事務の仕事をしたいけど、障害があることで困っている人が多いです。でも大丈夫です。障害者の人でも、事務の仕事で頑張ることはできます。だんだんと、障害者のための働きやすい場所が増えてきています。

法律も整ってきて、障害のある人たちも事務の仕事で活躍できる場所が広がっています。でも、中には希望して事務の仕事に就いたり転職したりする人でも、会社を選ぶのに失敗してしまって後悔することもあります。

障害があっても事務の仕事を目指す人たちには、大切なポイントがあります。

たとえば、「どんなふうに職場で手伝ってもらえるのか」や「お給料や待遇はどうか」、「事前にどんな準備をしておいたらいいのか」ということです。

ここでは、事務の仕事を目指すけれど不安を感じている人たちに、成功するためのコツを説明していきます。

障害者の事務職には経理や総務、人事、法務と種類がある

障害を持っている人たちに向けた人気のある仕事は、事務の仕事です。でも、事務の仕事にはいろんな種類があって、たとえばお金の管理や会社全体のサポート、新しい計画づくり、人の採用など、いろんな種類の仕事があります。だから、「どの仕事を選んでいいのか分からない」という人もいるかもしれません。

事務職求人の主な仕事内容は以下のようになります。

  • 経理:経費の精算や請求書の発行、入出金や預金の管理
  • 総務:備品管理や発注、オフィスや施設の管理、受付・電話対応
  • 人事:採用や昇進、人材育成に関する事務
  • 法務:商取引や登記の書類作成や管理

障害者の人たちが働くための求人サイトで、事務の仕事を探してみると、いろんな職種の求人があります。こうした求人では、どの職種でも手助けをするようなお手伝いがメインです。例えば、「書類を整理すること」や「コンピュータを使って請求書や書類を作成すること」などがあります。だから、専門的な知識や高いスキルがすぐに必要ではありません。

また、小さな会社の場合、事務の仕事は全部をこなさなければならないこともあります。事務の仕事は、会社の裏方としていろんな仕事をサポートする大切な役割です。

では、障害のある人が事務の仕事で働くなら、どんな求人を選ぶといいでしょうか。

そのときは、特定の職種に絞られていない求人を探すのがいいです。たとえば、「経理の仕事だけ」とか、一つの職種だけに限定すると、求人の数が減ってしまって、選べる幅が狭くなる可能性があります。

例えば、次の求人は大手建設会社が出している、障害のある人向けの事務の仕事の正社員求人です。

事務の仕事の求人では、いろんな仕事を担当することがあります。採用されると、面接や選ばれた後、自分の経験やスキルを話し合って、具体的にどの仕事をするか決めることができます。こうした求人のことを「オープンポジション」と呼んでいます。

このように、障害者の人たちが事務の仕事を探すとき、専門的な知識や経験よりも、いろんな仕事を幅広くできることが大切です。だから、障害のある人が事務の仕事に就くときは、一つの職種だけに絞らずに、いろんな選択肢を考えて求人を選ぶのがおすすめです。

事務補助職で無理なく働くことも可能

事務の仕事は、特に高度なスキルや資格は必要ない求人でも、広範囲な仕事を担当します。だから、ちょっとしたミスが起きやすく、同時に複数の仕事をこなす「マルチタスク」が得意でない発達障害者や知的障害者にとっては、体や心に大きな負担となることがあります。

こうしたとき、難しい仕事や特別なスキルが必要ない求人があります。それが「事務補助職」です。

補助職は、スキルや資格を持つ事務の仕事を手伝うお手伝いの仕事です。障害のある人が無理なく働けるように、サポート的な仕事で負担を減らし、働きやすい状況が整えられています。

たとえば、以下の求人は、障害者向けの警備会社が募集している事務補助職の正社員求人です。

仕事内容は「物品の管理」「データの入力」「計算の手伝い」「書類を整理すること」「請求書を送ること」など、簡単な仕事です。こうした求人なら、事務補助の仕事で、心や体に負担をかけずに働くことができます。

