障害者の中には障害を隠して就職や転職をしたいと考えている人がいます。こうした障害者は「自信満々とまではいかないけれど、健常者と対等にやっていける気がする」という人です。学歴・スキルが高い障害者や精神障害3級などの軽度の精神障害者に多いです。

ただ、私自身が体験した障害を隠して働いた日々は、地獄でした。障害からくる不注意でミスを連発したり、集中力が切れて上司の指示をうまく理解できなかったりして「使えない社員」として雑に扱われる日々だったからです。

一方で、障害を隠して健常者と同じように働き活躍している障害者も多いです。このときしっかりとした目標や実績がある障害者や前もって対策を立てる必要があります。

そこで以下では、障害を隠して働くための対策や、障害を隠して一般枠で働く場合と障害者雇用はどちらが優れているのかを解説します。

もくじ

障害を隠して働くことができる障害者の条件とは

障害者だからといって障害者雇用にしばられず、一般枠で働くことができます。その方法のひとつが、障害を隠して一般枠で就職や転職をすることです。これをクローズ就労といいます。

例えば私も、新卒ではクローズで就職しました。私は数年間勤務しましたが、勤務先に障害がばれずに働くことができました。このため、障害者であってもクローズで就労をすることは可能です。

ただ、だれでも障害を隠して働くことができるとは限りません。障害を隠して就労するには、条件があるからです。以下で、障害を隠して働くことができる障害者の条件をみていきます。

クローズ就労について主治医がOKしてくれている

クローズで就職や転職をしようとするときは、必ず担当医と相談をしましょう。クローズ就労によって症状が悪化してしまえば元も子のないからです。

例えば私の場合、就職や転職活動中は症状が軽かったこともあり、忙しくて主治医の診察を受けていませんでした。このため就職が決まってから報告をしたのですが、「よかったですね」とは言いつつも、症状の悪化を心配されました。

そうして入社数年後、主治医の心配した通り、うつを発症してしまい休職をせざる負えなくなりました。

このため就職・転職活動のときは、私のように主治医に相談せずにクローズ就労をするのはやめた方がいいです。

医師も最終的には本人の意向を尊重してくれます。ただ、主治医から強く「やめておいた方がいい」といわれた場合、クローズ就労はあきらめましょう。

主治医に、クローズ就労をしてもいいか相談してみるといいんですね

配慮がなくても働ける

障害者であっても、これまで周囲から多くの配慮を必要としなかった人がいます。こうした配慮を必要としなかった大きな理由は、周囲に理解のある人が多かったり、障害の程度や症状が軽かったりしたことがあげられます。

例えば私の職場の同僚に、双極性障害者がいました。彼はクローズで働いていました。ただ彼は後方事務の仕事だったため特に配慮を必要とせず、周囲とも打ち解けて仕事をしていました。

私は彼が障害者であることを知ったきっかけは、偶然でした。私が通院のための短時間勤務を上司に申し出たとき、彼の休日希望日と重なってしまいました。そこで彼と休日を調整したときに、彼が自分の障害のことを私に話したのです。彼が申し出なければ、私には彼の障害はわかりませんでした。

つまり健常者と何も変わらないくらい、障害を問題とすることなく仕事できる障害者はいます。このような障害者であれば、自分から障害を開示しなくても普通に働くことができる場合があります。

配慮の必要がないほど障害の程度が軽い人は、クローズ就労がしやすいんですね

配慮を必要としない職種に就職・転職する

一般枠の求人には、障害の配慮をあまり必要としない職種があります。それは、障害が支障となるような仕事内容ではない職種です。

例えば私の場合、職場復帰に向けて転職活動中、カウンセラーに「私のような発達障害者は、どのような仕事が向いていますか」と相談したことがあります。このときカウンセラーから「ASD傾向の発達障害者は人と関わることが苦手です」「だからライン作業員などの単純作業を繰り返しや、プログラマーなど黙々と作業をこなす職種が向いています」と答えてくれました。

