大学・短大や専門学校で臨床検査技師課程を修了して臨床検査技師の資格を取り、病院などで働く障害者がいます。臨床検査による結果が医師の治療判断に重要な影響を及ぼすため、臨床検査技師の仕事は命に係わる重要な仕事です。

このため、ち密で正確な作業が必要となる仕事です。こうした臨床検査技師の仕事の特徴から、細かい作業が苦にならず集中力を持ち続けられる障害者でなければ務まりません。

ただ検査室の閉ざされた空間で閉鎖的な人間関係に窮屈しながら働いている障害者は多いです。また精神障害者で臨床検査技師の中には、障害を伏せて働く人も多いです。障害を言い出せないまま配慮や理解がなく働きつづけるのはつらいです。

このような悩みを持つ障害者は、転職で理解や配慮を受けながら働いた方がいいです。以下で、臨床検査技師の障害者が転職で成功するためには、どのような求人を選べばよいか解説します。

臨床検査技師の障害者雇用求人の多くが病院求人

臨床検査技師の障害者が正職員として働いているのは大半が病院です。病院の検査室で臨床検査技師は、検体検査や生理機能検査を行います。

病院求人は週休2日や年間休暇が充実していますが、給与は基本月給が18~20万円ほどであり他の職種と同じくらいです。ただ病院は忙しいため手当てが付く分、平均的な民間企業の収入よりも高くなります。

病院が忙しい理由は急患時の対応があるからです。例えば以下は、総合病院の障害者雇用・正職員求人です。

検体検査と生理機能検査の両方が仕事です。なお、総合病院の臨床検査技師は勤務時間以外にオンコール勤務があります。具体的には夜間・休日の急な呼び出しによる手当が1回につき1000円あります。

またオンコール勤務で呼び出し待機中は平日が1500円、土曜日2000円、日曜祝日が4000円です。これは、呼び出しがなくても休みが拘束されるので、別途手当てが支給されます。呼び出されて出勤した場合は、時間外勤務として残業代が支給されます。

この病院の臨床検査技師の求人内容のうち、オンコール勤務に関しては以下の通りです。

夜間・休日はオンコール体制であり、呼び出しに応じられるように拘束されている技師の呼び出しを行っていることが記されています。

臨床検査技師の障害者雇用は、病院の中でも小さな病院にはありません。法律で一定の障害者を雇用する義務がある大手の総合病院に限られます。

このため急患時の対応が多い総合病院では、臨床検査技師は休日でも必要に応じて呼び出されるのが普通であることを踏まえて求人選びをしましょう。

病院以外の求人はオンコール勤務がない

このようなオンコール勤務がある病院では、休日でも気が休めないと嘆く臨床検査技師は多いです。それは、障害者にとっては心身の負担が大きいからです。一方で、病院以外の求人にはオンコール勤務がありません。

オンコール勤務のない求人のひとつは、健康診断を行う事業所の臨床検査技師です。こういった事業所では週休2日や祝日休です。ただ病院勤務と違って土日完全週休2日という求人が大半なのが特徴です。

例えば以下は、公益法人の障害者雇用・正職員求人です。

健康診断の臨床検査技師の求人です。この事業所は県内市町村や事業所で健康診断等を行います。月給約19~25万円であり、病院の臨床検査技師と比べて少し高いです。この求人内容や勤務時間は以下の通りです。

8時30分~17時30分までの定時勤務です。なお、月平均の時間外労働がわずか4時間であり、ほとんど残業がないことがわかります。この求人の休日は以下の通りです。

年間の休日が125日であり、土日祝日完全週休2日、お盆・年末年始休暇があります。休日は公務員並みに充実しており、このような仕事であれば夜間休日に呼び出されることなく、規則正しい生活を送ることができます。

このように健診機関であれば病院勤務のような当直・オンコール勤務はありません。突発の仕事がほとんど発生しないため、定時勤務が基本であり残業もありません。夜間や週末はゆっくり休めます。

このため心身に負担なく、仕事と休みの区別を明確にして働きたい障害者は、こうした健診機関の臨床検査技師求人選びましょう。

臨床検査センター求人で検体検査のスペシャリストを目指す

臨床検査技師の仕事は専門性の高い医療関連職ですが、さらに専門性を磨くことができる求人があります。それは、臨床検査センターの求人です。

臨床検査センターは検体検査を専門とする民間企業です。全国に500以上の事業所が存在し、全国規模大手から地域密着型の規模まで様々です。

ただ、障害者枠で臨床検査技師の求人があるのは大手に限られます。これは一定規模以上の大企業の場合、法律で一定割合の障害者を雇用する義務があるからです。このため小規模の臨床検査センターには障害者雇用求人はありません。

臨床検査センターは、病変などの検体を各地の病院から依頼を受けて代行して検査する検体検査の専門機関です。このため病院と比べて試薬や設備、検査ノウハウはけた違いに充実しており検査精度は高いです。

例えば以下は、大手臨床検査センターの障害者雇用正社員求人です。

臨床検査技師の障害者採用求人です。なお、障害者雇用は大手企業求人ばかりなので、大都市圏に求人が集中しますが、大手臨床検査センターは、都道府県庁所在地を中心に各都市に拠点を置きラボラトリーがあります。このため本社だけでなく、希望する地方都市に勤務できる可能性があります。

また、大手臨床検査センター求人には、センターから各病院の検査室に派遣されて常駐するブランチラボの勤務もあります。このため、希望する都市の病院に派遣されて勤務できる場合もあります。

