日本にとって中国とは経済的に結びつきが強く、年々中国の存在感は増しており、多くの障害者が中国語を学んでいます。ただ、せっかく中国語を身につけても、中国語を活かした求人の選び方がわからない障害者は多いです。それは語学力を求める障害者採用の求人は、英語が中心だからです。

また、日本語が堪能で有能な中国人は多いです。このため中国語を必要とする一般枠の求人では、このような来日中国人と競合になることがあります。

このとき障害者雇用の場合、一般枠と比べて中国語のスキルは有利です。大手の会社では、一定割合で障害者を雇用する義務があるからです。一般枠ではなかなか入社できないような人気の大手でも、障害者枠であれば競争率が低いです。このとき中国語のスキルがあれば有利になります。

そこで以下では、障害者が中国語のスキルを歓迎する求人選ぶときに知っておきたいことや、どのような求人を選べばよいのかをみていきます。

障害者雇用で中国語スキルは大歓迎

障害者採用の求人で歓迎される中国語のレベルは、日常会話の初級レベルから商談などのビジネスレベルのものまで様々です。

初級レベルでも十分な中国語の求人は、事務職に多いです。一方、ビジネスレベルの中国語は営業職やバイヤー、貿易事務の求人に多いです。このように中国語のレベルによって、求人の業界や職種は様々です。以下は、中国語のスキルをレベル別にみた求人内容です。

日常会話レベル 中国語検定3~2級程度 ショップ店員

ホテル受付・飲食店員

添乗員・旅行窓口担当者

ビジネスレベル 中国語検定準1級程度 貿易事務

海外営業・バイヤー

ハイレベル 中国語検定1級程度 通訳・翻訳

中国語・日本語教師

一般的な求人で中国語を活かせる職種は様々ですが、障害者雇用の場合は大半が一般の事務職です。事務職では、日常会話程度の簡単な中国語レベルで十分な場合が多いです。

例えば以下は、大手メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

オープンポジションの事務職求人です。この求人の応募条件は以下の通りです。

大卒の事務職の実務経験者が応募条件です。歓迎するスキルとして中国語などの語学力となっています。

このように中国語を必須とする障害者雇用求人は少ないですが、中国に進出していたり中国の会社と取引をしていたりする会社では、中国語を歓迎する求人が多いです

このため中国語が少しできる程度でもこのような会社では業務で必要とされることが多いため歓迎され、障害者でもライバルに差をつけることができます。

ビジネスレベルの中国語と知識が必要な貿易事務職求人

一方、中国語で仕事上の会話に支障がないレベルのスキルを歓迎する障害者雇用求人があります。それは、貿易事務です。

貿易事務では、インボイス(商業送り状)や貨物の引渡しに必要な船荷証券(B/L)、信用状(L/C)など、輸出入特有の書類を作成します。また、輸出入の工程のスケジュール調整なども担うことがあります。このため貿易事務の仕事は、通常の事務に比べて複雑で多岐にわたります。

例えば以下は、メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

経理や貿易事務の求人です。なおこの求人では、安全保障貿易管理の仕事もあります。これは、共産主義国の取引には輸出入に規制があるからです。このため中国との取引では、通常の貿易事務とは別に安全保障貿易管理の事務があります。

また、この求人の応募条件は以下の通りです。

実務経験や中国語のスキルを歓迎しています。必須条件ではないため、未経験でも応募できます。これは貿易事務が書類作成などは英語であり、定型化されていることが多いためです。

ただ貿易事務は書類作成能力や用語は多く煩雑なため、実務に慣れるのは相当たいへんです。また貿易事務では、中国の現地スタッフや取引会社とのやりとりが必要な場合があります。このため、入社後はできるだけ早くビジネスレベルの中国語を身につける必要があります。

この求人では実務経験やビジネスレベルの中国語のスキルは必須ではなく「歓迎」となっていますが、貿易事務職は障害者でも即戦力の求人の方が多いです。

このように中国語のビジネス経験のある障害者にとって貿易事務求人では有利ですが、未経験の場合は一人前になるまでに実務と中国語の習得に時間と労力が必要であることを理解しておきましょう。

営業職やバイヤー職は中級レベルが必要

障害者採用の求人で、中国語の高いスキルが必要な職種はほかにもあります。それは、海外購買のバイヤーです。バイヤーは、中国語のスキルを歓迎する求人の中では事務職の次いで多いです。

中国語を活かせるバイヤーの障害者雇用求人は、中国に進出した会社に多いです。このような求人では、中国の会社から商品の仕入れや買い付けで価格や条件交渉のときなどに中国語を使います。

例えば以下は、大手アンテナメーカーのバイヤーの障害者雇用・正社員求人です。

バイヤー業務のほかに海外取引先との価格交渉や調達などがあります。以下は、この求人の応募要件です。

国内外でバイヤーとして購買の実務経験が必須となっています。一方、中国語については、会話できる程度のスキルを歓迎しています。ただ日常会話程度では商談はできないので、仕事を通して中国語のスキルアップは必要となります。

