「地元で働きたい」と考えている障害者や、「都会の喧騒から離れて働きたい」と考えている障害者は多いです。こうした障害者は、地方の障害者雇用求人を探しています。

ただ地方は、都会に比べて障害者雇用求人は圧倒的に少ないです。

このため障害を伏せて一般枠の求人で就職し、職場で障害への理解や配慮がないまま働いていたり、自分の障害や適性に合わないまま不本意に働いたりしている場合があります。

一方で、少ない地方の求人の中から就職・転職して充実した働き方をしている障害者もいます。こうした障害者には共通の成功の秘訣があります。それは、地方の障害者雇用求人の特徴を理解して求人の選択肢を広げ、自分の適性や希望に合った求人選びをすることです。

そこで以下では、障害者が地方で就職・転職するときに理解しておくべきことや、求人の選び方を解説します。

地方は障害者雇用求人が少ないため就職・転職する方法が限られる

前述の通り、地方の求人は少ないです。その中でも障害者雇用は、さらに少なくなります。

一般枠と障害者雇用枠の求人数は、どのくらい違うのでしょうか。

例えば以下は、地方の求人の一例として九州7県(福岡、佐賀、長崎、熊本、大分、宮崎、鹿児島)の障害者雇用を含むすべての正社員の総求人数です。

九州すべての正社員求人数は、約29万件です。次に同じ九州で、障害者採用に絞った正社員求人数は以下の通りです。

障害者採用の正社員求人は、九州でわずか447件です。これは求人全体の0.15%にすぎません。

このように地方の正社員の障害者雇用求人数は、一般枠に比べて圧倒的に少ないです。このため地方の障害者の中には、障害を伏せて一般枠で就職や転職をしようとする場合があります。

ただ、一般枠の求人は慎重に検討した方がいいです。

発達障害である私の場合は新卒時に障害を伏せ、一般枠で地場大手の会社に就職することができました。ところがわずか3日で職場の雰囲気になじめなくなり、1週間でや人間関係に嫌気がさし、1か月後には転職を真剣に考え始めました。

このように自分の障害の特性を無視して就職し、職場に理解や配慮が得られないときは、長く安定して働くことは難しいです。

このため、たとえ地方で求人数が少なくても、できる限り職場環境に恵まれている障害者雇用を選んだ方がいいです

ただ地方の障害者雇用は、都会に比べて求人数が少ないです。

例えば以下は、東京都の障害者雇用・正社員求人数です。

東京都内だけで1,528件の障害者雇用・正社員求人があります。

前述の通り、九州7県の障害者雇用求人数は447件だったので、東京都は九州の3倍以上の求人があることがわかります。

東京都の人口は九州7県とほぼ同じ約1300万人くらいです。このため東京の障害者雇用求人は、地方に比べて圧倒的に多いことがわかります。

東京のように求人数が多ければ選択肢が増え、自分に適した求人が見つけやすくなります。

このため障害者雇用で就職・転職するときは、地元など勤務地にこだわるのか、職種にこだわるのかは就職・転職活動の早い段階ではっきりさせておいた方がいいです。
そして、地方の求人に強いこだわりがない障害者は、首都圏や関西圏、名古屋圏など三大都市圏を中心に大都市の求人を探した方がいいです。

・大都市圏は本社事務機能が集中しているため障害者雇用求人が多い

東京などの大都市圏に障害者雇用求人が多い理由は、日本全国だけでなく海外にも展開する大手の会社の本社が集まっているからです。

一定以上の従業員を雇用しているすべての大手の会社には、一定の割合の障害者を雇用する義務があります。従業員の総数のうち障害者雇用数を表す障害者雇用率を達成しなければ、実質的な罰金を支払わなければいけません。このため、中小の会社に比べて障害者を積極的を募集しています。

また、障害者雇用の中心は事務職やその補助職など、バックオフィスの仕事が多いです。このとき本社には事務機能が集中しているため、障害者雇用の求人も本社がある大都市圏に多くなります。

こうした理由から、地方は大都市圏に比べて障害者雇用求人が少ないです。このため、地方の障害者雇用求人選びをするときは、都会と違って限られた選択肢の中から選ぶことになります。

