学生の頃身近な存在だった大学には馴染みがあるため、大学で働いてみたいと考える障害者は多いです。大学職員の求人は事務職が大半です。動き回ってノルマをこなすといった仕事は皆無なので、障害者に適した求人のひとつです。
ただ事務仕事なので成果よりも減点主義の仕事です。ミスのない方が重要な仕事であるため、コツコツ仕事をこなす障害者には適しています。一方で他の同僚と成果を競ったり、収入を上げたりすることにやりがいを求めるタイプの障害者には不向きです。
また大学経営は、行政がある程度管理しています。このため経営が悪化しても倒産・失業の不安が少ないです。こうした特徴から、大学職員求人は長く安定して働きたい障害者に適しています。
以下では大学職員の障害者雇用求人の実情を踏まえ、どのような求人を選べばいいのかを解説します。
もくじ
障害者雇用は事務補助職や用務員求人が多い
大学職員の求人にはいくつか特徴があります。ひとつは事務補助職や雑用など簡単な仕事の求人が多いことです。
このような求人は非正規雇用求人が大半です。ただ契約職員や嘱託職員、アルバイトといった非正規職員は有期雇用です。このため長く安定して働くには、正職員求人で転職する必要があります。
このとき、障害者雇用の大学職員求人には正職員求人はあります。この場合、事務や清掃・用務員のような簡単な雑務の求人が多いです。その理由は、障害者にとって仕事の負担にならないような仕事を担うからです。
例えば以下は、大学職員の障害者雇用・正職員求人です。
求人内容は、事務補助職や清掃です。この求人の事務補助職は、電話や学生応対と書類整理などの単純な仕事です。このような求人であれば、心身に負担がありません。このため、障害者が自分の障害に合わせて無理なく仕事ができます。
また大学職員には、障害に負担のない求人として用務員があります。例えば以下は、大学職員の障害者雇用・正職員員求人です。
校舎内の掃除や花壇の手入れをする用務員の求人です。必要な免許や資格の欄には何も記されていません。一方で月給は20万円前後となっており、障害者雇用の清掃作業の求人の中では高いです。
こうした大学の用務員の求人では、雑務が苦にならない障害者には適しています。また、このような雑用の仕事でも大学経営は比較的安定していることが多いため、長く安定して働くことができます。
このため大学職員の求人で障害が負担にならない仕事を重視している障害者は、作業が簡単な事務職や用務員求人を選びましょう。
一般事務職員は年功序列で障害者でも給与が高くなる
なお、障害者雇用の大学職員は簡単な事務補助や用務員の求人ばかりではありません。常勤の一般事務職も存在します。大学職員の事務職はスキルや専門性を必要としないため、障害者雇用求人でも専門性やスキルは不要です。
例えば以下は、大学職員の障害者雇用・正職員求人です。
一般の事務職も仕事内容はパソコン作業や書類の整理が中心です。給与については20万円前後であり、一般的な民間の給与と変わりありません。この求人の応募条件は以下の通りです。
運転免許証以外に必要な資格はありません。このため資格やスキルを持たない障害者でも、大学職員の事務職であれば応募可能です。
なお一般的な民間企業であれば、資格や実務経験に応じて数万円単位で給与が変わります。一方、大学の事務職に資格や専門スキルは不要なので、大学職員の求人で給与に大きな差がありません。
ただ前述の通り、この求人は月給が20万円前後なので普通の民間企業と変わりませんが、大学職員の平均給与は一般の民間企業の平均に比べてだいぶ高いです。民間企業の平均年収は400万円くらいですが、大学職員は私立大学で平均600~700万円だからです。
これは大学職員の給与体系が公務員と同じように年功序列・終身雇用だからです。つまり、スキルや専門性が身に付いていなくても給与は上がります。例えば以下は、東京の私立の大学職員求人のモデル年収例です。
36歳で年収660万円、40歳で720万円、50歳で980万円となっています。年齢が上がるにつれて順調に年収が上がっています。
大学職員の事務職でスペシャリストはおらず、ゼネラリストばかりです。ゼネラリストに求められるのは資格よりも問題なく仕事をこなしたり、職場内外でトラブルを起こしたりいないことの方が大切です。このため大過なく仕事をこなせば、歳をとるにつれて給与が上がります。
このように大学職員の障害者雇用は求人の段階では給与が低いです。ただ、それは若いうちだけであり、スキルや専門性がなくても正職員であれば歳をとるにつれて給与は高くなります。このため障害者でも長く安定して働くことができます。
求人の選択数を増やすには大学事務以外の職員求人にも目を向ける
ただ前述の通り、大学の障害者雇用の正職員求人数は少ないです。大学職員の求人の大半は欠員補充だからです。
少子化のため学生増が見込めず規模拡大がないため、職員の増員募集はありません。また大学職員は、一般的に職場環境や待遇が恵まれているため中途退職をする人は滅多にいません。
こうして少ない求人の中で転職しようとすれば、勤務地のほか給与などの待遇面で妥協しなければならなくなります。そして妥協の結果、不本意な転職になる恐れがあります。
