「障害者として就職や転職を考えているけど、何から始めればいいのか分からない…」
「自分に合った仕事を見つけるには、どんなことを意識すればいいの?」
こんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。障害者の就職や転職には、不安や疑問がたくさんありますよね。
この記事では、様々な就職活動実績を踏まえて就職・転職活動のやり方をわかりやすくステップごとに解説します。具体的な求人の例もご紹介しますので、参考にしながら一歩を踏み出してみてください。
自分に合った仕事を見つけて、納得のいくキャリアを築くお手伝いができれば幸いです!
もくじ
あきらめなくていい:障害があっても活躍できる仕事はある
「最初はあきらめかけた」。そう語るのは、重い脊髄損傷を負いながらもITエンジニアとして働く私の友人です。しかし、彼は今、最前線で働いています。その理由はシンプルです——在宅勤務制度と座位保持装置という2つの支援があったからです。
「自分には無理かもしれない」と感じている人もいるかもしれません。でも、適切な支援があれば、可能性は大きく広がるのです。
障害者雇用の現実:数字だけでは見えない課題
日本の障害者雇用は確実に前進しています。厚生労働省の最新データでは、民間企業の障害者雇用率は20年前の約2倍になりました。
しかし、その裏には厳しい現実もあります。特に、重度障害者の就職率はわずか25%。つまり、4人に3人が「働きたい」と思って就活をしても、その機会を得られていないのです。
しかし、これは「あきらめる」意味ではありません。「どうすれば働けるのか?」を考えることが大切です。
「できない」ではなく、「どうすればできるか」
実際に、障害者雇用を進める企業では、工夫によって働きやすい環境を実現しています。
たとえば、ある製造業の大手企業では、知的障害のある従業員向けに作業手順を写真付きマニュアルで見えるようにしました。その結果、生産性が30%向上し、離職率も大幅に下がりました。
重要なのは、「できない」と決めつけるのではなく、「どうすればできるか」を考えることです。あなたに合った仕事や働き方が必ずあります。企業側の工夫だけでなく、あなた自身も「自分に何が必要か」を知り、それを活かせる環境を探すことが大切です。
「自分にもできる仕事があるのだろうか?」と思っているあなたへ。答えはYESです。大事なのは、適切なサポートと、自分に合った働き方を見つけることです。可能性を信じて、一歩踏み出してみませんか?
転職の準備段階
活動を始めるときは、まずしっかりと準備をすることが大切です。最初の準備を丁寧に行うことで、後の成功につながります。
自分を理解し「就活の軸」を決めることから始めよう
「車椅子だから、できる仕事は限られている…」
私の友人は最初、そう考えていました。でも、実は違ったんです。自己分析で、彼の「得意」を探っていくと、意外な強みが見えてきました。
それは「パソコンのトラブル対応」。前の職場では、同僚のパソコンが動かなくなると、いつも彼が呼ばれていたそうです。車椅子に乗ったまま、リモートデスクトップを使って問題を解決。「ありがとう、助かった!」という言葉を、週に何度も耳にしていました。
でも彼は、それを「強み」だと思っていなかったんです。「誰でもできること」だと。
そこで私は提案しました。「1週間、自分が他人から頼られたことをメモしてみないか?」
結果、こんなリストができました:
- パソコンの調子が悪い時の対処法を説明
- 新入社員へのExcel操作のレクチャー
- 社内システムの使い方マニュアル作成
見えてきましたよね?彼には「技術的な知識」と「分かりやすく教える力」という2つの強みがあったんです。
この発見を活かして、彼は現在、ITサポート企業でテクニカルアドバイザーとして活躍しています。しかも、在宅勤務中心。車椅子の制約を感じることなく、むしろ自分の強みを存分に発揮できる環境を見つけられたのです。
下の写真は、友人の車いすです。
大切なのは、「障害があるから○○は無理」と決めつけないこと。まずは、あなたが「誰かの役に立てた経験」「感謝された瞬間」を書き出してみましょう。その中に、きっと新しい可能性のヒントが隠れているはずです。
障害者の就職活動で、見落としがちだけど実は超大切なポイント
「みなさん、面接でスーツを着るのは当たり前ですよね。でも、例えば車椅子ユーザーの場合、スーツのズボンが車輪に巻き込まれないか、事前にチェックが必要かもしれません。」障害者雇用で10年以上働く私の知人は、こう指摘します。
就職準備って、障害によって全然違うんです。