地方求人では職種を絞らず求人の選択肢を増やす

このように地方の限られた障害者雇用求人数から就職・転職先を選ぶためには、条件を絞らず柔軟に幅広く求人を集める必要があります。

「受付がいい」「事務職がいい」「ライン作業はいやだ」というように職種にこだわりすぎるのはよくありません。職種にこだわって就職先を決めてしまっては、勤務地や待遇面など他の条件で不満が残ったまま就職や転職をしなければならなくなるからです。

このとき大手の会社の障害者雇用には、求人で職種を絞らないオープンポジションの求人があります。

例えば以下は、大手自動車部品製造メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

鹿児島県の工場の求人です。募集職種は事務系・技術系・技能職であり、この3つの職種からさらに細かく分類されています。これらはオープンポジションの求人なので、配属される職種は採用後に会社と話し合って決まります。

このように地方求人は数が少ないため、現在希望している職種ばかりで地方の求人集めをしている人は、自分が果たしてその職種にこだわらなければならない理由があるのか、もう一度よく検討することをお勧めします。

そして専門性が高い資格や経験が、適性において職種に強いこだわりが必要がないことがわかれば、職種を絞らず幅広く求人を集めましょう。

地方の障害者雇用の特徴を理解して最適な求人を選ぶ

このとき、障害者は地方の求人をどのような視点で選べばよいでしょうか。以下は、どの地方にも必ずある主な障害者雇用・正社員求人です。

  • 大手・上場会社の工場、支店・営業所
  • 地場大手の会社・病院
  • 警備員、タクシー運転手
  • マッサージ師・看護師・介護士など医療・福祉系の資格職
  • 在宅勤務

これら地方の障害者雇用求人には、豊富なスキルや知識を必要としない求人が多いです。その分給与は大都市圏に比べて低くなります。

ただ、こうした地方求人の特徴を理解すれば、自分に合った求人を見つけることができます。

そこで以下では、これらの求人内容を詳しくみていきます。

障害者雇用は地方都市や郊外の工場求人が多い

地方の障害者雇用の大きな特徴は、地方都市やその郊外の工場求人が多いことです。これは大手メーカーの多くの工場が、地方都市やその郊外に進出しているからです。

日本は韓国や台湾だけでなく、世界の先進国に比べて人件費が年々安くなってきています。このため今後、国内だけでなく海外の工場も地方を中心に、多くの工場が進出してくることが見込まれます。そうしたとき工場求人も増えていき、障害者にとって地方求人の選択肢が増えていく期待をもつことができます。

例えば以下は、国内や台湾・韓国のグローバル企業が進出する熊本県の大型工業団地の様子です。

このような大型工業団地は、全国各地の地方都市郊外に点在しています。また、こうした工場では多くの障害者雇用求人があります。

例えば以下は、大手電機メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

関西や四国の中小規模の都市に立地する工場の求人です。工場求人なので技能職であるライン作業や、生産開発・管理や品質保証などの技術職が中心です。

ただ、この求人はオープンポジションのため、障害や特性に合わせて事務系や技術系、技能系の職種のいずれかで採用されます。

こうした工場求人は、障害者雇用率の達成義務がある大手の会社が大半です。このため以下のようなメリットがあります。

  • 長く安定して働くことができる
  • 福利厚生が充実している
  • 急な用事で休暇を取るときであっても誰かがフォローしてくれる
  • 郊外に立地しているため、車通勤も可能

このように地方の障害者雇用求人では、郊外の工業団地などに立地する大手の大規模な工場の求人が多く、福利厚生や働き方に多くのメリットがあることを理解して求人選びをしましょう。

大手の地域限定社員求人であれば地元で働くことができる

ただ地方の工場求人は、障害者雇用でも転勤の可能性があります。大手メーカーは工場を全国展開しているからです。このため、せっかく地方の求人で地元で働いていても、数年後に転勤の可能性もあります。

例えば以下は、地方都市の郊外に進出している飲料メーカーの工場です。

こうした地方の工場では、地元採用の求人が中心となります。

このとき地元で転居せずに長く働くことができる求人があります。それは地域限定社員求人です。例えば以下は、大手食品メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