こうした求人なら、特別な資格や知識がなくても、社会経験が少ない障害者でも応募することができます。

だから、社会で働く経験をゆっくり積みたい障害者や、負担が少なくて長く安心して働ける求人を選びたい障害者には、補助職の求人を選ぶことがおすすめです。

施設環境の配慮が行き届いた職場で安心して働く

でも、一方で、障害のある人たちが事務の仕事に就くために、職場で障害を考慮してもらえるか心配する人もいます。特に事務の仕事は、長い時間をオフィスで過ごすことが多いので、障害のある人に適した場所や環境が大切です。

中には、障害者向けの仕事として名前だけを出していて、実際には配慮が足りない求人も存在します。そんなとき、求人を見るときのポイントは、配慮の内容が具体的に書かれているかどうかです。

たとえば、以下の求人は、大きな広告会社の子会社が出している、障害者向けの事務の仕事の正社員求人です。

障害のある人に対して、いろいろな配慮がされていることが書かれています。「手話の通訳を用意すること」や「安全でバリアフリーな職場づくり」、さらには「車いすでも使えるトイレ」などが含まれています。また、この求人は、身体の障害を持つ人や精神の障害を持つ人、発達障害を持つ人など、いろんな人たちに雇用の実績があることが示されています。

この求人は、大きな会社が障害者の雇用を目指して設立した特例子会社から出ています。だから、障害者の雇用実績や配慮がちゃんとされていることがわかります。

このような求人なら、障害への配慮が本当に実行されていることがわかるので、安心できます。

でも、大事なのは、その求人先で、障害のある人たちがどれくらい長く働いているかということです。つまり、その会社での仕事が続いているかどうか、定着しているかどうかです。

たとえば、以下の求人は、大手商社の関連会社が出している、障害者向けの事務の仕事の正社員求人です。

この求人の特徴は、長く働いている人が多いことです。普通、障害のある人たちの職場での続きやすさはあまり高くないことが多いですが、この求人では辞める人が2~3%しかおらず、とても少ないです。

大きな会社であったり、障害への配慮があるように見えても、多くの人が辞めている場合、実際には障害者への配慮がちゃんとされていない場合もあります。つまり、その会社の職場環境があまり良くないことがわかることもあります。

だから、障害のある人たちが安心して働けるかどうか、実際の状況が一番わかるのは、辞める人の割合です。

長く安定して働きたいときは、求人の中で、どれくらい人が仕事を続けているかや、辞めている人がどれくらいいるかに注意を払うといいです。そうすることで、職場の状態を見抜いて、就職や転職を成功させることができます。

事務未経験者でも求人応募は可能

でも、事務の仕事をしたことがない障害者もいます。そういう人たちには、どのような仕事の求人があるのでしょうか。

一定の大きさを持つ会社は、障害者の雇用割合を一定以上保つことを求められているので、経験がなくても応募できる求人がたくさんあります。特に事務の仕事はいろんな仕事があるけれど、高い処理能力が必要な仕事ではない求人が多いです。

ただ、これまで社会で働いた経験がないまま、事務の仕事に就いたり転職したりすると、「新しい仕事に慣れることができるだろうか」「長く安定して働けるだろうか」という不安があります。こうした障害者たちは、できるだけ早く事務のスキルを身につけたいと願っています。

そんなとき、事務の仕事をしたことがない障害者でも、安心して働けるように、ちゃんとした社員教育がある求人があります。

たとえば、以下の求人は、情報関連の会社が出している、障害者向けの事務の仕事の正社員求人です。

この求人は、新しい社員の教育について詳しく書かれています。入社してから3か月間、しっかりと研修が行われることが書かれていて、基本的なビジネスのマナーやパソコンの使い方を学べるようです。また、実際の仕事を複数の部署で学ぶ機会もあるようです。こうした研修が充実している求人なら、事務の仕事をしたことがない人でも安心して働けるでしょう。

