理解があり、適切なサポートが提供されている可能性が高いです。

ADHDの看護師にとって、自分に合った求人を選ぶことが大切です。採用実績のある場所は、障害者雇用に積極的な組織で、採用後の福利厚生や職場環境も整っている可能性があります

ただし、ADHDの症状の程度によって求人の適性は異なるので、自分の症状を理解し、自分に合った求人を選ぶことが重要です。しっかりと考えて求人を選びましょう。

【求人別】ADHDの看護師の障害者雇用求人選びのポイント

看護師の障害者雇用求人には、障害への配慮が明記されていない場合であっても、自分の特性や働き方についてしっかりと説明することが大切です。そうすることで、職場で理解や配慮がなされる可能性があります。

しかし、理解や配慮を得ることは簡単ではありません。自分自身も工夫や配慮をする必要があることを忘れずに、努力して取り組んでいきましょう。

以下では、看護師の障害者雇用・正職員求人の特徴や選び方のポイントを紹介します。これを参考にして、自分に合った求人を選ぶ手助けにしてください。

精神病院だとADHDへの理解が期待できる

看護師の求人では、ADHDへの配慮や理解が明記されていないことがほとんどです。そのため、ADHDの看護師たちは職場で理解や配慮が得られないまま働くことに不安を感じることが多いです。

しかし、精神病院は例外があります。精神病院では、ADHDを含むさまざまな精神疾患に対して深い理解があり、配慮についても一定の知識を持っています。多くの医療従事者が精神疾患に関する専門知識を持っているためです。

また、精神病院では精神疾患を抱える患者さんが多く、障害への理解や配慮が重要視されています。精神病院の障害者雇用求人には、いくつかの特徴があります。

以下は、精神病院の障害者雇用・正社員求人の一例です。

大手の精神病院では、病棟の看護師の求人です。ここでは、ADHDを抱える患者さんが多いため、ADHDの看護師が働くのに有利な環境です。

この求人では、勤務体制は24時間体制です。つまり、患者さんの健康管理や医療処置をするために、日中も夜間も働く必要があります。

この求人の勤務体制は以下の通りです。

大手の精神病院では、病棟の看護師の求人があります。週に2日休みがあり、1年間で120日もの休暇が取れるので、休みの充実度は高いです。ただし、シフト勤務のため、土日や祝日が必ずしも休みとは限りません。朝が苦手だったり、定時に帰るのが難しい場合もありますが、夜勤やシフト勤務は比較的柔軟に対応できることがあります。

精神病院では、患者さんの安全管理がとても重要です。看護師は常に患者さんの状態を監視し、自傷や他傷のリスクがある場合には適切な対策を取らなければなりません。そのため、ADHDの看護師は、患者の安全管理において十分な配慮が必要です。もし自己管理に苦労がある場合は、上司や同僚に相談することが大切です。

求人選びにおいては、ADHDへの理解と配慮が得られる職場を見つけることが重要です。精神病院での働き方のメリットとデメリットを理解した上で、自分のADHDの特性に配慮して求人を選びましょう。

ADHDの病棟看護師の求人に転職するときのメリットや特性の活かし方

大きな病院では、病棟看護師が障害者採用の求人で募集されています。病棟看護師の仕事には、専門的な知識やスキルを身につけることができるメリットがあります。ただし、患者さんの状態が急変することがあるため、いつも緊張感を持って勤務する必要があります。

病棟看護師の求人は、ADHDの特性にとってもいくつかのメリットがあります。シフト制で働くことができるので、ADHDの通院や治療の時間を確保しやすいからです。

以下は、大手病院の看護師の障害者雇用の求人の一例です。

看護業務全般の求人です。準夜勤や深夜勤務などのローテーション勤務です。なお、夜勤手当がつくため給与は高めです。この求人の勤務シフトの詳細は以下の通りです。

 

病棟看護師の仕事は、日勤だけでなく、夕方から深夜までの時間帯や深夜から朝までの時間帯でも働くことがあります。具体的な勤務時間は、午後4時30分から午前0時30分までや午前0時から午前9時までです。