各工場を転勤する全国社員求人の他にも、地域限定社員の求人があります。

これは転勤がなかったり、転勤する場合でも転居する必要がない近隣の工場が転勤先だったりする求人です。月給は2万円近く下がりますが、地元で長く安定して勤務できます。

このように地元志向の障害者は、長く安定して働けるように地域限定の障害者雇用・正社員求人を選びましょう。

・大手の会社の地元採用支店・営業所求人

地方であっても、メリットの多い大手の会社に障害者が就職・転職する方法は、工場求人だけではありません。大手の地方支店や営業所では地元採用の求人があります。

例えば以下は、大手証券会社の障害者雇用・正社員求人です。

この求人の証券会社は全国各地に支店があり、それぞれの支店で事務職員として勤務できます。証券会社なので、工場求人のように郊外ではなく地方都市の中心街で勤務します。地域限定職員であり、自宅からの通勤が可能です。

こうした金融・サービス業の地方求人は、事務職や営業職などの求人が一般的です。このため「ライン作業の多い製造業の工場勤務が苦手だな」と考えている障害者や、「有名企業で長く安定して働きたい」と考えている障害者は、こうした大手企業の支店で地元採用の求人を選びましょう。

地場大手・優良企業求人で慣れ親しんだ環境の中で働く

地方の大手会社の障害者雇用求人は、大都市圏に本社をもつ会社だけではありません。地場大手の会社でも、障害者雇用求人が存在します。

例えば以下は、私が以前勤務していた地方銀行の支店です。

大手の会社は前述の通り、一定の割合の障害者を雇用しなければならない障害者雇用率の維持達成が義務になっています。

このため地方でも、地場大手・優良企業は熱心に障害者雇用に取組んでいます。

例えば以下は、大手地方銀行の障害者雇用・正社員求人です。

銀行の本店や事務センターの事務職求人です。資料作成や書類整理などの雑務が業務であるため、高いスキルや経験は必要ありません。

以下は、この求人の応募資格です。

学歴や資格・経験不問です。このため、障害者であれば誰でも応募可能です。

このように地方でも、地場大手の会社では障害者雇用求人があります。こうした会社は地元では名が通っているためステイタスが高く、障害者であっても誇りをもって仕事ができます。

また、歴史の長い老舗企業が多いため社風はのんびりしており、長く安定して働くことができます。

他にも、採用面接では地元への愛着を前面に出してアピールできるため、就職・転職活動も有利な場合もあります。

このため地元を離れて働くことができない障害者や、慣れ親しんだ地元に貢献したい障害者は、地場大手の求人で就職・転職を目指しましょう。

スキルや経験不要の警備員求人

地方の障害者雇用求人には、警備員の求人の割合が多いです。地方の障害者雇用求人は、機械化やIT化だけでは補えない、人の力でしかなし得ない業種や職種の求人の割合が高いからです。

例えば以下は、工事現場で警備員が交通誘導している様子です。

このように機械による効率化が進んでいても、警備員のような人の力でしかなし得ない業種は地方求人には多いです。

このため建設現場やイベント会場には必ず必要となる警備員は、大都市であっても地方であっても必要となる職種のひとつです。

例えば以下は、石川県の警備員の障害者雇用正社員求人です。

工事現場で交通誘導や、店舗の駐車場の交通整理などの求人です。

警備員の業務は、こうした交通誘導の他にもビルやショッピングモールの保安業務など多くの現場を支える業務です。このため、地方であってもニーズが多様なため求人の割合が高いです。

警備員は肉体的には負担のある業務ですが、精神的な負担は事務職などのデスクワークに比べれば軽いです。このため、人並みに体力のある障害者で体を動かすのが苦にならない障害者は、警備員の地方求人を選択肢に入れるようにしましょう。

地方求人ではタクシー運転手の求人が多い

こうした警備の業務と同じく地方の障害者雇用で求人の割合が高いものがタクシー運転手です。

タクシー運転手も警備員と同じように知識や資格・経験を必要としない求人が多いです。

例えば以下は、大分県の障害者雇用・正社員求人です。

タクシー乗務員の求人です。この求人では自動車運転の二種免許証は不要となっています。また、「未経験者でもOK」となっているため、障害者であればだれでも応募可能です。

地方求人では、どの地域でもタクシー運転手の求人数の割合は高いです。このため運転が苦にならない障害者や、精神障害・発達障害でも人並みにコミュニケーションができる障害者であれば、タクシー運転手の求人も選択肢に入れましょう。

資格を活かす医療・福祉系の障害者雇用求人

一方で地方の求人で資格を活かす障害者雇用求人は、医療や福祉系に多いです。障害者雇用の看護師やあん摩マッサージ指圧師、介護士などの割合が高くスキルと資格が必須です。