たとえば、身体障害のある人の場合。「会社まで行けるか」という問題が、想像以上に重要です。Googleマップで会社周辺を確認する、実際に通勤経路を下見する…こんな準備が必要になってきます。「エレベーターはある?」「点字ブロックは設置されてる?」「休憩スペースの入り口は車椅子が通れる?」
一方、精神障害のある人の場合は? 「明日から出社時間を30分早めてください」 こんな急な変更が、想像以上のストレスになることも。だから面接では、「急な予定変更がある仕事は避けたい」「休憩は必ず1時間欲しい」など、自分にとって譲れないポイントを、はっきり伝えることが超重要です。
ある発達障害のあるITエンジニアはこう言います。「最初は『障害のことを言うと採用されないかも』と心配でした。でも、自分の特性を隠して入社したら、結局1ヶ月で体調を崩して退職。次の会社では障害者雇用で転職し、障害を正直に伝えたら、『じゃあ、この部分はこう工夫しよう』と提案してくれて、もう3年も働けています」
つまり、障害に応じた準備って、実は「自分らしく働き続けるための作戦会議」なんです。焦って始めるより、しっかり準備して臨むほうが、絶対に賢明です。
専門の支援を活用しよう
転職エージェントや支援機関を利用するのも有効です。たとえば障害者専門の転職エージェントに相談すれば、自分に合った求人を提案してもらえるだけでなく、履歴書の書き方や面接の練習もサポートしてくれます。
また「面接で障害についてどう話せばいいか分からなかった」という人が、エージェントのアドバイスを受けて自信を持って説明できるようになったという例もあります。
キャリアプランニングを考える
転職は目の前の仕事だけでなく、将来のキャリアを見据える良い機会です。以下の手順でキャリアプランニングを進めてみましょう。
- 目標を設定する:「5年後には営業職としてマネージャーになりたい」など、目指す姿を明確にします。
- 必要なスキルや経験を洗い出す:たとえば、「営業職ならコミュニケーション能力を高める研修を受けたい」といったスキルを考えましょう。
- 具体的な行動計画を立てる:「半年以内に営業職に就職し、1年後には業績トップを目指す」といった短期・中期の計画を立てます。
転職活動は、ひとつひとつの小さな準備が積み重なり、大きな成功につながります。焦らず、自分に合った方法で進めていきましょう。
具体例を交えつつ、自分らしい転職を目指してみてください。キャリアプランニングは、長期的な視点で考えることが重要です。
転職のベストタイミングを見極めよう
「転職したいけど、いつがベストなんだろう?」そんな悩みを抱えていませんか?
障害者求人には「採用が増える時期」があるんでしょうか。この章では、あなたの転職を成功に導くベストなタイミングをお伝えします。
障害者求人が増える時期ってあるの?
グーグルで「障害者 転職 時期」と検索すると…
- 「2~3月がベスト!」
- 「いや、9月です!」
- 「12月がおすすめ」
…え?どれが正解?
転職経験のある佐藤さん(視覚障害)は笑います。「私も最初は『ベストな時期』にこだわりすぎて、半年も待っちゃいました。でも今思えば、それは時間の無駄でしたね」
確かに、2〜3月と9月は求人が若干増える傾向にあります。
でも、それって”傾向”でしかありません。
現役の採用担当者たちの声を聞いてみましょう:
- 「うちは欠員が出たらすぐ募集します」(小売店・人事課長)
- 「好条件の求人なら、時期関係なくすぐ埋まっちゃいますよ」(就労支援センター職員)
- 「新規事業の立ち上げで、急募することも多いです」(IT企業・採用担当)
つまり?待つより動くことです。
具体的には:
- 毎週1回は求人サイトをチェック
- 気になる会社の採用ページをブックマーク
- ハローワークには定期的に通う
時期にこだわりすぎて、目の前のチャンスを逃さないように。あなたの「準備OK!」というタイミングこそが、実は最適な時期かもしれません。
年間の求人動向と応募のタイミング
「就職活動、いつ始めればいい?」
先日、就労支援センターでこんな会話がありました。
求職者:「そろそろ動き出したいんですけど…」
支援員:「じゃあ、今の生活リズムは安定してます?」
求職者:「はい、この3ヶ月はバッチリです」
支援員:「なら、その波に乗って始めるのが一番いいですよ」
確かに、業界ごとの特徴はあります:
- 一般企業は春の採用が多め
- IT企業は「今」がチャンス(通年採用が主流)
- 小売は秋の繁忙期前がアツい
でも、こんな声も:
- 「うちは人材が必要なときが採用のベストタイム。春も秋も関係ないです」 (某メーカーの人事担当者)
ただし!公務員だけは要注意。
- 市役所なら4月に案内→6月に試験
- 国家公務員なら6月に案内→9月に試験 …
というように、スケジュールがカチッと決まってます。
公務員以外なら、あなたのコンディションが整ったときが始めどき。 「その時期じゃないと」って思いすぎずに、準備ができたら動き出しましょう。
