好奇心旺盛で創作意欲の高い人は、障害者にも多いです。そのような障害者が事務職や営業職として働いている場合、物足りなさを感じてクリエイターの仕事を希望することがあります。

ただクリエイターを目指すとき、クリエイティブ職は即戦力の求人が多いです。そのため、好きなことを仕事にするためだけで転職活動を始めてもうまくいきません。

また、クリエイティブ職は創造性を重視する特殊な仕事なので、プロ意識ばかりが先走っている会社の中には、障害者への配慮が足りない会社は多いです。このため、過酷な働く環境の中で苦しんでいるクリエイターもいます。

ここでは、障害者がクリエイティブ職の求人で就職や転職するときに知っておきたいことや方法について解説します。

クリエイティブ業界はブラック企業が多くても大手障害者求人は別

一般的に、クリエイティブ業界は「ブラックな職場が多い」といわれています。これは会社によりますが、クリエイティブ職はゼロから創造する仕事なので、生産性や効率よりも発想力とこだわりを重視する職場が多いからです。

プロとして試行錯誤しながらいいものを作ろうとするため、サービス残業や休日残業が当たり前です。求人内容では「週休2日」や「残業が少ない」が明記されていても守られず、ひどい場合は交通費すら支給がないこともあります。

一方で大企業の障害者求人では、クリエイティブ職でも土日祝日完全週休2日制や年間休日120日以上が普通です。大手ではほかにも、さらに休日の充実した求人はあります。

例えば以下は、大手地図会社の障害者雇用のクリエイティブ職の正社員求人です。

休日が充実していることが明記されていますが、詳細は以下の通りです。

この求人では、有給休暇とは別に10日の夏季の特別休暇が取得可能です。また、障害者への配慮については施設面や環境面で身体障害者だけでなく、精神障害者にも充実していることがわかります。

このように、大手障害者採用の求人であれば、クリエイティブ職でも休日や待遇が充実しています。また、障害への配慮も求人の内容通りに行われているのが普通です。

大手企業の中でも障害者雇用を積極的に行うような意識の高い会社が障害への配慮を欠いたり、求人内容の休日日数や各種手当を反故にしたりようなことはありません。

なお、クリエイティブ職の求人は一般枠では企業規模が大手から零細の会社まで様々ですが、障害者雇用ではほとんどが大手に限られます。大手の場合、法定の障害者雇用率を達成しなければならないからです。

このため、障害者が配慮を受けながら安定して長く働きたいと考えるとき、大手の会社をねらう必要があります。

クリエイティブ関連の障害者雇用求人に必要なのは実務経験

それでは、障害者雇用のクリエイティブの職種とは具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

広告やデザイン業界に限らずどのような業界でも必要なクリエイティブ部門ですが、クリエイターには様々な種類があります。主なものは、以下の通りです。

  • グラフィックデザイナー
  • Webデザイナー
  • ゲームデザイナー
  • ライター

これらの職業のうち、障害者雇用の求人の大半はWebデザイナーやグラフィックデザイナーです。これらデザイン系の2つの職種だけで、クリエイティブ関連求人の8割を占めます。

そこで以下では、クリエイティブ職の求人の特徴や障害者雇用にはどのような求人があるのかを見ていきます。

イラストとデザインツールの両方のスキルが必要な求人が多い

クリエイターがイラストをデザインするときに使うのが、パソコンソフトを利用したデザインツールです。デザインした作品をデータ化して次の工程に回さなければならないため、デザインツールの使用経験が必須となっている求人が多いです。

例えば以下は、アーケードゲーム会社の障害者向けクリエイター正社員求人です。

この求人では、グラフィックデザイナーとしてクレーンゲームのぬいぐるみのデザインなどを担当します。以下は求人内容です。

デザインツールとしてillustratorやPhotoshopの使用経験が必要です。これらのデザインツールは、ビジネスではどの会社でも共通で使用しており、デザイナーに限らずイラストレーターなどのクリエイティブ関連職では必須です。例えば以下は、illustratorの作業画面です。

せっかくイラストやデザインの経験が豊富でも、趣味でイラストによるSAIやGIMPなどの違うデザインツールばかりを使用していた場合、別のソフトに慣れるまでに相当もたつきます。そのため、即戦力を採用したつもりの採用側をいらだたせることにもなりかねません。

このため、クリエイター求人では早いうちからillustratorとPhotoshopの扱いに慣れておくことが必要です。

Web制作の求人ではデザインとコーディングの両方のスキルが必要

一方、Web制作ではデザインツール以外にプログラミング言語を入力するコーディングを担うことがあります。このため、デザイン以外にもコーディングの実務経験を求める求人が多いです。

例えば以下は、Webデザイナーの障害者雇用のクリエイター正社員求人です。

この求人では、Webサイトのデザインのほかにコーディングの実務経験が条件です。Webサイトを制作するための即戦力の求人なので、コーディングも必要な知識と技術だからです。