このように臨床検査センターの求人は、検体検査のスペシャリストを目指すことができます。また、大都市圏だけでなく地方都市でも勤務できるチャンスもあります。

臨床検査センターの求人は障害者雇用が大手に限られるため求人数は少ないですが、地方在住者やスペシャリストを目指したい臨床検査技師に適しています。

臨床検査技師の実務経験を活かすCRC求人

臨床検査技師の仕事の特徴としては、一人黙々と検査業務を行うことです。特に検体検査の場合、誰とも会話することなく研究所にこもって検査に没頭します。

こうした仕事は、対人力のない精神障害者には最適です。一方で、人とのつながりやコミュニケーションに仕事のやりがいを求めるタイプの障害者にはつらいです。

実際に臨床検査技師で転職を考えている人の多くが、閉ざされた職場の人間関係や外部とのコミュニケーション不足への不満が理由です。このような臨床検査技師に適した求人はないのでしょうか。このとき臨床検査技師の資格や実務経験と対人力を活かした求人があります。それは医療機関の治験コーディネーターの求人です。

治験コーディネーターは「CRC(Clinical Research Coordinator)」と呼ばれています。新薬開発などのために医療機関と製薬会社が連携して治験を行うとき、CRCは責任者である医師の指導・監督のもと、専門的立場から医師の業務をサポートします。 このときCRCは被治験者の不安を取り除くために、専門的な内容をわかりやすく説明して円滑なコミュニケーションを図ります。

CRCは半数が臨床検査技師出身ですが、看護師や薬剤師などの出身の人もCRCとして活動します。例えば以下は、大学の正職員求人です。

私立大学の医療系職員の採用です。この求人のうち臨床検査技師関連の内容は以下の通りです。

大学病院の臨床研究センターのCRC求人です。この求人のCRCは、障害者の臨床検査技師でも応募可能です。CRCは被治験者に治験の同意を求めたり、被験者適格性確認するなど治験過程の中でもっとも重要な役割を担うことがあります。

このように臨床検査技師は、臨床検査・研究の求人だけにかぎりません。コミュニケーション力があり、人とのつながりにやりがいを求める障害者は、こうしたCRCを選択肢に入れて求人選びましょう。

時短勤務可能な臨床検査技師の正職員求人

臨床検査技師の障害者雇用求人は、前述の通り大半が総合病院のため夜間や休日も呼び出しがあり忙しい職場が多いです。これでは障害者が負担なく働くことが難しいです。

ただ呼び出しがなかったり、週休2日だったりする職場は非正規雇用求人に限られます。非正規雇用では、有期契約のため長く安定して働くことができません。

このとき障害者雇用の場合、病院の臨床検査技師でも時短勤務ができる求人があります。例えば以下は、総合病院の障害者雇用・正職員求人です。

臨床検査技師などの障害者採用求人です。勤務は日勤時間帯のうち4時間以上の勤務から可能となっています。この求人は障害者枠のため、障害の配慮した勤務時間が設定されています。

臨床検査技師の中には障害で長期休業をしなければならないことがあります。長期に現場から離れるとキャリアが途切れてしまうため、復帰は非正規雇用に限られてしまうこともあります。

このため時短勤務可能の正職員求人であれば、正職員で無理なく職場復帰ができるため、臨床検査技師の障害者でも安心して長く働くことができます。障害のために長時間の勤務が難しい臨床検査技師は、このような短時間でも勤務できる求人を選びましましょう。

臨床検査技師の資格がない障害者には補助職求人

こうした時短勤務の求人は一般枠にはない障害者雇用だけの求人内容です。また、このほかにも障害者雇用で負担なく働ける求人があります。それは臨床検査技師を補助する仕事です。

大学・短大や専門学校で臨床検査技師課程を修了して受験資格を得ても、資格を取得できなかった障害者はいます。このとき、障害者雇用には臨床検査技師の資格がなくても臨床検査技師のアシスタントとして検査業務に携わることができる求人があります。

例えば以下は、臨床検査センターの障害者雇用・正職員求人です。

国内最大手の臨床検査センターの障害者枠求人です。仕事内容は、試験管の片付けなどの雑用です。このような求人であれば、臨床検査の仕事に直接かかわりながら資格取得を目指して働くことも可能です。

求人内容が軽作業になっているのは、障害に負担がかからないようにするためです。このような求人は、一般枠ではなかなか探し出すことができません。

このように障害者が臨床検査技師を目指すとき、実務で正職員として簡単な作業に従事しながら資格取得を目指すことができる求人を選びましょう。

まとめ

臨床検査技師の障害者雇用求人の大半は総合病院です。総合病院では、オンコール勤務など夜間・休日もゆっくり休めず負担になることがあります。このとき健診機関や臨床検査センターの求人であれば、こうした突発の勤務がないため負担なく働くことができます。

臨床検査センターでは、検体検査の専門会社なので検体検査のスペシャリストを目指すことができます。障害者雇用の求人は法定の障害者雇用義務が課せられた大手に限られているため、長く安定して働くことができます。またCRCであれば、臨床検査技師の実務経験や対人力を活かすこともできます。

ほかにも、障害者雇用には障害への配慮のひとつとして時短勤務が可能な求人があります。時短勤務であれば、障害のために長時間勤務が難しい障害者でも勤務可能です。

このように臨床検査技師の障害者雇用求人は様々な働き方ができます。このため漫然と求人情報を収集するのではなく、自分の適性や希望を整理して将来どのようなキャリアを目指せばいいのかよく検討してから求人選びをしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。