留学経験があったり、学生時代や社会人で働きながら英語を学んだりして英検資格を取得した障害者は多いです。ただ、せっかくの英語スキルを活かせないまま日々の仕事に埋もれている人がいます。

このとき、英語を活かして外資系企業に勤務したり事務の仕事ができたりすれば、給与アップや将来のキャリアアップの可能性があります。例えば、外資系企業や英語力が必須の事務職求人では、障害者でも初年度から年収400万円以上の求人が多く、一般的な事務職よりも50~100万円くらい高いです。

また英語ができれば、障害者求人に応募したときに書類選考の段階で足切りされることは滅多にないです。実務経験が浅くても、英語力があるというだけで重宝されるからです。

ただ、英語力のレベルは人それぞれですが、障害者には各レベルに合った求人があります。以下で、英語力を活かす障害者求人の中から各レベルごとに、どのような求人を選べばいいのかをみていきます。

ビジネス英語レベルの求人の目安はTOEIC800点以上

英語を活かした求人は豊富であり、これは障害者雇用も同じです。多くの会社で英語のスキルを必要としているからです。ただ求められる英語力は、日常の英会話レベルからビジネス英語まで会社によって様々です。

このとき英語力に自信のある障害者には、ビジネスの実務で頻繁に英語を使う求人があります。ただ、今の自分の英語の実力が実務でどの程度通用するのかよく分かりません。

このとき、多くの英語を使える即戦力の求人でみられるのがビジネス英語レベルという条件です。例えば以下は、外資系メーカーの事務職の障害者雇用・正社員求人です。

この求人は事務職であり、ビジネスレベルの英語力が応募条件になっています。年収は、初年度から500万円からとなっており、高いです。このことから、高いレベルの英語力が必要であることわかります。この求人の障害者実績などは以下の通りです。

この会社では様々な身体障害者の雇用実績があり、働き方や施設面で多くの配慮があります。以下は、この求人の詳細です。

事務職ですが、応募条件の英語力がビジネスレベルと記されています。この求人のように、ビジネスシーンで即戦力として英語スキルを必須とする求人に多いのが、ビジネス英語レベルです。ただ、これだけでは具体的にどの程度の英語力が必要なのかわかりません。

そもそもビジネス英語という言葉に定義はありません。このため自分の英語力が、求人で求められるビジネス英語のレベルに達しているかどうかはわかりづらいです。

求人条件にあるビジネス英語のレベルとは、実際はどの程度の英語力を指すのでしょうか。それは、日常会話に加えてビジネスシーンにおいて、文章や会話で差し支えない程度の英語力です。必ずしも専門的だったり、難しい単語を理解する力を求めていたりするわけではありません。

このとき英語を必須とする求人には、目安となるレベルがあります。それは、TOEICの点数です。例えば以下は大手発電事業会社の障害者採用・正社員求人です。

この求人は、資料作成や電話接客対応などの事務職求人です。この求人の応募条件は、以下の通りです。

応募条件として、ビジネス英語レベルとなっています。そしてビジネス英語レベルの目安がTOEIC800点以上となっています。TOEIC800点というのは、英検準1級よりも高いレベルです。このようにビジネス英語のスキルが必須の求人は、TOEIC800点以上が目安となっていることが多いです。

ビジネス英語スキルが必須の求人では、英文のビジネス文書を読みこなしたり、作成したりしたりします。このときビジネスにふさわしい言い回しや言葉遣いを理解し、文章にできることが求められます。

このようにビジネス英語スキルが必須の障害者求人では、英語力の目安がおおむねTOEIC800点以上であることを理解しておきましょう。

TOEIC600点程度でも応募可能の求人

一方で「TOEICが800点以上は高すぎて自分には無理」と考える障害者も多いです。ただ障害者雇用の場合、TOEICで800点以下でも英語を活かした仕事は多いです。障害者雇用で採用側が求める英語力は、会社によって様々だからです。