夜間の勤務は、心身に負担がかかることもありますが、日中の休みを利用して自由な時間を過ごしたり、通院に行ったりするのには適しています。

以下の写真は、病棟看護師の仕事の一例です。

こうした病棟看護師として働くときに、ADHDの特性が活かせるケースは以下のような点が考えられます。

  • 緊急事態への迅速な対応
  • ワークフローが決まったタスクへの対応
  • 創造性と柔軟な思考

ADHDは、刺激に敏感で即座に反応する力があります。特に急性期の病棟看護師は、緊急事態や急変に素早く対応する必要があります。ADHDの特性を生かし、迅速な行動によって、患者の安全と健康を守ることができます。

ただし、病棟看護師は複数のタスクを同時にこなす必要があります。一方で、ADHDの人は複数の仕事を同時進行することが苦手です。

しかし、仕事の優先順位が明確で、ワークフローが定まっている場合には、ADHDの人は高い能力を発揮することが多いです。

病棟看護師は忙しい仕事ですが、ADHDの看護師は創造的なアイデアや柔軟性を持って、様々な業務を遂行し、患者のケアに貢献することができます。

ただし、ADHDの看護師が病棟看護師に適しているかどうかは、一概には言えません。ADHDの症状には注意力や集中力の欠如、衝動性、多動性などがありますが、個人によって差があり、症状の重さも異なります。自分自身の特性を正確に理解し、慎重に求人を選ぶことが大切です。

ADHDの看護師にとって老人介護福祉施設の看護師求人の適性とは

老人介護福祉施設では、日常の業務やケアプランが決まっており、予測しやすいスケジュールが組まれています。これによって、ADHDの特性である気が散ってしまったり、時間管理が難しいという問題に対処しやすくなります

また、老人介護福祉施設では、高齢者の健康状態や認知症などの特別なニーズに対応するため、看護師には幅広い知識やスキルが求められます。ADHDの看護師がこのような環境で働くことで、経験を積み、専門知識を身につける機会が得られます。

以下は、特定養護老人介護福祉施設の室内の様子です。

老人介護福祉施設では、入居者との長期間にわたる関係を築くことができます。ADHDの看護師の中には、コミュニケーションスキルに長けている人もいます。彼らは入居者との個別のケアプランやニーズに合わせた関係性を築くことが得意であり、入居者のケアに効果的に貢献することができます。

以下は、社会福祉法人の正職員の障害者雇用・看護師求人の一例です。

老人介護福祉施設の求人です。こうした施設の求人の特徴は、入所者の健康状態の急変時、呼び出しがかかることがあります。この求人の勤務条件は以下の通りです。

この求人では、1年に114日も休みがあり、時間外勤務はあまりありません。ただし、休みの日はシフト制であり、土日や祝日が必ずしも休みではないことや、夜勤の勤務があることに注意が必要です。

看護師の夜勤勤務は、日中の活動とは逆の生活リズムになるため、十分な睡眠を確保するのが難しいかもしれません。ADHDの特性の一つには、注意力が欠けたり衝動的な行動が起こりやすいということがあります。そのため、睡眠不足や不規則な睡眠スケジュールは、ADHDの症状を悪化させる可能性があるため、注意が必要です。

また、職場の理解や配慮も大事です。ADHDに対して柔軟な対応をしてくれる求人を選ぶことが望ましいです。理解のある職場で働くことで、より働きやすくなるでしょう。

ADHDの看護師にとってメリットが多い訪問看護

訪問看護の求人には、障害者雇用のチャンスがあります。特にADHDの看護師の方にとって、この仕事は適している場合があります。

訪問看護では、自分自身でスケジュールを管理することが求められます。そのため、時間管理が苦手な人でも自分のペースで仕事を進めることができます

また、訪問看護では患者さんの自宅を訪問するため、毎日同じ場所で働く病院勤務とは異なり、変化に富んだ環境で働くことができます。これは、ADHDのように刺激を求める人にとってはぴったりの職場かもしれません。

以下は、障害者雇用の訪問看護の正職員求人の一例です。

この求人のメンタルケアのお仕事は、心と身体の健康をサポートする仕事です。1つのケースには1時間かけて、1日には5人の患者さんを訪問します。給料は月給で高くなっています。ただし、病院で働く人と比べて、設備が整っていない場合もあります。そのため、知識やスキルが必要であり、責任も大きいのです。