採用面接のとき、デザインであれば過去の作品であるポートフォリオを提示すれば、採用側は技量を推し量れます。一方、コーディングのスキルは採用側に分かりづらい場合があり、採用側の期待とのミスマッチを避けるためにも実務経験を重視します。

特に中小のWeb制作会社では、ひとりで何役もこなさなければならない場合があります。新たに入社した人に対して、いちいちコーディングの手ほどきをする暇はありません。このため、Webデザイナーの即戦力として就職や転職をするには、コーディングなどのWeb制作の実務の経験が必要です。

実務経験の有無に応じて可能なクリエイティブの障害者雇用求人

クリエイティブ職の求人内容は、スキルや経験について「実務経験必須」と「未経験の応募可能の求人」に分かれます。前述の通り、即戦力重視の求人が多いので、実務経験が条件の求人が大半です。

ただ、即戦力が一般的なクリエイティブ職の中で、未経験でも応募可能な求人はあります。また、実務経験が豊富な場合、それを活かして将来管理職としての立場を期待する障害者枠の求人もあります。

未経験でも応募可能のクリエイティブ職求人がある

クリエイティブ職はプロ意識の高い人たちが、それぞれのスキルを発揮してひとつの仕事を完成させます。そのため中小の会社で未経験でも応募可能な求人は、ほとんど存在しません。

一方、人材が豊富で分業が進んでいる大手では役割が特化されており、障害者の経験に応じて様々な職務があります。そのため、未経験でも応募可能の求人があります。

例えば以下は、大手広告代理店子会社の障害者雇用正社員求人です。

広告制作でグラフィックデザインやWebデザインなどの求人であり、未経験者でも応募可能です。さらに在宅勤務も可能となっており、働き方に障害への配慮もあります。

クリエイティブ職では、中小企業に「未経験者でもOK」「在宅勤務OK」は、なかなか見つけることはできません。一方、障害者を法律で雇用しなければならない大手では障害者に簡単に退職されては困るので、障害者に対して理解や配慮が行き届いています。

補助職の求人からキャリアを始める障害者求人

障害者雇用では、未経験OK求人はほかにもあります。クリエイティブ職の補助から始める求人です。クリエイティブ職は、創造性とビジネスを両立させなければならない特殊な仕事なので、「未経験では、うまくやれないのではないか」という不安からから心理的に負担になる場合があります。

このとき、大手では補助職としての障害者求人が存在します。例えば以下は、IT企業のWeb制作の障害者正社員求人です。

Web制作のアシスタントとして応募可能な求人です。以下は、この求人の未経験障害者の雇用事例です。

身体障害者がプログラミングやデザインを勉強して、1年でデザイン業務全般を担っています。これは、未経験で入社後、勉強させて一人前に成長することを前提にしています。

このように、大手であれば障害者雇用でも焦らずスキルアップできる環境が整った求人も存在します。

クリエイティブ職のハイキャリア求人で管理職を目指す

一方で、クリエイティブ職で長い実務経験がある障害者が将来のキャリアプランを考えて、大手へ転職したいと考える人もいます。このとき、大手のクリエイティブ職は、将来のポストとして管理職を期待した障害者求人が存在します。

例えば以下は、大手情報通信会社の子会社の障害者雇用正社員求人です。

サイトやアプリなどのユーザーの利便性を追求するUX設計について、将来のリーダー候補の求人です。以下は、この求人の応募資格です。

UXの実務、まとめ役としての経験や知識を必須としています。即戦力以外に将来のWeb制作を担う人材を求めていることがわかります。

日本を代表する大手情報通信会社の関連企業の管理職ポストでありハイキャリア求人のため、応募条件のハードルは高いです。ただ、キャリアとしての寿命が他の職種と比べて短いのが普通のクリエイティブ職種のであるものの、このように将来のポストを明記している求人であれば、障害者でも長く安定して働くことができます。

まとめ

クリエイティブ職は、一般的に「ブラック企業が多い」といわれていますが、創造性とビジネスの効率を両立させなければいけない特殊性があり、サービス残業や休日出勤などの労働を強いる会社はあります。

一方で障害者雇用の場合、法定の障害者雇用率を守らなければならない大手の会社の求人がほとんどであるため、完全週休2日や在宅勤務OKなど働く環境は恵まれています。

また、クリエイティブ職は即戦力の求人が多く、実務経験が必須なのが普通です。ただ大手の障害者雇用の求人では、未経験者でも応募可能な求人は多いです。一方、経験豊富な障害者の場合は、将来のポストが明確なハイキャリアを目指す求人も存在します。

このように、障害者がクリエイティブ職で就職や転職を成功させるためには、大手の求人でスキルや経験に応じてどのような働き方ができるのかを分析して、キャリアプランが描けるのかを考えて求人を選びましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。