発達障害者や精神障害者などコミュニケーションが苦手な人は多く、事務職や営業職などの一般的な仕事で苦労している人は多いです。こういった苦手を抱えたまま無理を押して仕事を続けても、うつなど別の症状を併発しては元も子もありません。

こうした障害者に適した職業のひとつに、調理があります。調理はひとりで没頭できる作業が多く、高いレベルのコミュニケーション能力や経験は不要です。また調理の手順はマニュアル通りにこなせばできる作業が多く、スキルや資格はは必要ありません。

このため、コミュニケーションが不得意だったり対人不安だったりして、事務仕事や来客・電話対応に疲れている障害者は、転職先として調理の求人を検討した方がいい場合があります。

そこで以下では、障害者雇用の調理の求人の特徴と注意点を解説します。

調理求人は障害の種類を問わず働きやすい

調理の求人は、「野菜を切る」「料理を盛り付ける」などの単純作業が多いです。このため、知的障害であれば軽度~重度まで幅広く応募できる求人があります。

また、調理の実務が未経験の障害者でも応募可能です。包丁の扱いに慣れておらず、最初は嫌がっていた障害者でも、「やってみると、意外と楽しい」という人もいます。

このように、障害者には調理に向いている人は多いです。例えば以下は、回転すしの会社の障害者雇用・正社員求人です。

回転すし店で、簡単な調理のほか皿洗いや片付けを担います。障害者専用の補助の求人なので、店舗内での調理は主に板前による作業のサポートになります。このように障害者雇用の調理求人は、料理人の補助的な仕事から始まる内容が多いです。

このため調理の求人を考えている障害者で、実務経験が浅かったり料理に慣れていなかったりする場合は、こうした調理補助の求人を選びましょう。

勤務時間の融通が利いて通院時間を確保しやすい

他にも調理の求人は、障害者にとって勤務時間と通院時間の確保しやすいことがメリットのひとつです。

障害者雇用の調理求人では、メインとなる仕事の時間帯は一般の人の食事前後です。それ以外の時間帯は一般の人が仕事している時間ですが、このときは休憩だったり勤務終了時間になったりします。

このように調理の求人では集中して働く時間と、そうでない時間があるため仕事と通院の両立に最適です。

例えば以下は、病院職員の障害者雇用・正社員求人です。

病院食堂の厨房で、料理の盛り付けなどを担当します。料理そのものを作る作業ではないためマニュアル通りにこなせば、誰でもできます。この求人の勤務時間については、以下の通りです。

勤務時間については、1週間の勤務時間が30時間以上を条件に相談に応じてもらえます。つまり、もっとも忙しい食事の時間帯だけは必ず勤務してもらい、それ以外の時間帯は他の従業員にカバーしてもらうものです。

調理の求人は特定の従業員でなければできないような難しい作業はないため、こうした働き方も可能となります。

このように精神障害者やうつなどで通院が必要だったり、長時間の勤務が苦手だったりする障害者は、こうした時間の融通が利く調理の求人がもっとも適した求人のひとつです。

ひとり没頭できる作業で対人不安など症状があっても働ける

調理求人の仕事はチームワークは必要ですが、デスクワークと違って黙々と自分だけの作業に没頭できることが多いです。

障害者雇用の調理求人では大きな規模の店が多く、分業で料理が作られています。このため、例えば「野菜を切る」「盛り付ける」などの分担された作業を一人で行うことが多いです。

このとき、同僚との密な打ち合わせなど不要なので、対人不安の強かったり精神障害者やうつでの人にとっては気が楽な場合が多いです。

例えば以下は、フランス料理店の障害者雇用・正社員求人です。

フランス料理の調理スタッフの求人です。調理だけでなく接客や皿洗いもありますが、調理なので「黙々と作業する業務」となっています。

多くの料理を作る中で割り当てられた作業をこなすとき、そこに会話は必要ありません。

こうした発達障害者や精神障害者などの中には、一人で没頭して作業することを好む人は多いです。このようにコミュニケーションが苦手で、ひとり黙々と作業したい障害者にとっては、調理求人は適しています。

スキル不要で学歴・経験不問なので障害者であれば誰でも応募可能

前述の通り調理の求人では、多くがむずかしい作業ではありません。「同じものを、同じ場所に盛り付ける」という流れ作業の単純な繰り返しが多いです。また、資格や経験は不要です。