以下に、この求人の勤務条件があります。

夜間訪問をすることはなく日勤勤務であり、土日、祝日の週休二日制です。なお、年間休日も113日となっており、比較的多いです。

このため訪問看護は、心身の負担がかからないように規則正しい生活が必要なADHDの看護師にとっては適性があります。

ただ訪問看護は、1人で行動することが多いため、ADHDのようにマンツーマンのコミュニケーションが苦手な人には向いていないかもしれません

こうした特徴が、ADHDの看護師が訪問看護の求人へ就職・転職する際のメリットとデメリットになりますが、ADHDの人には個人差があるため、自分自身がどちらが向いているか、よく考えた上で転職を検討することが重要です。

夜勤勤務のある施設看護求人の特徴

夜勤の施設看護の仕事も、看護師の障害者求人の中にはあります。ADHDの看護師にとって適性があると考えられる点は、夜勤の時間帯が静かで落ち着いており、日中の騒がしい環境よりも集中しやすいことです。

また、夜間の勤務では人員が少ない場合があるため、自分の裁量で働く余地が大きく、自分のペースで仕事を進めることができる可能性があります。

また夜勤手当が支給されるため、収入面でもメリットがあります。以下は、夜勤看護師の障害者雇用・正職員求人の一例です。

このお仕事は、施設内での夜勤看護業務を担当します。仕事内容は、患者さんの介助や医療措置だけでなく、施設内を巡回したり、緊急時に対応したりするなど、様々なことを行います。

この求人の勤務条件は以下の通りです。

夕方から翌日朝までの勤務となります。勤務中には途中で2時間の休憩時間もあります。

ただし、このような夜勤勤務は生活リズムが乱れやすく、睡眠不足になりやすいため、ADHDの症状が悪化する可能性があります。また、夜勤勤務による生活習慣の変化や睡眠不足が原因で、ミスや事故が起こる可能性もあるため、注意が必要です。

以上のように、夜勤の施設看護師への転職にはメリットとデメリットがあります。ADHDの症状を考慮しながら、自分に合った働き方を見つけることが重要です。また、夜勤の施設看護師に転職する前に、自分のADHDの症状をしっかりと理解し、適切な対処方法を考えることも大切です。

ADHDが看護師で就職・転職するときはエージェントを利用した方が効率的

ADHDの看護師が転職する際に、求人情報を自分で見つけたり、履歴書や面接の準備をするのは難しいかもしれません。一般的には、多くの人はハローワークを使いますが、求人の質はさまざまです。そこで、障害者雇用の転職エージェントを利用するとメリットがあります。

転職エージェントを利用すると、自分が求める求人情報を簡単に見つけることができます。ADHDの特性で、情報が多いと苦手に感じたり、手続きが複雑だと困ることがあります。しかし、転職エージェントを使えば、自分の条件に合った求人を比較的簡単に見つけることができます。

また、転職エージェントは求人情報だけでなく、履歴書や面接の準備もサポートしてくれます。ADHDの特性で、細かいことに気が回りにくい傾向がありますが、転職エージェントを使えば、自分が見逃しているポイントに気づくことができるかもしれません。エージェントと話すことで、自分の強みやアピールポイントを見つけることもできるでしょう。

以上のように、転職エージェントを利用すると、ADHDの看護師が求める求人情報をスムーズに見つけるだけでなく、履歴書や面接の準備にもアドバイスを受けることができます。自分自身の市場価値を高めるためにも、転職エージェントの利用は重要です。これらのポイントを理解して、転職エージェントを活用しましょう

まとめ

ADHDに配慮が行き届いた看護師の障害者求人は、大きな病院や精神病院など、マルチタスクを避けて分業化が進んだ職場が多いです。特にADHDの雇用実績のある職場では、ADHDの看護師への理解や配慮が進んでいることが期待できます。

病棟看護師の求人は専門性が高く、老人介護福祉施設の求人は予測可能なスケジュールがあるため、ADHDの特性に合った働き方ができます。訪問看護や夜勤勤務の施設も自己裁量があり、給与が高いため、ADHDの看護師に適しています。

ただし、自分に合った求人を見つけるのは難しいため、転職エージェントを利用することが効果的です。転職エージェントは特性に合った求人や面接対策のアドバイスを提供してくれます。ADHDの看護師は自分自身の特性や経験を見直し、転職エージェントを活用して成功するために努力しましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。