大切なのは時期より、あなたの「今なら頑張れる!」っていう気持ちなんです。
じっくり準備して、ベストのタイミングで動き出すことです。
転職活動の適切な期間の目安
「転職って、どれくらいの期間が必要なの?」
結論から言うと、3〜6ヶ月が目安です。
でも、これは平均的な期間。
短ければ1ヶ月で決まることもあれば、じっくり半年以上かけることも。
大切なのは、あなたのペースで進めることです。
具体的な期間の目安はこんな感じ:
- 準備期間:1〜2ヶ月
- 応募〜面接:1〜2ヶ月
- 内定〜入社:1〜2ヶ月
特に大切なのは、最初の準備期間。ここでしっかり準備することで、その後の期間を短縮できることも。
「早く決めたい!」という気持ちはわかります。
でも、あせって失敗するより、じっくり進めて成功する方が断然いいですよね。
このペースで進めれば、理想の職場に出会える可能性がグッと高まります。
あなたの転職、一緒に成功させましょう!
「理想の求人を見抜く」障害者のための求人広告の読み方を解説
求人を見て「これいいかも!」と思っても、実は罠がひそんでいることがあります。では、どう見極めればいいのか?以下の薬局の障害者雇用正社員求人を例に解説します。
これは、調剤薬局の事務職の求人です。具体的な仕事は以下の通りです。
この求人は調剤薬局事務なので一見難しそうですが、初心者であっても応募可能であることがわかります。
「障害者枠です!」だけで飛びつかない
「週休2日制」という表記を見て、すぐ安心していませんか?実は要注意です。「土日祝休み」なのか、「シフト制で不規則」なのかで、生活リズムが大きく変わります。
この求人では「日曜確実休み、他は平日シフト」。通院計画が立てやすいかどうか、よく考える必要があります。
「配慮します」の中身を具体的にチェック
「障害者への配慮あり」…これ、実は要注意フレーズです。
「どんな配慮が具体的にあるの?」という視点で見ると、この求人の本気度が見えてきます。また勤務時間については、以下の通りです。
この求人では
- フレックスタイム制を導入(コアタイム10時〜16時)
- 車いす対応のオフィス設備完備
- 通院による途中退社OK
「ふわっと」した表現ではなく、具体的な制度や設備が書かれている…これは好印象です。
例えば下の写真は、病院関係の受付事務の様子です。
こうした医療関係の事務は複雑で、ミスがないよう注意しなければいけませんが、そのためには、障害に関係なくベストな体調は欠かせません。
「実績」という宝の山を掘り下げる
「身体障害、精神障害、いずれも雇用実績あり」この一文、実は超重要です。なぜ?
「障害の種類が違っても採用している」= その会社は一人ひとりの特性に合わせて、働き方を柔軟に調整できる可能性が高いからです。
最後の決め手は「電話での反応」
実は、応募前の電話問い合わせが、その会社の本気度を測る最高のモノサシなんです。『通院のための早退についてもう少し詳しく教えてください』という質問への答え方で、会社の文化がよく分かります。
どうでしょう?具体例を交えながら、実践的なポイントを示してみました。
求人サイトで転職求人情報を見るときは、いくつかのポイントをしっかり確認することが大切です。これまで示してきた項目を参考にしてください。
履歴書の書き方・面接の受け方
私の知り合いの採用担当者は「私たち採用担当者は1枚の履歴書をたった15秒しか見ないんです。でも、この15秒で人生が変わることだってある。だから、この15秒を制するコツを知ることが、就職への第一歩なんです」と教えてくれました。
応募書類攻略のカギ、教えます。
履歴書の黄金律
「障害について書くのが怖い」という声をよく聞きます。でも、実はこう書き換えるだけで、印象が劇的に変わるんです。
- ポイント1:障害は「克服方法」とセットで書く
- ポイント2:数字で成果を示す
- ポイント3:具体的なツール名を入れる
障害について、こう書き換えるだけで印象が変わります:
×「聴覚障害があり、電話対応が困難です」 〇「Zoomのチャット機能やビジネスメールを駆使して、むしろスムーズなコミュニケーションを実現しています。前職では、この方法で顧客満足度を20%向上させました」 |
職務経歴書で差をつけるには
私の友人の車椅子ユーザーは、こんな職務経歴書で内定を獲得しました。
「デスクワークが中心の前職では、オフィスのレイアウト改善を提案。結果、チーム全体の動線が効率化され、生産性が15%向上しました。この経験は、御社の『働きやすさ改革』にも活かせると考えています」 |
- ポイント1:障害を強みに変える視点を示す
- ポイント2:会社全体への貢献を強調する
- ポイント3:志望企業の課題解決につなげる
未経験でも大丈夫!