このため800点未満であっても応募可能だったり、応募条件にTOEICや英検がなかったりする会社は多いです。例えば以下は、外資系商社の障害者雇用・正社員求人です。

この求人は経理職の求人です。この求人の応募要件は以下の通りです。

求人の応募用件は、TOEIC600点以上となっています。これは英検2級、つまり高卒・大学入試レベルです。この求人のように社内で頻繁に英語が交わされている外資系の会社であっても、障害者雇用では職種によっては外資系でも高いレベルの英語力を必要としません。

このため、英語が得意でもブランクが長かったり英語の実務経験に乏しかったりする障害者は、TOEIC600点以上のレベルの求人から選ぶようにしましょう

英語力歓迎の求人で有利に就職・転職する

一方で障害者求人の中には、英語力を必須でなく「英語力があれば尚可」のように英語力を歓迎する求人は多いです。採用試験で2人の応募者が同じ評価だった場合、間違いなく英語力のある人材の方が採用されます。このため、英語の資格を所持しておけば就職や転職では有利になります。

このとき、英語力はどの程度あればプラス要素として認められるのでしょうか。このとき、英語力の基準を明確に示していない障害者求人は多いです。例えば以下は、障害者求人サイトの海外展開する商社の障害者雇用・正社員求人です。

専門商社の事務職求人です。応募要件は以下の通りです。

この求人のように、障害者雇用でも海外展開する企業は英語力のある人材を常に求めています。ただ語学力を歓迎する障害者求人には、この求人のように具体的にどの程度が採用側の求めるレベルなのか記されていないことが多いです。

それでは、どの程度の英語力があれば歓迎されるのでしょうか。それは、先述したTOEIC600点以上です。一般的にTOEIC600点以上は、英語基礎力と応用力を持ち合わせているいえます。このレベルが履歴書にも英語力としてアピールできる最低ラインです。

このため一般の上場企業では、TOEIC600点以上から採用でプラス要素とみなされています。

英語力のある人を歓迎する障害者求人では、具体的な条件が記されていない場合、TOEIC600点以上を目安と考えて求人選びをしましょう。

英会話初心者レベルでも応募可能な求人で英語力を磨く

一方で、英語の資格や実務経験はなく「学生時代に英語の点数がよかった」というレベルの障害者がいます。

このような障害者の中には、今後のキャリアアップのために実務を通して英語力をつけたいと考えている人は多いです。こういった障害者にも、英語を使う障害者雇用の求人があります。

例えば以下は、外資系メーカーの障害者採用・正社員求人です。

この求人は、生産管理部門の事務職です。英文メールのほかinvoice(商業送り状)作成などで英語を使用します。以下は応募条件です。

英語スキルはTOEIC400点程度となっています。これは英検3級の英語初級者レベルなので、外資系でも英語スキルを必要としないことがわかります。事務職であれば英文で書類を作成することもあり、日常会話にないビジネスシーン特有の言い回しがあります。

ただ、定型的なビジネス英文が用意されていることが多いので、定型文に習って英文を作ることを繰り返して慣れてくれば難しくありません。つまりこのような求人の場合、英語を使って仕事することに抵抗がない障害者であれば誰でも応募できます。

英語が必須の求人でも、応募条件の緩い障害者求人は多いです。このような求人は、今後実務を通してビジネス英語を習得したい障害者に適しています。

英語を活かせる障害者求人は多種多様

このように障害者求人は、英語力が高いレベルから低いレベルまで様々です。では英語を活かした障害者求人には、具体的にどのような職種があるのでしょうか。

このとき障害者雇用では、英語力があるからといって障害があるので海外出張を強要されることはありません。

一方、障害でも差し支えなく仕事ができるのは、障害者英文事務や翻訳など事務職です。これらの仕事に必要なのは集中力です。早く正確に英文翻訳や作成をするには、没頭して仕事に取り組むことが重要です。自閉スペクトラム症の発達障害者など、集中力に強みを持つ障害者には適しています。

以下で、英語を活かした障害者雇用の職種にはどのような求人があるのかをみていきます。

英文事務の障害者求人は会話能力も必要

障害者雇用は、前述のように英文事務の求人が多いです。英文事務職といっても、英文の読解や作成に限りません。事務職なので電話対応や接客など、会話能力が必要です。

例えば以下は、生命保険会社の英文事務の障害者雇用・正社員求人です。

翻訳や英文資料作成などの事務職求人です。TOEIC800点以上が応募条件となっていますが、実務経験を必要としています。年収は初年度から450万円からであり、高いです。