一般的に障害者は事務職の求人が多いです。ただ私のような障害者の場合、事務のような同時に複数の仕事をこなすマルチタスクは向いていません。

一方で、人と関わることが少ない単純作業の方が向いているといわれています。

このようにライン作業のような仕事の場合、一般的に精神障害への配慮がなくてもできるといわれている仕事はあります。このため障害を隠して働きたいときは、障害を明かさなくても働ける仕事を選ぶようにしましょう。

障害を隠していても、ひとり黙々とできる仕事は働きやすくなるんですね

実力次第で昇任・昇給する目標がある

一般枠は障害者雇用に比べて、昇進しやすいことが最大のメリットです。このため給与も上がりやすいです。これは精神障害者よりも健常者の方が、人事や業務を管理することができる場合が多いからです。

例えば管理職の仕事は、経営側の指示と現場の部下との意見の食い違いを調整してよりよい方向に業務を進めていくことが重要です。

このとき障害者であれば他部門との難しい交渉などは難しいです。管理職特有のストレスに耐えられるのか周囲から不安に思われるからです。

私の場合、クローズで就労中に初めて部下を持ったとき、相当苦労しました。上司・部下に関係なく人の言動が気にしすぎる傾向が強かったからです。このため、健常者であればなんなくこなせる業務管理がうまくできませんでした。

ただ精神障害者であっても、繊細さや共感できる力をうまく活かして、課や係の業務を管理できる人もいます。

一方で障害者というだけで、同じ実力・実績だったとしても健常者の方を優先して昇進させる会社は多いです。これは障害をネガティブに評価されることが普通だからです。

このため、昇進・昇給も健常者と同等の立場で働きたいと考えている障害者は、一般枠による就職・転職をした方がいい場合があります。

障害者が管理職に就くことはどうしても難しいことがあるんですね

障害を隠して就職・転職するメリット

障害を隠して一般枠で就職や転職することを選んだとき、もっとも多いメリットは、求人数が多いことです。障害がデメリットになる求人が普通だからです。

例えば以下は、転職サイトの全国すべての正社員求人の総数です。

正社員求人の総数が659万件であることがわかります。一方で、同じ正社員求人の条件で、障害者雇用に絞ると以下の通りです。

全正社員求人数を障害者採用にしぼると、わずか1万件台にまで減ってしまいました。

このような一般枠の圧倒的に豊富な求人であれば、働く場所や職所に縛られずに求人を選ぶことができます。

場所に縛られずに働きたいという人にはおすすめですね

以下で、クローズで就労するメリットをみていきます。

地方であっても求人の選択肢が多い

障害者雇用は、地方求人が少ないです。地方は大規模な会社が少なく、一定以上の障害者雇用率を維持する義務がある会社が少ないからです。

会社には全従業員のうち一定割合の障害者を雇用する義務があります。これを「障害者雇用率」といいます。この障害者雇用率は大手の会社でなければ科されないため、障害者雇用に熱心なのは大手会社に限られます。

例えば以下は、転職サイトの検索結果です。地方求人の一例として、熊本県の正社員の全求人数をみてみます。

全正社員求人数は、6万件以上です。一方で同じサイトの熊本県の障害者雇用求人の検索結果は以下の通りです。

障害者雇用は、わずか98件の求人しかありません。全正社員求人件数と比べて、圧倒的に少ないです。

このように一般枠であれば、地方であっても障害者雇用義務のない大小さまざまな会社があり、さまざまな職種の求人があります。このため「通院や家庭の事情で地元を離れられない」など様々な事情を抱える障害者は、一般枠の求人で就職・転職を検討する必要があります。

地方で働きたい、地元から動けない事情がある という時でも就労しやすくなるんですね

スキル・資格を活かせる

障害者は、だれでもできるような単純作業や軽作業しかできないわけではありません。障害者の中には、業務スキルの高い人はいます。例えば英語や簿記など各種検定を活かしたいと考える障害者です。

