プログラマーやエンジニアの仕事は、初めての人には難しいと思って、IT業界への就職や転職をあきらめている障害を持つ人がいます。確かに、プログラマーやエンジニアは専門的なスキルが必要なので、未経験者を採用する会社は少ないです。
でも、プログラマーやエンジニアになるために必要なことをきちんと理解すれば、未経験者でもIT業界で働くことはできるんです。
障害を持つ人がプログラマーやエンジニアになるメリットは、身体の状態に関係なく仕事ができることです。体を使うきつい仕事じゃないから、身体の障害があっても大丈夫です。そして、精神の問題を抱える人も、人との関わりよりもITのスキルが重要視されることが多いので、適切なサポートがあれば、十分に仕事ができるのです。そのためIT業界では、障害を持つ人を採用する企業がたくさんあります。
だからこそ、障害を持つ人が未経験からプログラマーやエンジニアとしてIT業界で働くためには、どうすればいいのか、詳しく説明していきます。
もくじ
プログラマーやエンジニアの道:どんな障がい者に向いている?
プログラマーやエンジニアは、コンピュータ技術に関わる仕事をする人たちです。総じてITエンジニアと呼ばれることもありますが、これらは実は違う役割を持っています。
エンジニア(技術者)は、お客さんなどからの要望を聞いて、システムの設計を行い、開発から完成までの過程にかかわる人です。つまり、どんなシステムを作るかを考えたり、実際に作っていくプロセスに関わる人です。
一方、プログラマーは、プログラミング言語と呼ばれるコンピュータ専用の言語を使って、システムを作る人です。つまり、コンピュータにどのような指示を出すかを書いて、システムを組み立てていく役割を果たします。
ここでは、エンジニアとプログラマーの仕事の違いを考えながら、障がいを持つ人たちの特徴に注目して、どの人がどちらの仕事に向いているかを見ていきます。
コミュニケーション力があれば、エンジニアの可能性は無限大
エンジニアは、システムの設計を考える人で、プログラマーはその設計に基づいてプログラミングをする人です。そして、完成したシステムの保守や点検も担当します。
エンジニアは、システムを設計する専門家で、そのためシステムエンジニア(SE)とも呼ばれます。
エンジニアは、お客さんの要望を詳しく聞いて、正しく理解することが大切です。また、会社の中では、仲間たちと連携してシステムを作っていく必要があります。そのため、営業の人たちのような特性が求められ、コミュニケーション能力が大事です。
だから、コミュニケーションに苦労がなく、人との関わりでやりがいを感じる障がいを持つ人には、エンジニアの仕事が向いています。
たとえば、以下の求人は、障がいを持つ人向けの正社員求人の条件です。
これはエンジニアの仕事の求人です。この求人では、「周りの人とよくコミュニケーションを取る経験がある人」を探しています。
この求人だけでなく、ほとんどのエンジニアの求人は、コミュニケーションが大切だと考えています。だからこそ、コミュニケーションが得意な障がいを持つ人にとっては、エンジニアとしてスキルを伸ばし、活躍するチャンスがたくさん広がります。
集中力と確実性を活かすなら、プログラマーの道を探そう!