このため、この求人はバイヤーの経験があり、新たに海外の買い付けの経験を積んでスキルアップしたいと考える障害者に適しています。

中国語を活かしながら安定して働きたい障害者は、中国に進出して中国語のスキルを必要としている多くの会社のバイヤー求人を選びましょう。

アパレル業界の中国人観光客相手の販売職求人が多い

一方で、日常会話程度のレベルでも歓迎の障害者雇用求人があります。それは、アパレル業界の販売店員です。来日する多くの中国人に接客販売する必要があるからです。

中国にとって日本は、隣にある先進国です。また、先進国の中で最も物価が安いため、観光や商品の買い付けは最もコストがかかりません。このため大都市を中心に中国人の買い物客は多く、販売店では中国語が話せるスタッフが重宝されます。

例えば以下は、アパレル会社のショップ店員の障害者雇用・正社員求人です。

販売接客スタッフの求人です。以下は、この求人の応募条件です。

販売店員としての実務経験のある障害者の求人です。この求人の特徴欄は以下のとおりです。

販売業務で中国語のスキルが活かせる求人となっています。この求人の店はアメリカの高級百貨店のチェーン店内にあり、来日中国人にも人気です。このような店では、ひとりでも多くの中国語ができるスタッフが必要です。

ただ一般の中国人が相手なので、むずかしい中国語は不要です。このため、仕事を通して多くの中国人と接し、中国語を磨きたい障害者に適した求人です。

販売店員求人では、中国語が日常会話レベルであっても重宝されます。このため初歩的でもいいので中国語を習得しておけば、就職や転職に有利です。

このように中国語のスキルがあれば、障害者でも有利に働くことができます。このため接客が好きで中国語を活かしたい障害者は、来日中国人が多いショップの求人を選びましょう。

専門職求人でも活かせる中国語

ここまで、中国語のレベル別に障害者雇用が多い求人をみてきましたが、数は少なくても中国語を活かして有利に求人選びができる職種は多いです。それは専門職です。

専門職の場合、該当する分野の専門知識や専門スキルが最も重要です。それは、たとえ中国語のスキル活かす求人であったとしても同じです。

ただ、専門性のほかに中国語のスキルを加えることで、ライバルに差をつけることができます。以下では、中国語を活かせる主な専門職求人をみていきます。

エンジニアは現地指導で中国語が必要

障害者雇用求人の中で多い専門職のひとつがシステムエンジニアです。システムエンジニアにも中国語を歓迎する求人は多いです。それは、中国の拠点にもシステムの企画や運用、保守が必要だからです。

例えば以下は、メーカーの障害者向けシステムエンジニアの障害者・正社員求人です。

国内外のシステムの企画などの求人です。以下は、この求人の応募条件です。

システム管理・運用の実務経験が必須です。また歓迎条件として中国語などのスキルとなっています。その理由はこの会社が中国とマレーシアに拠点があるからです。

このとき、システムの運用や保守を現地の従業員に指導します。このため日常会話に加えて中国語でわかりやすく現地の従業員に説明する必要があります。このとき、エンジニアであっても日常会話以外に中国語の専門用語を習得しておかなければいけません。

システムエンジニアの実務経験がある障害者は多いですが、中国語のスキルがある障害者は少ないです。このため障害者でも中国語のスキルがあれば有利に求人選びをすることができます。

中国語のスキル歓迎のデザイナー求人

中国語を活かせる障害者雇用求人は、クリエイティブ職にもあります。その一つは、グラフィックデザイナーです。

中国に進出している会社は、デザインの分野でも中国人に向けて目を引くグラフィックデザインが必要となります。このとき、グラフィックデザインのレイアウトでデザインのパーツに中国語を入れたり説明を入れたりすることがあります。

例えば以下は、洋菓子製造・通販会社のグラフィックデザイナーの障害者雇用・正社員求人です。

包装や広告のデザイン・企画まで、デザインを通して販売促進全般の業務を担います。この求人の応募条件は以下の通りです。デザインの実務経験が必須となっているほか、歓迎条件として中国語の読み書きとなっています。それは、この会社が中国や台湾など多数の国に進出しているからです。

このような会社でデザインが必要とされるのは、パッケージや店頭レイアウトのほか、通販サイトの制作などです。このとき、販売促進のデザインで中国語を使うことがあります。このため、歓迎要件に中国語のスキルがあります。

このように、一見中国語とはつながりがないように思えるクリエイティブ職の求人でも、中国語を歓迎する求人はあります。このためデザイナーなどのクリエイターでも、中国語のスキルがあれば就職や転職を有利に進めることができます。

まとめ

障害者雇用求人では、中国語のスキルを歓迎する求人は多いです。中国語のスキルを活かす障害者雇用求人の中で多いのは事務職やショップ店員です。これらの障害者雇用の求人では、日常会話程度でも歓迎の求人が多いです。このような初級レベルでも、中国語のスキルを歓迎する求人にて実務を通して中国語のレベルを上げていくことができます。

一方、貿易事務やバイヤーなどのようにビジネスレベルの高い中国語のスキルを求めるものもあります。このようなビジネスレベルの中国語をつかうことができる障害者は希少価値が高いので、有利に求人選びができます。

また中国語を活かせる障害者雇用求人は、中国に進出している会社を中心に専門職にもあります。

ここでは求人例としてシステムエンジニアやグラフィックデザイナーを確認しました。システムエンジニアの場合、中国の拠点でシステムを中国語で説明する必要があります。グラフィックデザイナーは、中国人に向けて販促物などを制作するからです。

このように現在従事している仕事に加えて中国語のスキルがあれば、障害者雇用の求人で有利に就職や転職できます。そこでキャリアプランをしっかりと立て、障害者雇用枠の恩恵を活かしながら求人選びをしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。