だ障害者雇用には、資格やスキルが不要の求人の方が多いです。一般的に障害者雇用は単純作業が多いからです。これはマルチタスクや人間関係のわずらわしさなど心身の負担を避けるためです。

例えば私には、大学時代にTOEIC800点とファイナンシャルプランナー2級を取っていた統合失調症の友人がいました。そこで彼は英語力を活かせる求人を探し、障害を隠して一般枠で中堅商社に入社しました。

このようにスキルが重視される求人においては一般枠の求人であれば、スキルを活かせる求人の数が桁違いに多くなります。このため障害者雇用にこだわらなければ求人の選択肢が増えます。そうしてスキルを活かせる求人を選ぶことができます。

スキルや資格を生かせる仕事がしたいという人におすすめですね

同僚に負い目を感じることなく対等な気持ちで働ける

一般枠で就職や転職をすれば、障害者という負い目を感じながら仕事をせずに済みます。このとき「あの人は障害者だから」という偏った見方をされないからです。

障害者に対する視線は人によって様々です。障害者ということで人間関係の距離を置かれたり、必要以上に気を遣われるのはつらいものです。

例えば私の同僚にうつで休みがちな社員がいました。この同僚に対する陰口は、聞くに堪えませんでした。

こうした周りの態度や空気は言葉にしなくても不思議と当事者本人にも伝わります。このため、本人もつらそうにしていました。私もうつで休職したことがあるため、このつらさは身に染みて分かります。

このように仕事で公平に扱われるということは、メンタルにおいて非常に重要です。このとき一般枠で働くことができれば、不愉快な雑音にとらわれず、仕事に集中することができることがメリットといえるでしょう。

同僚や仕事仲間の人と気軽に話し、相談し合えると気持ちも楽になれますね

障害を隠して就職・転職する対策は必要

それでは障害者が障害を隠してクローズで就職や転職をするにはどうしたらいいのでしょうか。実は障害を隠して就職や転職することは意外と難しくありません。その理由は、以下の通りです。

  • 精神障害の有無について聞かれることはほぼない
  • 障害があることを会社に申告する義務がない

例えば一般枠の事務職の面接で精神障害の有無を、なんの脈絡もなく尋ねられることはありません。面接の目的は、人柄やスキル、実績を見極めることだからです。

そこで以下では、入社前の対策について確認していきます。

障害の申告義務はない

一般枠の書類選考で履歴書・職務経歴書を提出するとき、障害の有無などの質問がなければ障害があることや、障害者手帳の所持の有無を記載する必要はありません。これは前述の通り、障害の申告義務がないからです。

例えば以下は、一般的な履歴書の様式です。

この履歴書のうち身上を書く欄は、以下の通りです。

このように書類選考で、障害の有無を書く欄はありません。これは、職務経歴書や新卒者が求人に応募するときに記入するエントリーシートも同じです。

障害の有無を書く欄がない理由は、こうした書類は身上を把握するものではなく、実績やスキルを把握することが目的だからです。

例えば私の場合、新卒のときに数十社もの会社に応募しました。このとき書類選考で障害の有無を問われたことは一度もなかったです。

このように障害を隠して採用に応募することは、あまり難しいことではないのです。

障害を自分から申告する必要はないんですね

一般枠の面接で採用側から障害の有無を尋ねられることない

障害を自分から申し出る必要がないのは、面接でも同じです。面接で障害の有無を尋ねられることはまったくないからです。

例えば私の場合、障害を隠して一般枠で面接を受けたときのことです。おもに営業職の求人だったため採用側から「気力や体力を使うこともあるが、問題はありませんか」と聞かれました。このときは当然「気力や体力は十分です」と元気よく答えました。

