校正の仕事は、本や記事の間違いを見つけて直す仕事です。障害のある人でも十分にできる仕事なので、多くの障害者が副業やパート、フリーランスとして校正の仕事をしています。

でも、フリーランスで働いていると「将来ずっと仕事が続くかな?」と不安に思う人もいます。会社で校正の仕事をしている人の中には、「職場が障害のことをあまり理解してくれない」と感じている人もいるでしょう。

そこで、障害のある人が校正の仕事に就くとき、どんな働き方ができるのか、みんなで考えてみましょう。また、障害への理解がある職場で、気持ちよく働くには、どんな求人を選べばいいのでしょうか。

この記事では、障害者雇用の特徴や、就職・転職するときに知っておくべきことについて、わかりやすく説明します。校正の仕事に興味がある障害者の皆さん、ぜひ参考にしてください。

校正の障害者雇用と働き方

校正からライターへスキルアップする求人

校正の仕事の求人はどのような内容でしょうか。それは、集中力と注意力が求められる仕事です。校正の仕事には、文章を素早く読み、誤字脱字やポイント、字体、字間・行間の間違いに気づく能力が必要です。もし間違いを見落とすと、会社内外の信用に大きな影響を与える可能性があります。そのため、校正の仕事は記事の品質を守るための最後のチェックとされています。

このような特徴から、校正の仕事は集中力を保ち、飽きずに文章を読み続けることができる人に向いています。特に、自閉スペクトラム症の発達障害を持つ人は、一度集中すると長時間取り組むことができるため、校正の仕事に適していると言えるでしょう。

一方で、注意力が散漫な障害者には校正の仕事は難しいです。例えば、ADHDの発達障害者は集中力が続かず、じっとしていられないことが多いので、避けたほうがいいでしょう。

ただ、校正の仕事はキャリアアップにつながることもあります。ライターが作成した様々な分野の文章をじっくり見ることで、未経験から専門知識やライティング技術が得られるからです。このため、校正の仕事をしていた人が経験者としてライターに転身することもあります。中には英語力を身に付けてスキルアップした事例もあります。

例えば以下は、IT企業の障害者採用の求人です。

この求人は大手の障害者雇用の正社員求人です。この求人の職種は以下の通りです。

業務内容の中に、校正の担当者があります。将来、具体例としてWebサイトの制作やライターになることもできます。

校正の仕事内容は、ライティングだけでなく、企画や編集など記事作成のノウハウを学ぶことができます。そのため、資格などがなくても将来の目標を持って校正の仕事に取り組めば、ライターやWeb制作などの仕事の選択肢が広がります。こうして校正だけでなく、他の分野でも長く安定して働くことができるようになります。

なお、校正には「校正技能検定」や「校正士」の資格がありますが、障害者の正社員求人でこれらの資格を必須とすることはほとんどありません。資格があっても実務経験がなければ意味がないからです。ですので、校正の求人を探す際には資格の有無をあまり気にしなくて良いでしょう。

障害者雇用には校正には在宅・フレックス・短時間勤務可能の正社員求人がある

校正の仕事は、ネットワーク環境があればリモートワークで完結できる場合があります。このため出勤が困難な障害者には、在宅勤務の校正の求人がおすすめです。

このとき大手の会社であれば、在宅勤務の求人があります。それは、大手であれば障害者の雇用実績が豊富で障害への配慮がある会社が多いからです。大手の障害者雇用の実績が豊富な理由は、法律で障害者を一定割合で雇用しなければならない義務を負っているからです。

このため障害への配慮の一環として、障害者に対して在宅勤務OKの求人があります。例えば以下は、大手広告代理店の障害者採用・正社員求人です。

Web関連の職種で、在宅勤務が可能の求人です。この求人の仕事内容は以下の通りです。

この求人は、サイト記事の校正です。ワードやエクセル、パワーポイントなどの基本スキルはもちろん、集中力が必要な校正の仕事を在宅で行うには、自己管理が必要です。たとえ在宅勤務が時間に縛られず、自由に勤務時間が設定できるからとっても、責任ある正社員の仕事です。子育てなどの合間に短時間でできるほど簡単な仕事はありません。このため注意力が散漫で自己管理が苦手だったり、校正の仕事に慣れていなかったりする障害者は避けたほうがいいです。

一方、校正のクラウドソーシングのアルバイトや副業などで在宅ワークに実績があり、在宅の校正に慣れた障害者には適しています。

このため在宅の求人を希望するときは、採用側にはこれまでの校正の実績をアピールして在宅でも即戦力で会社に貢献できることをアピールしましょう。

校正の担当者となるための障害者求人の選び方

前述したように、校正を専門とする会社の正社員の障害者求人はほとんどありません。また、一般の会社でも校正を専門とする部署の求人は少なく、あったとしても大企業に限られています。さらに、在宅勤務だけに絞ると、さらに選択肢が減ってしまいます。

では、少ない求人の中で校正の仕事として会社に勤務するにはどうしたら良いのでしょうか。それは、校正を必要とする一般の会社の求人にも目を向け、校正を担当する部署を希望することです。校正を専門とする部署は少ないですが、会社によっては他の仕事と一緒に校正を担当している部署もあります。