このため求人で選択肢を増やすためには大学職員だけにとらわれず、大学職員と同様の学校事務の求人や大学職員の中でも事務職以外の求人にも目を向ける必要があります。そこで以下では、障害者が求人の幅を広げるための方法をみていきます。
学校法人の事務職員求人で選択肢を増やす
大学職員に転職しようとしている障害者が求人の選択肢を増やすためには、学校法人の障害者採用求人に目を向けましょう。私立大学関係の障害者雇用求人には、大学を傘下に持つ学校法人の事務職員の求人があります。
このとき学校法人に採用された後、傘下にある大学職員に配属されますが、傘下には付属や関連の高校・中学校もあります。このため大学ではなく、中学校や高校の事務職員として配属される可能性があります。
ただ大学以外も同じ学校法人内であり、学校事務の仕事なので仕事の内容は大きな違いはありません。大学であっても中学校であっても書類作成や整理、パソコン作業や学生・来客対応などが中心です。このため大学職員にこだわらず、学校法人に視野をひろげて選択の幅を広げるようにしましょう。
例えば以下は、学校法人の障害者雇用正社員求人です。
学校法人の事務職求人であり、幼稚園から大学までのいずれかの職員に配属されることがあります。この求人の応募条件は以下の通りです。
事務職のため資格やスキルは不要ですが、学歴が大卒以上に限られています。これは一般の事務職の場合、事務補助や用務員の求人と違って業務習得能力を求めており、その裏付けとして大卒以上の学歴が必要とみているからです。
学校法人にも法定の障害者雇用義務があります。このため一般枠とは別に障害者枠で職員採用がありますが、一般の事務職では障害への配慮はあるものの、求められる事務仕事のレベルは一般枠の健常者と変わりありません。このため、相応の学力レベルも要求されます。
このため、この求人に限らず学校法人の一般事務の障害者雇用・正職員求人では、大卒以上が応募資格になっていることが多いです。
例えば以下は、学校法人の障害者雇用・正職員求人の応募条件欄です。
この求人では学校法人本部の事務職や大学の事務職のほか、高校・中学校と幼稚園の事務職の求人です。資格や実務経験は不要ですが、大卒以上の学歴が求められています。このように障害者が学校法人で一般事務職として正職員求人に応募するときは、大卒以上でなければ応募できません。
このように選択できる求人の幅を広げるために、大学職員だけでなく学校法人で高校や中学校の事務職求人も視野に入れましょう。そうすれば求人の幅が広がり、自分の条件や希望に合った求人を見つけることもできます。
障害者雇用の大学教員求人がある
このように、大学職員の障害者雇用・正職員求人は事務職が中心です。ただ事務職とは別に大学職員には教授や講師といった教員採用の求人もあります。これは、まれに教員の欠員が発生する場合があるからです。
大学も法定で障害者雇用が義務付けられています。このため事務職員であっても教員であっても、障害者であれば積極的に雇用する場合があります。
例えば以下は、大学教員の正職員求人です。
障害者でも応募可能な大学教員の求人です。仕事の内容は以下の通りです。
文学部の教員として古典文学などの講義や学生指導などを担当します。なお、この求人には応募資格に記載がありません。小学校・中学校・高校は教員免許が必要ですが、大学教員には必要な資格がないからです。
ただ、多くの大学では募集要項に「博士号取得」が条件となっています。このため、この求人のように募集条件はなくても、大学教員の求人では博士号が必要であることは理解しておきましょう。
このように大学職員にスキルは必要ありませんが、正職員求人には教員のような専門職もあります。ただ、大学教員求人は欠員補充が発生したときだけであり、空いた教員のポストも紹介・あっせんで埋まってしまうのが普通です。このため、この求人のような公募は少なく障害者には狭き門です。
ただ前述の通り大学職員の求人は少ないので、様々な方法で選択の幅を増やす必要があります。ここで紹介した教員の求人は、様々な職種がある大学職員求人の中ではほんの一例です。特殊ではありますが、こうした求人もあります。
まとめ
大学職員の求人は、障害者雇用は非正規求人が多いです。非正規の場合は有期雇用なので長く安定して働けません。このため正職員求人を選ぶ必要があります。ただ障害者雇用の求人は障害に配慮していあるため、仕事の負荷が少なかったり応募要件に資格やスキルが不要だったりする事務や清掃職が大半です。
また障害者雇用の大学職員の求人は、欠員補充による募集が大半です。ただ大学職員は中途退職者が少ないため求人数が少ないです。このため大学職員だけに絞った求人選びでは、選択の幅が狭まって応募条件を妥協して転職しなければならないことがあります。
このとき選択の幅を増やすときは、大学だけに絞らず学校法人の求人を視野に入れましょう。
大学職員は事務職求人が大半です。このため障害のために対人関係や事務処理能力に自信のない障害者は、清掃・雑務のような求人を選ぶようにしましょう。また一般の健常者と同じように事務職で働ける障害者は、大学や学校法人の事務職求人で転職を目指しましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。