障害者が一般枠で保育士として働いていて、障害に対する理解や配慮がなされていないことから働きづらいと感じている人は多いです。
ただ、何年も務めている職場に、「実は、私は発達障害者です」「今後は配慮をお願いします」とはいい出せません。
また、うつや適応障害などで休職期間を経て復職を目指そうとしても、病状の原因となった職場に戻るのは勇気が必要です。
こうしたとき、現在の職場にこだわるよりも、障害者雇用で転職した方がいいときがあります。障害者採用でも保育士求人は多いからです。また、経験が豊富な保育士であれば、障害者でも転職先で相応の給与が受け取れることが多いです。
障害者雇用の保育士求人は、いくつか特徴があります。意外と勤務内容が思っていた内容と違っていたり、現在の勤務先と大きく異なる場合があります。保育士の障害者向け求人の特徴を理解したうえでなければ、結果的に不満の残る就職や転職になってしまうおそれがあります。
そこで以下では、障害者雇用の保育士の求人について、メリットや注意点をみていきます。
もくじ
シフト制勤務の保育士であっても障害者採用では勤務時間に配慮がある
保育士の多くが、保育所や保育園で勤務しています。
保育士に深夜勤務の求人は滅多にありませんが、勤務時間が定時より1~2時間程度早かったり、遅かったりするのが普通です。このため、シフト勤務制になっていることが多いです。このような勤務は、障害者雇用の求人も同じです。
例えば以下の保育士の障害者雇用・正社員求人で、1日の仕事をみていきます。
都内で多数の保育園を運営する会社の保育士・正社員求人です。午前9時前に出勤して保育児を受け入れた後は午前中が散歩、午後は給食後に昼寝・おやつ、夕方は保護者に保育児を引き渡して午後6時ころ勤務終了です。障害者雇用でも、このような勤務が一般的です。
不規則な勤務のため生活リズムを確保したいと考えている障害者にとっては、求人の選択肢が狭まります。ただ、後で詳しく述べますが、障害者雇用では勤務時間に配慮がある求人は多いです。
このように就職・転職で保育士求人では障害者雇用であっても、おおむね午前8~9時ころ出勤して午後5~6時ころ勤務終了となることを理解しておきましょう。
保育士の障害者求人はシフト勤務
保育士の勤務は前述の通り、シフト勤務制です。勤務の終了時間はおおむね午後6時ころですが、働く親のニーズに合わせて遅くまで保育児を預かる場合もあります。このため、勤務終了時間が夜間に及ぶこともあります。
例えば以下は、栃木県の保育所の障害者雇用・保育士求人です。
0~5歳の保育児156名を2~5名の保育士が対応しています。
保育児の年齢の割合にもよりますが、保育士の配置基準からみても仕事の負担割合としては平均的です。この求人の勤務時間は、以下の通りです。
勤務時間は4通りのシフト制勤務で、「午前8時30分~午後5時30分」「午前7時~午後4時30分」「午前9時~午後6時」のほか、「午前11時~午後8時」の夜間の勤務もあります。
なお、休日については土日が定休となっておらず、4週8休を交代で取得します。
このように保育士の求人では、業務負担が平均的な保育所の求人であっても、勤務時間が不規則な求人が多いです。このため深夜時間帯の勤務がないとはいえ、生活リズムが整えにくいです。うつや精神障害者など生活リズムが必要な障害者は、勤務時間の幅が広い求人には慎重な検討が必要です
ただ、通院の時間を確保したい障害者はシフト勤務で遅い時間に勤務を開始したり、早めに勤務が終了する日を活用して確保できることがあります。
このため、障害者雇用の保育士に多いシフト制勤務の求人は、求人の勤務時間をよく確認して、それぞれの症状や通院状況を踏まえて選びましょう。
障害者雇用であれば勤務時間の相談に応じてもらえる
このように保育士の求人は、障害者雇用でもシフト制や夜間までの勤務、土日勤務が普通です。
ただ、障害者雇用の求人の中には、障害のための業務への配慮をしてもらえることが多いです。ほかにも通院のための勤務時間の配慮をしてもらえることがあります。
例えば以下は、障害児の社会スキルやコミュニケーション力の習得を支援する発達支援や、親が共働きなどの障害児を放課後に預かる放課後等デイサービスを運営している会社の障害者雇用・保育士求人です。
障害がある未就学児の療育を担います。この求人の勤務は以下の通りです。
勤務時間については、所定の週平均労働時間に沿って、固定勤務時間に応じてもらえます。
このように障害者雇用求人では、勤務時間に様々な配慮が受けられることが多いです。固定時間勤務であれば生活リズムを整えることができるだけでなく、通院時間も確保しやすいです。