経験がなくても、あなたの人生には必ずアピールポイントが眠っています。
- ポイント1:日常生活の経験を仕事のスキルに置き換える
- ポイント2:具体的な数や期間を入れる
- ポイント3:その経験で培った能力を明確に示す
例えば、地域の清掃ボランティアをしている方はこう書けます。
「月1回の地域清掃活動で、50人規模のボランティアのシフト管理を担当。調整力とコミュニケーション能力には自信があります」 |
自己PRの極意 型にはまった文章は、すぐに見破られます。代わりに、あなたにしかない具体的なエピソードを入れましょう。
×「まじめに仕事に取り組みます」 〇「これまで在宅ワークで、Trelloを使った業務管理を提案し、チームの進捗状況を見える化。納期遅れを0件に抑えました」 |
面接での必勝法
面接官が本当に知りたいのは、「あなたならどう働けるか」という具体的なイメージです。
例えば企業研究なら以下の通りです。
×「御社のSDGsへの取り組みに興味があります」 〇「御社が推進する省エネ活動について、具体的な数値目標や達成方法を教えていただけますか?」 |
模擬面接では、以下を意識して練習しましょう:
- 声のトーンは落ち着いて、でもエネルギッシュに
- 質問の意図を理解してから答える
- 具体例を2つは用意しておく
よくある質問への対応例:
質問「なぜ当社を志望したのですか?」
×「安定している会社だと思ったからです」 〇「御社の『テクノロジーで障壁をなくす』という理念に共感しました。私自身、音声入力ソフトで仕事の効率を3倍にした経験があり、このノウハウを活かして御社の働き方改革に貢献したいと考えています」 |
実は、完璧な応募書類に必要なのは、「できないこと」への言い訳ではなく、「自分ならではの価値」の証明なんです。あなたの中に眠る「強み」を見つけましょう。
面接の「質問タイム」を武器に変える方法
「その質問、すごくいいですね」
面接官の目が急に輝いた瞬間でした。私が過去に受けた面接で、こんな質問をしたんです。
「御社のチームで、最近『これは良い改善だった』と感じた取り組みを教えていただけますか?」
なぜこの質問が効果的だったのか?それは、会社の現在の課題や、問題解決への姿勢が見えてくるからです。実は面接での質問には、もっと戦略的な使い方があります。
例えば、この質問は要注意: 「残業は多いですか?」 (仕事を楽にこなしたい印象を与えかねません)
代わりに以下のように聞くといいです。
「1日の業務の流れを教えていただけますか?」 (時間の使い方に関心がある=仕事の効率を考えている印象を与えられます) |
また、こんな質問も効果的です。
「入社後3ヶ月の目標として、会社は何を期待されていますか?」 (具体的なイメージを持って仕事に取り組む姿勢をアピールできます) |
私が特に推奨するのは、会社の発展に関する質問です。
「今後5年間で、チームとして特に力を入れたい分野は何でしょうか?」 (将来を見据えた質問は、あなたの長期的なコミットメントを印象づけます) |
ただし、注意点が1つ。質問は最大2つまでにしましょう。多すぎると「準備しすぎ」な印象を与えかねません。質より量ではないのです。
そして最後に、黄金ルール: 面接官の答えにしっかり反応を示すこと。 「なるほど、それは私も大切だと思います。私の前職でも…」といった具合に、会話を発展させられれば完璧です。
質問は、単なる面接の締めくくりではありません。あなたの熱意をアピールする絶好のチャンスなんです。研究によると、質問する人はしない人よりも印象が良いという結果が出ています。たとえそれが些細な質問や的外れな質問だったとしてもです。
面接官の反応がいまいちだったり、答えに困るような質問をしてしまったりしても、落ち込む必要はありません。質問したという事実が、あなたの積極性や向上心をアピールしているからです。
勇気を出して質問することで、他の応募者と差をつけることができるかもしれません。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。