もしも「健康です。ただ発達障害で気力が散漫なときがあるので、配慮をお願いします。」と答えていたら、次の面接へ進めなかったはずです。障害があれば、ライバルより不利になることが普通だからです。

このように一般採用では、障害について採用選考過程で尋ねられることはありません。仮に尋ねられたとしても、健康の良し悪しくらいです。

このため自分から障害のことを申し出なければ、一般枠で面接へ進むことができます。

面接のときも、健康が伝われれば特に問題はないんですね

万が一障害の有無を尋ねられた場合は正直に答えるしかない

ただ万が一、障害の有無を尋ねられた場合はどうしたらいいでしょうか。このときは正直に障害があることを告げるしかありません。

いくら障害の申告義務がないからといっても、嘘をついて入社してはいけません。入社後にウソをついていたことが発覚した場合、その非が原因で部署を移動させられるだけでは済まないことがあるからです。

例えばパニック障害を抱えているのに、外回りの仕事の面接で障害の有無を尋ねられたとき、「ありません」と答えた場合は虚偽申告、つまり「うそをついた」ことになります。こうしたとき、障害が原因で会社に損害が発生した場合、解雇をめぐって会社と裁判になることがあります。

例えばトラック運転手の求人です。このとき、てんかんがあるかどうか尋ねられるケースがあります。ただ、こうしたケースはレアです。

万が一、障害の有無を尋ねられた場合は正直に答えましょう。その場合はクローズの入社をあきらめ、障害を明かして面接に臨みましょう。

障害があるかどうか問われたときは正直に答えることが大切ですね

入社後に障害がバレないための対策は大変

これまで述べてきたように、障害を伏せたまま内定をもらうことは可能です。これは、入社後の職場であっても同じです。入社後の場合は、会社側から障害の有無を尋ねられても答える義務はありません

障害を尋ねられなければ申告しなくてもよいのは、国の指針があるからです。

以下は、厚生労働省の「プライバシーに配慮した障害者の 把握・確認ガイドライン」です。

出典:厚生労働省「プライバシーに配慮した障害者の 把握・確認ガイドライン」

これは厚生労働省が出したガイドラインの表紙です。

障害があることの申し出は、障害者本人の意思を尊重することが基本であることがわかります。つまり本人に障害の申告意思がなければ、原則問題になりません。

以下は、会社が従業員の障害を把握するときに、やってはいけない事項です。

従業員本人の意思に反して障害の申告や障害者手帳の取得を強要してはいけないこととなっています。

ほかにも会社は、従業員が障害の申し出などを拒んだ場合に、解雇や降格などの仕返しをしてはいけないことになっています。

障害の有無は究極の個人情報のひとつです。障害を会社に申告しないことを決心した場合、会社側や上司に障害を隠していても問題にはなりません。

入社後も転職活動のときと同じように自分から障害を申告する必要はないんですね

障害年金の受け取りについて会社から調査されることはない

それでは障害年金を受け取りながら働くことは可能でしょうか。このとき障害年金を受給中であっても、障害を隠して働くことができます。

会社は従業員本人が申し出ること以外に、年金を受け取っていることがどうかを会社側が調べようがないからです。

例えば従業員の厚生年金の納付事務は、総務課や会計課がまとめて行っていることが多いです。このとき会社は、年金を管轄する年金機構に報告を行います。ただ年金機構から会社側へ、従業員個人の年金受取り情報を送られることはありません。

一方で会社側から本人の承諾なしに障害年金の有無を照会するのは不正照会となります。このため、障害年金を受け取りながら、障害を隠して勤務することができるのです。

障害年金を受け取りながらクローズ就労することも可能なんですね

所得税の障害者控除を受けながら障害を隠すときは確定申告が必要

ほかにも、障害を隠して働きながら所得税の障害者控除を受けることもできます。所得税控除額は27万円(特別障害者40万円)です。会社には障害者控除を受けることを伝えず、後で自分で確定申告をすれば税金の還付が受けられるからです。