一方、プログラマーの仕事は、エンジニアが設計した計画に基づいてプログラミングをすることです。だから、確実で慎重な性格や、じっくり集中する力が必要です。だけど、正確なプログラミングスキルを早く身につけることも大切です。
コミュニケーション力は高いほうがいいですが、エンジニアほど重要ではありません。そのため、うつ病や精神障害を持つ人など、人との関わりを少なくして仕事を進めたい人には向いています。
たとえば、以下の求人は、障害を持つ人向けの未経験者でも応募できるプログラマーの求人です。
この求人では、「プログラマーは開発のプログラミングに集中できるよう、コミュニケーションはSE(システムエンジニア)が担う」と書かれています。これにより、プログラマーの仕事では、特に集中力が大切なことが分かります。
だから、例えば自閉スペクトラム症のような発達障害の人々は、人とうまく関わるのが苦手なこともあるけれど、一方でじっくりと集中することが得意な人がいます。そのため、こういった障がいを持つ人々は、プログラマーの仕事に特に向いているんです。
未経験障害者の転職挑戦:プログラミングスキルを身につける方法
プログラマーやエンジニアになるには、まずプログラミングのスキルを学び、実際にやってみて経験を積む必要があります。
しかし、プログラミングのスキルがまだない未経験の障害者の方にも、プログラマーやエンジニアとして働く求人があります。この場合、入社後に研修や実務の中でスキルを学びながら成長する機会が用意されています。例えば、以下の求人は、大手外資系企業が提供する、エンジニア未経験の障害者向けの正社員求人です。
この仕事の求人を見ると、入社した後に研修や実際の仕事を通じてエンジニアになることができることがわかります。
なぜ未経験の障害者でもこの仕事に採用されるのかというと、会社側が自分たちでエンジニアを育てる方法を知っているからです。そして、その会社が作るシステムに詳しいエンジニアを、会社の中で大切にできる利点があるんです。
このような求人なら、未経験の障害者でもお金をもらいながらエンジニアになる道を選び、スキルを上げていけるんです。
スキルアップをサポート:就労移行支援で未来へ一歩踏み出そう
でも、いくら未経験者を歓迎する求人でも、ITのスキルがある障害者とスキルがない障害者を比べると、当然最初からスキルのある障害者のほうが有利です。
プログラミングは、自分で勉強して習得することもできますが、未経験で何も知らない状態から始める自信がない障害者がたくさんいます。
だから、未経験のままでも、プログラマーやエンジニアとして働こうとする障害者には、仕事を探しながらパソコンのスキルを身につける方法があります。それが「就労移行支援」なんです。
就労移行支援っていうのは、障害のある人たちが仕事をするのをサポートするサービスです。だいたい半年から2年くらいの期間で、民間の事業所が運営しています。
通常の就労移行支援を使う人たちは、社会で働くための基本的なマナーやパソコンの基本的な使い方などを学んで、面接から仕事に就くまでのサポートを受けます。料金は生活保護を受けている人は無料で使えますが、他の人は収入に応じて毎月最大37200円までの費用がかかります。
全国にはたくさんの就労移行支援事業所がありますが、ほとんどの場所では基本的なビジネススキルを学ぶことができます。でも、中にはITのスキルを重点的に教える場所もあります。それが「IT特化型就労移行支援事業所」です。
IT特化型就労移行支援事業所では、普通の就労移行支援で学ぶことに加えて、プログラミングを学ぶための授業もあります。以下のリンクは、IT特化型の就労移行支援事業所の案内サイトです。
こういった就労移行支援事業所の中には、PythonやHTMLなどのプログラミング言語やソフトウェアを学ぶことに特化した場所もあります。IT特化型の就労支援事業所は、主に都市部で提供されていますが、テレワークを使って自宅からも受けることができる場合もあります。
未経験の障害者の場合、最初から独学でプログラミングを学ぶことが不安な人もいます。その人たちが、プログラマーやエンジニアとして働くためには、就職や転職を成功させるのは結構難しいかもしれません。だから、ITに特化した就労移行支援を利用することは、スキルを習得するだけでなく、仕事を見つけたり転職する際にもサポートしてもらえるので、安心感があります。
未経験障害者のための新たな道:プログラマーやエンジニア向け求人
プログラマーやエンジニアの経験がない障害を持つ人でも、応募できる仕事はあります。これらの求人では、入社した後、最初は簡単な作業から始めて、徐々にスキルを上げていくことができます。未経験者だから、高いスキルを持っている必要はありません。
ここでは、プログラマーやエンジニアの経験がない障害を持つ人に向けた、具体的な仕事について説明していきます。
会社の中で活躍:社内システムエンジニア・プログラマーの魅力
大きな会社では、人事や経理などの部門ごとに、自分たちのためのシステムを作っています。だから、各部門のシステムを専門的に開発したり保守したり、管理する仕事があります。