例えば以下は、温泉地にあるホテルの障害者雇用・正社員求人です。

厨房における調理担当の求人です。この求人の応募条件は「学歴・不問」「必要な知識経験・不問」「免許・資格不問」となっています。つまり、障害者であれば誰でも応募が可能の求人です。

例えば以下は、障害者雇用をしている旅館の厨房で働く様子です。

障害者雇用の調理求人で、応募条件に資格や経験を掲げている求人は全くありません。このため、社会人として未経験の障害者や、社会復帰の足掛かりにしたい障害者は適した求人といえます。

調理求人で就職・転職するときの注意点

ただ、調理求人には気を付けなければならない点がいくつかあります。それは、誰でも応募できる求人という特徴であるため、デメリットも多いからです。主に、以下の通りのようなデメリットがあげられます。

  • 深夜など不規則な時間帯の勤務がある
  • 土日週休2日などの休みが少ない
  • 単純作業の繰り返しで給与が低い

ここでは、障害者雇用で調理求人を応募するときに知っておくべき注意点を確認していきます。

勤務時間が不規則で休みは平日のみの場合が多い

調理の求人では前述の通り、仕事の中心となる時間帯が一般の人と異なります。一般の人が食事などの休憩時間に集中して働き、一般の人が働いている時間帯が休憩時間になります。

例えば以下は、居酒屋の障害者雇用・正社員求人です。

調理の補助などの求人です。勤務時間は午後9時~午前4時までとなっている上、時間外勤務も月平均17時間なので、ほぼ毎日1時間程度の残業があります。

また深夜帯の勤務にもかかわらず月給が12万4,000円からであり安いです。

他にも一般の人が休日のときは必ず勤務日になり、一般の人の生活規則と少しずれた形で働くことになります。このため、勤務時間だけでなく土日に休めない求人も多いです。

例えば以下は、温泉旅館の障害者雇用・正社員求人です。

週休は2日ですが、それは「主に平日」となっています。また休みもシフト制となっており、繁忙期や同僚の突発的な休みが発生した場合は、急遽勤務に就かなけらばならなこともあります。他にも、年休が95日と少ないです。生活の規律が必要だったり、生活にメリハリがほしい障害者には向いていない場合もあります。

このように調理求人では、障害者雇用でも不規則な勤務時間や休日の場合が多いです。また、勤務時間が深夜帯になったり、平日が休日になったりする場合があることを理解しておきましょう。

単純作業のため給与が高くない

また調理求人は、前述の通りスキルが求められない分、それに応じて給料は低いです。例えば以下は、児童養護施設職員の障害者雇用・正社員求人です。

児童養護施設の入所者や職員向けの食堂の調理員の求人です。基本給は14万2千円からとなっており、高くありません。しかも、この求人の勤務時間は以下の通りです。

一般的な会社の勤務と比べて早朝勤務が多く変則的です。また、勤務によっては休憩時間が2時間の場合もあり、通院などの用事を済ませるにも中途半端です。拘束時間を考えると勤務時間は長く感じます。

このように調理の求人は、変則勤務にも関わらず、給与は低い場合があります。また、調理の求人に限らず資格や経験が求められない業務は、誰でもできる仕事なので相応に給与は下がることを理解しておきましょう。

また、せっかく正社員で入社して長く仕事を続けてもスキルが身に付きません。このため長く安定して働こうと思っている障害者は、「調理補助」のような簡単な業務ばかりの求人は避けましょう。

調理求人で土日週休2日・定時勤務が可能な障害者の働き方

このように、障害者雇用の調理求人は、高いスキルを必要としない仕事なので給与は低く、メインの勤務時間が一般の人の食事時間帯のため勤務は不規則であることが普通です。

ただ、調理求人の中でも定期時勤務や週休が土日2日もあります。こうした比較的恵まれた勤務環境の求人は少ないですが、生活規律や休日の過ごし方を大切にしたい障害者に適しています。

以下で、詳しい求人内容をみていきます。

学校給食求人であれば土日週休2日

調理求人でも土日祝日が休みとなる求人は、学校給食の求人です。小中学校の日課・行事に合わせた勤務となるためです。

例えば以下は、学校給食受託会社の障害者雇用・正社員求人です。

学校給食の調理を担当します。この求人の勤務や休日は以下の通りです。

勤務時間は午前8時30分から午後5時までの定時勤務であり、休日は土日の週休2日です。また春・夏休みも休日のため年休は141日間となっており充実しています。

学校に合わせた勤務時間と休日なので、生活のリズムを整えやすく充実した休日が過ごせます。また学校と同じ日数の夏休みなど、一般の会社勤務ではなかなか取得が難しい長期休暇も可能なので余暇の過ごし方も格段に充実しています。