英文事務の障害者雇用の求人は、この求人のように高い英語力が必要なものが多いです。また、はじめから高い英語力を必要とする即戦力求人のため、給与は高めです。

英文事務では英文のビジネス文書作成のほかにも、電話や翻訳などの事務仕事全般を英語で担うことになり、高い英会話能力も求められます。このため英文事務の求人は、事務職でビジネス英語の実務経験が豊富な障害者には適しています。

英語翻訳はビジネス英語スキルが必須

一方翻訳の求人内容は、文章の和訳や英訳に特化されていることが多いです。このとき、業界の専門的な知識・単語や英文・日本語文両方の文章力が高いことが求められます。英語力に関しては、ビジネス英語レベルが最低でも必要です。

一方、英文事務職求人のように会話力は高いに越したことはありませんが、英会話に高いスキルを求める求人はありません。例えば以下は、IT企業の障害者雇用の翻訳担当者・正社員求人です。

英語や韓国語の翻訳スタッフの求人です。TOEIC700点以上の英語力が必要であり、ビジネス英語の実務経験者であれば有利です。

一般的にTOEICの試験を目安にして語られることが多いですが、TOEICの試験はリーディングとリスニングだけです。英検のように面接がありません。このため、TOEICが800点以上あっても英会話ができない人はいます。

このときTOEICで高得点でも実務経験が浅く、ビジネスでの英語の会話力に自信がなくても、リーディングやリスニングに長けた障害者には翻訳の求人であれば適しています。

在宅勤務求人で無理なく働く

障害のために出勤が困難な場合、就職や転職を考えている障害者は多いです。このとき、英語力を活かして在宅ワークの可能な障害者求人があります。自宅にネット環境があれば、翻訳や事務仕事を中心にリモートワークが可能だからです。

障害者求人は、法定で一定割合の障害者の雇用が義務付けられている大手の求人ばかりなので数が限られており、大都市に集中しています。

このとき在宅勤務であれば、全国どこででも仕事する場所や時間が縛られません。このため、求人で在宅勤務を視野に入れれば選択の幅を全国に増やすことができます。

例えば以下は、フェイスブック日本法人の障害者・正社員求人です。

事務職を中心とした在宅勤務の求人であり、経験やスキルによることが記されています。この求人の応募用件は以下の通りです。

英語ビジネスレベルを必須としています。また、外国人上司との会話があるので在宅でも英会話スキルが必要です。

このように英語の読み書きや英会話のスキルがバランスよく高ければ、地方在住の障害者でもグローバル企業の求人にチャレンジできます。

また、語学力を活かした障害者求人は、事務職が多い傾向にあります。事務職であれば、身体や精神を酷使せずに仕事できることが多いので、在宅でも十分勤務することができます。

このため地元で英語力が活かせる障害者求人がなくて困っている障害者や、出勤が困難で就職・転職を考えている障害者は在宅勤務求人を視野に入れましょう。

まとめ

英語力の高い障害者が、ビジネス英語レベル必須の障害者雇用求人で応募する場合、目安はTOEIC800点以上です。

また、TOEIC600点くらいのレベルでの場合も、英語力を歓迎する求人に応募して実務英語を身につけることができます。さらに英語力が初級者レベルでも、実務英語を身につけたいのであれば、応募可能な障害者求人を選ぶこともできます。

英語力を活かした障害者雇用求人は多種多様です。出勤の困難な障害者はネット環境があれば、英語を活かして在宅勤務も可能です。また、高い英語スキルを活かして英文事務で高収入を得ながら働くこともできます。さらに、会話に自信がなくても翻訳であれば、和訳や英訳に特化して働くこともできます。

このように英語を活かした障害者雇用求人は職種が幅広く、障害に応じた様々な働き方ができます。このため今の英語力をさらに磨き、自分のキャリアデザインに合うような求人を選ぶようにしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。