前述したように、事務の仕事はさまざまな種類があるため、新しい社員の教育はとても大切です。教育をおろそかにする会社に入ってしまうと、最悪の場合、入社してからも特に仕事を任されずにほったらかしにされることもあります。

気をつけるべきなのは、障害者の人たちの離職理由でよくあるのは「仕事を任せてもらえないことに対する不満」です。

そうならないためにも、入社後の教育については、求人を調べるときに見逃してはいけない大事なポイントなのです。

障害者の事務職に資格や経験は必要か

事務の仕事は人気があります。企業では、すぐに働ける人を探しています。だから、経験がない人に仕事をゼロから教える時間がないことが多いです。

また、普通の人たちが仕事を探したり転職したりするとき、事務の経験がある人はたくさんいます。だから、求人広告には「3年以上の仕事の経験が必要」と書いてあることがあります。それで、仕事に必要な資格を持っていることが求められます。

でも、障害者の雇用では、大きな会社は一定の割合で障害者を雇わないといけない決まりがあるので、障害者向けの求人なら、経験や資格がない場合でも応募できることが多いです。

たとえば、以下の求人は、大手保険会社が障害者を雇用する正社員求人です。


この求人には、特別な資格はいらなくて、大切なのは普通の社会でのルールや、簡単なパソコンの使い方だけでいいことがわかります。

事務の仕事には、簿記や書類の作成のためのビジネス文書検定など、いろいろな資格があります。でも、事務の仕事内容はいろいろな種類があるから、必ずしも資格や経験がある人だけが働くわけではありません。

また、仕事の中で社内や外とコミュニケーションを取ることが多いです。だから、経験や資格よりも、協力することや社会での常識を知っていることの方が重要なことが多いです。

資格は、働きながらでも取ることができます。障害のある人たちが事務の仕事を始めるときは、経験があるかどうかや資格があるかどうかを気にするよりも、早く行動を起こして具体的に事務の仕事を始めることが大事です。

障害者の事務職の収入や待遇はどうか

でも、障害者のための事務の求人には注意しなければならないこともあります。障害を持っている人たちの場合、負担の少ない仕事が中心になることが多いです。そのため、障害者向けの事務の求人は、難しい仕事や専門的な仕事よりも、難しくない仕事が多いです。そのため、給料や待遇があまり高くない求人も多いです。

たとえば、以下の求人は、保険会社が障害者のために出している事務の正社員求人です。

でも、この仕事の年収は200~220万円になります。障害者向けの事務の仕事でも、仕事が少ないものを選んでしまうと、給料はどうしても低くなってしまいます。

ただ、事務の仕事は基本的にデスクワークで、障害を持っている人たちには不利な「体を動かすことが必要な仕事」や「高い専門知識が必要な仕事」ではありません。

だから、同じ仕事内容なら、健常者と同じような給料をもらうことが当たり前です。障害を持っているからといって、給料を差別されることは許されていません。それは法律で決まっていることです。

たとえば、以下の求人は、大きなエレベーターの保守や管理をする会社が障害者のために出している、正社員の事務の求人です。

この求人は、株式市場に上場している大きな会社が出している正社員の事務の求人です。高卒の新しい社員の給料は、年に268万円になります。普通の民間企業の高卒の新しい社員の平均給料は約210~220万円くらいだと言われています。だから、比べてみると、この求人の給料はかなり高いことがわかります。

事務の仕事で働く障害を持っている人たちも、普通の人たちと同じように働く力があるし、同じような環境で働くことができれば、同じような給料をもらうことができます。

だから、障害があるからといって、給料が極端に低くされることはないことを、覚えておくといいですよ。

障害克服の過程を事務職の志望動機と結びつくようにアピールする

じゃあ、障害を持っている人が、履歴書や面接でどんなことを伝えればいいでしょうか。

最初に、自分自身をよく知ることや、その仕事や業界についての知識を学ぶことから始めます。その中でも、とても大切なのが「なぜその仕事をしたいのか」や「自分の良いところを伝えること」です。