このように調理求人で充実した生活リズムと休日をかなえたいときは、学校給食の調理求人を選ぶようにしましょう。

弁当製造の求人であれば定時勤務できる

他にも、ゆとりある働き方が可能な調理求人があります。それは、弁当などの調理求人です。弁当販売は主に昼食、夕食に合わせて販売されるため、勤務時間は昼食前の午前中と夕食前の午後が中心になります。

例えば以下は、弁当製造会社の障害者雇用・正社員求人です。

百貨店で販売する弁当・総菜の調理業務です。この求人の勤務時間は以下の通りです。

基本勤務は午前8時から午後5時までの定時勤務です。繁忙時でも午前9時から午後6時までとなっており、基本勤務と大差ありません。

調理の求人では交代制のシフト勤務が普通ですが、こうした弁当の製造は、販売する時間が明確に決まっているため勤務時間も定時になります。

このように調理求人でも弁当の製造であれば定時勤務も可能となり、規則正しい生活で働くことができます。

就労定着支援A型事業所求人で無理なく働く

障害者の場合、調理求人ではこうした求人よりもさらに勤務日や勤務時間に恵まれた求人はあります。それは、就労定着支援事業所が運営する食堂や弁当製造の求人です。

就労定着支援は福祉サービスなので、障害者は事業者の求人に対してサービスの利用者として応募します。これは利用者である障害者が、支援員の支援を受けながら給料をもらって働くからです。

就労定着支援を担うのは、行政から委託された民間の事業所です。事業所は障害者を雇用して製造やサービスの現場に従事してもらいます。障害者は、そこで働きながら支援を受けて実務を通じて心身を回復させ、一般の会社に継続して就労できることを目指します。

また、事業所では一般の民間の会社と同じように製品を作ったり、サービスを提供・販売したりしているため、利用者は事業所が上げた利益から給与を受け取ります。

なお、就労定着支援事業所にはA型とB型があります。A型は事業所と雇用契約を結ぶので一般の会社と同じです。

一方、B型は雇用契約を結ばないため、支援・訓練の意味合いが強く、重度の知的障害者などが多いです。

調理の求人では高いスキルが求められないのが普通であるため、就労定着支援に適しています。このため、弁当の製造や飲食店を運営する事業所は多いです。

例えば以下は、障害者福祉サービス会社の障害者雇用・正社員求人です。

就労継続支援A型事業所で弁当製造の調理員として働きます。この求人の勤務時間は以下の通りです。

午前9時から午後5時までの定時勤務です。この求人の休日は以下の通りです。

休日は土日・祝日となっており、年間休日は121日となっていて多いです。

前述のとおり、就労定着支援は福祉サービスです。うつや精神障害者のように生活規律から整えなければならない障害者は多いため、勤務時間や休日には手厚い配慮がなされています。

ただし、勤務に負担が少ないため給与は低く、この求人では、月給が11万7千円となっています。

このため、就労定着支援事業所の調理求人は、一般の会社や店舗に就労する前に福祉サービスで就労の訓練を受けながら徐々に仕事に慣れていきたいと考えている障害者に適しています。

まとめ

障害者雇用の調理求人ではスキルや知識が求められないため、障害の種別を問わず応募できる求人が多いです。また、勤務時間は一般の人の昼食・夕食前後の時間帯以外は相談に応じてもらえます。このため、休憩時間や短時間勤務を活用して通院などができます。

また、ひとりで黙々と作業できるので、うつや精神障害で対人不安の強い障害者や、ひとりで没頭して作業することを好む発達障害者にも適しています。

ただ調理は、一般の人が休む時に働く仕事なので勤務時間や休日が不規則です。また単純作業のためスキルが身に付かず、給与が上がりません。こうしたデメリットは、学校給食や弁当製造にはありませんが求人数は限られます。また、就労定着支援事業所の利用によって、短時間勤務や充実した休日が可能ですが、給与は少ないです。

このように調理求人のメリット・デメリットは様々ですが、ひとりひとりが自身の障害と向き合い、キャリアプランをよく考えたうえで求人を選びましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。