以下では、校正を必要とする具体的な求人について見ていきましょう。

校正担当者を目指すオープンポジション求人

出版社・新聞社・印刷所以外で校正を必要とする会社とは、どのような会社でしょうか。それは、広告代理店・Web制作会社などです。このような会社では書籍や記事、広告などの校正が必要です。なお、校正が必要な部署は会社によって様々です。

例えば以下は、ECサイトを運営する大手携帯電話会社の子会社の障害者雇用求人です。

この求人は、職種を特定しないオープンポジションです。このため採用後に本人の意向とスキルや経験に踏まえて職種が決まります。以下は、この求人内容と就労実績です。

この求人では、過去に採用された障害者の志向を踏まえ、サイト記事の校正に就労実績があることがわかります。

オープンポジションの求人でこれまでの実務経験や熱意、適性をアピールすれば、校正担当者として仕事ができることがあります。大手企業でも、校正を希望する障害者はあまり多くありません。Webサイトを運営する会社では、記事をたくさん作成しています。このため、オープンポジションの求人で校正の担当者として採用されるチャンスがあります。

校正を担う事務職求人

ただし、オープンポジションでの採用では、必ずしも校正の仕事に就けるわけではありません。会社の都合があるためです。そこで、校正の仕事を明記した求人のほうが確実です。

多くの一般の会社では、校正の仕事は他の業務と兼務していることが多いです。特に多いのが事務職です。このため、事務職の求人には文章の校正も含まれることがあります。

例えば以下は、NTTのグループの障害者雇用を目的とした特例子会社の障害者採用・正社員求人です。

これは障害者向け情報サイトを運営する会社の事務職の求人です。企画や人材育成、雑用などのほかに、記事の校正業務もあります。この求人のように、文字数の少ないWebサイトの記事であれば、事務仕事と一緒に校正の仕事もできます。また、Webサイトの記事は校正で見逃したミスが後でわかっても、すぐに訂正できます。そのため、出版社や印刷会社のように、校正でミスを見逃して印刷物を全部回収しなければならないような大きな損害になることはありません。

校正の仕事に慣れていない障害者が校正の求人を選ぶ場合は、このような一般の会社のWebサイトの校正を通じて経験を積むと良いでしょう。

校正を兼務する印刷会社の営業職求人

一方、校正の仕事は事務職だけに限りません。顧客の依頼で作成された簡単な印刷物の場合、顧客の要望を聞きながら校正をすることもあります。

例えば以下は、印刷会社の求人です。

この求人は、正社員の営業職求人です。求人内容には、印刷物を顧客と校正することが明記されています。なお、以下は採用側の事業内容です。

この会社は、障害者雇用を目的として設立された施設であり、障害者が応募できる求人があります。この求人では、ゲラ刷りを顧客に見せて、顧客のイメージや要望に応えています。印刷会社では、校正のミスは大きな問題になるので、慎重に行う必要があります。ただし、チラシや販促物などのシンプルなものの場合、校正は簡単です。そのため、顧客の反応をすぐに掴み、要望に応えるために、営業職員が顧客と一緒に校正をする方が合理的です。

このように、営業職にも校正のニーズがあるため、校正の仕事は事務職だけに限定せず、幅広く求人を探すようにしましょう。

校閲の仕事で求人の幅を広げる

校正の求人を増やすためには、校正以外の関連する仕事も考えると良いです。例えば、校閲の仕事です。校閲は校正と似ていますが、以下のこともします。

  • 記事や文章の内容が正しいかを確認する

  • 文章が読みやすいかをチェックする

  • 書籍や印刷物の色やレイアウトに問題がないかを確認する

校閲は文章の内容自体をチェックするため、より重要な仕事であり、時間がかかります。しかし、求人の選択肢を広げるために校閲の仕事も視野に入れることをおすすめします。

例えば以下は、大手電機メーカーの障害者採用の正社員求人です。

この求人は管理部門の補助業務です。この求人の業務は以下の通りです。

この求人は、管理部門の補助業務で、雑務が中心です。その中に校正の仕事も含まれています。しかし、この求人に記されている校正は「専門的な基準に沿っているかどうかを確認する仕事」です。

つまり、実質的には校閲の仕事です。校閲の仕事は、裏付けを取る内容が専門的であったり、複雑であったりします。そのため、専門知識や調査が必要です。校正以外の調査スキルも磨かれます。

こうして、校正や校閲の仕事に長く携われば、社内でも必要とされ、安定して働くことができるようになります。

まとめ

校正の求人は少なく、校正を専門とする会社では障害者の正社員求人はほぼありません。また、校正の障害者向け正社員求人は、大手企業に限られることが多いという注意点があります。ただしこれはデメリットというわけではなく、障害者雇用の実績が豊富な大手企業では、在宅勤務可能な求人もあるため、出社が難しい障害者に適しています。

求人の選択肢を増やすためには、オープンポジションから校正の仕事を希望したり、他の職種と兼務する求人を考えたりすると良いでしょう。また、校正だけでなく校閲の仕事も視野に入れることで、スキルアップが期待できます。

校正の求人は、健常者と同じように仕事ができるメリットがあります。そのため、これまでの実績や適性を整理して採用側に伝え、障害に関係なく会社に貢献できることを積極的にアピールしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。