たとえば、以下の求人は、会社内のシステムを開発し、管理するエンジニアのポジションです。未経験の人でも応募できる障がい者向けの正社員求人です。
この求人では、会社内で使うシステムを作ることを考えています。このシステムがお客さんに提供するものではないので、システムの良し悪しは会社の評判に直接影響を与えません。だから、スキルがまだ高くない段階でも、あまりプレッシャーを感じずに仕事を進めることができます。
それに、システム開発の段階からその後の保守まで、ずっと関わることができます。だから、システム全体のことを学びたい未経験の障害者には、最初の仕事としてちょうどいいかもしれません。
会社のサポート拠点:社内ヘルプデスクの役割と魅力
IT業界への就職や転職を目指す未経験の障害者の方にとって、社内のヘルプデスクも適しています。ヘルプデスクは、主に社内のパソコンやシステムを使う社員からの問題や操作方法の質問に対応し、回答する役割を担っています。
社内のシステムに詳しければできる仕事なので、エンジニアやプログラマーのような実践的なスキルは必要ありません。そのため未経験者であっても、比較的早い段階で仕事を進めていけるようになるでしょう。
以下の求人は、プログラマーやエンジニア未経験でも応募可能な、メーカーのヘルプデスクの障害者向け正社員求人の例です。
この仕事の求人を見ると、基本的なパソコンスキルがあれば応募できることが分かります。そのため、社内のヘルプデスクの仕事は、将来プログラマーやエンジニアになるための第一歩として、未経験の障害者にぴったりの仕事です。
育成環境抜群!社内教育が充実した企業のチャンス
エンジニアやプログラマーの仕事は、ITの経験がある人が多く応募することが一般的です。しかし、その中でも未経験の障害者を歓迎する求人も存在します。こういった求人は、自社でシステムを作ったり管理したりする人材を育てるために用意されています。
たとえば、以下の求人は、外国の会社でシステムを開発する仕事の求人です。
システムを作る仕事は、他の会社に外注するのではなく、自分たちの会社のエンジニアが開発から管理までを一気に行う方が、たくさんの場合で効率的です。だから、時間はかかるかもしれませんが、人材を育てることが得意な大きな企業では、プログラミングの基礎から教えてくれる求人があるんです。
未経験から大きな仕事に挑戦したいという気持ちがある障害者の方には、このような求人がぴったりです。大きく成長したいという意欲を持っている人にとって、こうした求人はぴったりの機会です。
未経験でも輝く!障害者の面接アピールポイント
エンジニアやプログラマーに未経験の障害者は、実際に仕事をしたことがないので、面接でどんなことを話せばいいか戸惑うことがあります。また、企業側も障害者を採用する際、その人が持っている障害が問題を起こさないかを注意深く見極めます。
だから、未経験の障害者がエンジニアやプログラマーとして面接に臨むとき、次のことをアピールすることが大切です。
- 高い目標を持っていること。
- プログラミングに興味を持ち続けてきたこと。
- 障害が仕事に影響を与えないことや、自分の強みがあること。
- なぜその会社で働きたいのか、その理由があること。
これらのポイントを、自分の体験や実際の事例を交えて、企業側に説明することが大切です。
以下は、プログラマーやエンジニア未経験の障害者が志望動機として話す例です。
私は、楽しみながら仕事に集中する職人のようなプログラマーの皆さんに感銘を受け、貴社で働きたいと思っています。
私は発達障害者ですが、物事に集中する力が強みです。自分で学んでプログラムを組んで、簡単なロボットを作って友達に見せたことがあります。友達たちが喜んでくれて、その経験から得られる喜びを感じました。人との関わりが苦手でも、自分の得意なことを通じて人と繋がれることを実感しました。 私は技術を上達させて、どんなニーズにも対応できるエンジニアを目指し、実績を積んで貴社に貢献したいと思っています。 |
未経験の障害者の場合、採用側には「問題なく仕事ができる」「明確な目標と適性がある」ということをアピールする必要があります。やる気や覚悟も伝えることが大切です。
また、プログラマーやエンジニアが未経験でない場合、前職での経験が大切です。IT系企業のプログラマーやエンジニアは、他の業界の経験は少ないことがあります。だから志望動機で、前職の経験を活かして顧客のニーズを理解する力をアピールすると良いです。
このように、未経験の障害者でも、採用側の求めることと自分の得意や経験を合わせてアピールすることで、就職や転職を成功させることができるのです。
まとめ
ここで紹介した方法は、未経験者向けのプログラマーやエンジニアとして働くための方法です。専門的な職業であるプログラマーやエンジニアは、常にスキルを向上させていく必要があります。ですから、就職や転職が成功しても、これからの長いキャリアの始まりと考えるべきです。
そして、自分がどんなキャリアを築いていきたいのか、何を達成したいのかを考えながら、できるだけ多くの情報を集めて就職や転職活動を進めましょう。自分の将来を考えながら行動することが大切です。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。