障害者が保育士として、障害に対する理解や配慮のある職場で安心して働けるうように、勤務時間に配慮がある障害者雇用求人を選びましょう。
保育士でも祝日や土日が休日の障害者雇用求人がある
このように、保育士の障害者雇用の求人は保育所などが多いため、シフト制勤務や土日が定休ではないことがほとんどです。ただ、障害者の保育士にはプライベートの充実や、障害による症状や通院を考慮して、休日は土日週休2日などの勤務条件を希望する人は多いです。
このとき、障害者雇用の保育士求人では、土日週休2日の求人があります。
例えば以下は、こども園などを運営する福祉法人の障害者雇用・正社員求人です。
0~5歳児までの乳幼児の保育業務です。この求人の勤務時間や休日は以下の通りです。
勤務時間は一般的な保育所と同じようにシフト勤務制ですが、年4回の行事の時以外は土日が定休の週休2日制です。
こうした土日週休2日の保育士求人は、会社内の託児所や児童福祉施設などに限られるのが一般的ですが、保育所でも障害者雇用には一部に土日休日があります。
土日週休2日の求人でプライベートを充実させたい障害者は、休日の充実した求人で就職・転職を成功させましょう。
保育士の実務経験を活かせる児童指導員求人
保育士の資格を持つ障害者は、保育士の資格を活かして保育所以外の施設に就職や転職をすることができます。
このとき、保育士の実務経験を活かして就職や転職ができるのが、「児童指導員」です。0~18歳までの幅広い年齢の障害児を対象に、主に発達支援や放課後等デイサービスで療育・支援を行います。なお、乳児院であれば1歳未満、児童養護施設であれば1~18歳までの児童が対象です。
児童指導員の魅力は、少人数の障害児にきめ細かい指導ができたり、ひとりひとりの成長を見守ったりできることです。また、給与は保育士と大きな差がないので、児童指導員に転職する保育士は多いです。
保育園で2~3年以上実務経験があれば児童指導員の任用資格が得られる
児童指導員は保育士や教員免許のような資格ではなく任用資格です。保育士が児童指導員の任用資格を得る場合に必要な実務経験は、以下の通りです。
- 高卒以上であれば保育所や児童福祉施設などで2年以上かつ360日以上
- 中卒であれば3年以上かつ540日以上
なお実務経験がないときは、大学・大学院で心理、教育、社会学、社会福祉学を専修した人や、都道府県指定の養成施設(全国にある国立の養成所や私立の専門学校など)を卒業した人でなければ任用資格が得られません。
このため、保育士が児童指導員に転職するときは、2~3年以上の一定期間の実務経験を積んだ方が現実的です。
例えば以下は、発達支援や放課後等デイサービスを運営する会社の障害者雇用・児童指導員求人です。
障害児や生徒のコミュニケーションや日常生活のスキルを訓練する指導員の仕事です。
応募に必要な免許・資格はなく、保育士の資格は「あれば尚可」、つまり保育士の資格があれば優遇されます。この場合、保育士の知識や経験を活かして6歳児以下の未就学の障害児の療育を担うことになります。
障害者が保育士の資格を活かして応募できる求人は様々ですが、ADHDなどの発達障害の診断を受ける乳幼児の数は年々増えているため、児童指導員の求人は保育所の次に求人数が多いです。
このため、保育士が保育所にこだわらず障害者雇用で転職したいと考えるとき、児童指導員の求人を加えて選択肢を増やし、転職を成功させましょう。
まとめ
保育士の主な勤務場所は保育所ですが、保育所ではシフト制勤務が普通です。このため生活のリズムが整えづらいため、シフト制の勤務はうつや精神障害者などは避けたほうがいい場合があります。
ただ、障害者雇用の場合、障害に応じて勤務時間に配慮があるため、生活リズムが必要な障害者は安心して働けるように、こうした求人を選びましょう。
また、保育士の休日は週休2日ですが、平日休が普通です。ただ、障保育士でも祝日や土日が休日の障害者雇用求人があるため、プライベートを充実させたい障害者に適しています。
一方で、保育所などで働いている保育士は、保育所以外の施設でも働くこともできます。このとき、保育士の資格と実務経験を活かせるのが児童指導員です。この場合、幅広い年齢の障害児を対象とすることで、仕事の幅が広がります。
このように保育士は資格職であり、障害者雇用でも求人は多いです。保育士として働くこと以外に、プライベートなどを充実させたい場合などあなたにとっての働き方、やりがいをよく整理して、少しでも自分に適した求人を選び就職・転職を成功させましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。