医療・福祉系の障害者雇用求人のうち、地方の求人ではあん摩マッサージ指圧師が最も多い求人です。

例えば以下は、沖縄県のあん摩マッサージ指圧師の障害者雇用求人です。

障害者施設や障害者宅を訪問して施術を行う訪問マッサージの求人です。この求人の応募資格は、あん摩マッサージ指圧師の国家資格必須となっています。

このように地方の障害者雇用の中では医療・福祉系の求人の割合が高いため、これらの業種で資格を持つ障害者は有利です。資格を活かして有利に就職・転職活動を進めをしましょう。

地域の大手の病院に資格がなくても応募できる事務・看護の補助職求人

地方に多い医療・福祉系の障害者雇用の中で、最も多い求人は地場大手の病院です。大手の病院には、大手の民間の会社と同じく障害者雇用率を維持・達成する義務があるからです。

病院の障害者雇用に多い求人は、看護師や事務職です。ただ看護師は国家資格が必須の専門職であり、看護師の資格を持つ障害者の数は限られています。

また病院は医療事務であり、一般の会社の事務職と違って高い知識が必要とされるため難易度が高いです。

このとき障害者雇用では、専門資格や高い知識が不要の補助職求人があります。例えば以下は秋田県の精神病院の障害者雇用・正職員求人です。

看護業務の補助として清掃や洗濯、片付けなどの雑務です。こうした単純作業であれば資格やスキル、経験がなくても誰でも応募できます。また身体や精神障害だけでなく、障害の程度にもよりますが知的障害者でも応募可能です。

このように地方の障害者雇用求人では病院の求人の割合が高いです。このため医療系の資格やスキルを持たない障害者は、病院の事務や看護の補助職で選択肢を増やしましょう。

すべての障害者に適した在宅勤務求人

障害者に人気の求人のひとつが在宅勤務の求人です。ネット環境さえあれば都市部在住であっても、地方在住であっても自宅で仕事ができます。
在宅勤務であれば煩わしい職場の人間関係や、受付・電話対応などから解放されるため、対人不安の強いうつや精神障害者、発達障害者に適しています。また、通勤が困難な身体障害者も適しています。

例えば以下は、IT企業の障害者雇用・正社員求人です。

デジタル広告会社の一般事務の求人です。スキルや経験に合わせて職種が決まる事務系オープンポジションの求人です。業務内容や業務量については、障害に応じて配慮されることが明記されています。

また定型業務なので、高いスキルが必要ありません。このため精神障害者やうつ、発達障害者のように、繰り返し同じ作業に没頭して取り組むことができる障害者に適しています。

なお、この求人の勤務地などの詳細は、以下の通りです。

在宅勤務が原則であるため、障害者であれば全国どこからでも求人に応募できます。応募条件は1年以上の事務経験が必要ですが、エクセルの操作ができればOKなので高いスキルが必要ではありません。

こうしたリモートワークの職場環境は年々整備されているため、障害者雇用であっても在宅勤務の求人数は増加しています。在宅勤務は心身の負担が少ないため、どのような障害者に適しています。

事務系の在宅勤務は障害者に人気があるため、採用までの競争率は高いですが、ワードやエクセルなどのソフトを使うパソコンスキルのある地方在住の障害者は、在宅勤務の求人に挑戦しましょう。

まとめ

地方は障害者求人が少ないため、地方で就職や転職を成功させるためには、業界や職種を絞らずオープンポジション求人などで広く求人を集める必要があります。

地方の障害者雇用の特徴のひとつは、郊外の工場求人が多いことです。また大手の地域限定社員求人や地場大手の会社であれば、地元で働くことができます。

また、地方求人には警備員やタクシー運転手が多く、スキルや社会人経験が浅くても応募できます。

一方で、資格を活かした求人もありますが、その中で最も多いのは医療福祉系の看護師や介護士・あん摩マッサージ指圧師などの求人です。

他にも、地場の大手病院であれば求人は多く、看護師の資格がない障害者や、医療事務の経験がない障害者でも応募可能な補助職があります。

そして地方在住でも、多くの障害者に適した求人が在宅勤務求人です。 通勤や対人接触が不要のため障害の種類に関係なく応募しやすいです。

このように地方の障害者雇用求人は少なくても、業界や職種、求人の特徴は様々です。このため条件を絞らずに選択肢を増やし、障害者雇用で就職・転職を成功させましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。