例えば、以下は経験がある人や資格を持っている人の、「なぜその仕事がしたいのか」の例です。

今回、経理で貴社を志望しました。私は3年間経理で働いていますが、経理は会社の資金の流れがわかるのでやりがいがあります。またデータ入力や書類作成は、集中力が長所の私に適しています。

ただこれまで働いていた会社は障害者が少なく、正社員に登用された例がありませんでした。貴社は障害者の雇用実績が豊富で、多くの障害者が正社員として活躍しています。そこで私は、これまでの経理の経験を生かせば貴社に貢献できると思い志望しました。

それじゃあ、事務の仕事に未経験の人たちや、特に障害を持っている人たちが、自分をどうアピールすればいいか、教えますね。

まず、経験がある人や資格を持っている人は、その仕事になぜ向いているかや、どうやって会社に貢献できるかを伝えることが大切です。

でも、事務の仕事に未経験の人たち、特に障害を持っている人たちは、そのようなことを伝えるのが難しいこともあります。単に「〇〇に興味があるから応募した」とか、「将来〇〇になりたいので応募した」といった、普通の志望動機になりがちです。

ただ、障害を持っている人たちの場合、会社が一番気にするのは「あなたを雇って大丈夫かどうか」ということです。特に事務の仕事の場合、会社はあなたが「しっかりと仕事をやり遂げることができる」ということを知りたいです。だから、あなたのことをしっかりと理解してもらい、不安を解消することが大切です。

じゃあ、どうやってアピールするかというと、あなたが障害を持っているからこそ、どんな困難を乗り越えてきたかや、どんなことを学んできたかを伝えることです。

  • 障害者として苦労してきたこと
  • 障害を克服してきた努力の過程
  • 障害を克服した体験が、その会社の事務職でどのように貢献できるのか

これらを積極的に自己アピールするのです。

例えば以下は、事務職未経験者の志望動機例です。

私は多くの障害者が全社員と交じって働く一体感に感動し、貴社を志望しました。私はお互いが支え合うことこそ大切だと考えているからです。

私は高校生の時に交通事故で半身不随になり、悲しみでふさぎ込んでいましたが、両親や友人たちに支えで乗り越えられました。またつらいリハビリを通して、粘り強く努力し続けられるようになりました。

私は支え合い、コツコツ続ける忍耐力で貴社に貢献していきたいです。

あなたが希望する会社が、あなたの障害を考慮して、仕事に支障をきたさないようにしてくれることを、なぜその会社で働きたいと思うのかに結びつけましょう。そして、もし自分が採用されれば、しっかりと仕事をこなせることをアピールしてみましょう。

障害を持つ人々は、みんなそれぞれに自分の障害を乗り越えるために努力してきた経験があります。しかも、その努力は健常者には理解しがたいつらいものです。

人は、感情を揺さぶる話に心を動かされることがあります。あなたが自分の気持ちを込めて上手に伝えれば、それが採用側の考えを変える手助けになり、あなたの仕事探しはうまくいくでしょう。

まとめ

障害者向けの事務職で転職成功を叶える秘訣は、実は難しいことではありません。事務の仕事を目指すなら、できることから始めて、早めに転職の準備をスタートさせましょう。キャリアを伸ばしたり高い給料を得られるポジションを選ぶのは素晴らしいことですが、過度にこだわりすぎるのも良くありません。

そして、将来の仕事や障害に配慮された職場かどうかを確かめるために、前もって情報をしっかり調べておくことも大切です。また、気になる企業を見学して、実際の職場の雰囲気を感じてみれば、転職の不安もかなり軽くなるでしょう。

ここでは、「どうすれば自分にぴったりの仕事内容や職場環境を見つけられるか」や、「志望動機などをどう準備していけば良いか」ということについて説明してきました。それぞれのアドバイスを理解しながら、求人に応募してみることをおすすめします。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。