以下は、確定申告用紙です。

このうち障害者控除額27万円(特別障害者は40万円)を書く欄は以下の通りです。

また障害者であることを記載する欄は以下の通りです。

この手続きによって、確定申告で払いすぎた所得税の還付を受けることができます。

また障害者には、住民税控除があります。住民税控除は26万円(特別障害者は30万円)です。

ただ控除によって住民税が安くなったとしても、所得税と同じように極端に安くなるわけではありません。このため、会社側に気づかれることは少ないです。

このとき万が一、会社側に控除に気づいた場合は、次のように答えましょう。

  • 「医療費が多くかかって、医療費控除を受けた」
  • 「株で損したため、損した分の所得税還付を受けた」

つまり、別の控除を受けたといっておけばいいです。

このように障害を隠して働くときは「万が一、これを聞かれたら、こう答えよう」というように必要な対策を打っておきましょう。そうすれば、障害者が持つメリットを受けながら、障害を隠して働くことができます。

障害者控除が受けられますが確定申告は少し大変なところもあるんですね

いくら対策をしても障害が絶対にバレないとは限らない

これまで述べてきたように、障害を隠して就職・転職はできます。ただ入社した後、障害がばれないようにするための対策は面倒くさいことがわかります。

ただいくら対策をとっても、障害が絶対にバレない保証はありません。ふとしたきっかけで思わぬところから会社にばれることがあるからです。

例えば以下は、私が病院への取材で教えてもらった、同僚が何気ない会話を社内でしたことから会社側にバレた患者さんの事例です。

Aさんにはてんかんがあり、障害手帳を持っています。Aさんは以前は全身けいれん発作をひどい症状でしたが、今は症状はおさまっており日常生活におおきな問題ありません。そこで今の会社は障害を隠して入社しました。

ただAさんは慣れない工場のシフト勤務のため、てんかんの症状のひとつである一時的に頭がボーとなったり記憶があいまいになることがひどくなってきました。仕事中でも返事をしなかったり、業務指示をよく聞いていなかったりしたため職場の上司からときどき叱責を受けることがありました。

そんなとき、Aさんの幼馴染が入社してきました。この男性は子供のころ、Aさんの全身発作をみて、Aさんのてんかんを知っていました。

何も知らない男性は、上司とふたりで雑談する中で、上司にAさんがてんかんを持っていることを告げてしまいます。

驚いた上司はAさんを問いただしたところ、Aさんはてんかんについて告げざる負えなくなりました。

このように、自分では対策のしようがない噂話から、会社に障害がバレることがあります。

ほかにも会社に直接ばれる場合もあります。

例えば以下は、障害手当金の受給手続きによって会社にバレた事例です。

Bさんは21歳のときにうつの診断がつき、障害厚生年金を受け取っていました。

その後症状は回復して28歳の時、障害を隠して転職しましたが、業務中に心労で今度は双極性障害を発症しました。休職を余儀なくされ、会社を通して傷病手当金を申請することになりました。

傷病手当申請の確認事項に「障害厚生年金を受給していますか」という質問と「傷病名」「基礎年金番号」「支給開始日」「年金額」を記載しなければいけません。

普通は傷病手当金の申請をしない理由などないため、みな申請をします。ここで申請しなければ、不審に思われるため、Bさんには申請しない選択肢はありませんでした。

こうして会社がBさんが傷病手当金の手続きを行っている中で、Bさんの障害基礎年金の受け取りが会社に知れてしまいました。

このように傷病手当金の請求という不意なきっかけで、障害が会社にばれてしまうことがあります。

障害がバレるきっかけは、上の2つの事例だけに限りません。このためいくら対策を講じても、障害を完全に会社側に隠し通せないことがあることを理解しておきましょう。

絶対にクローズ就労がバレないという保証はつきにくいんですね

障害を隠して働くデメリット

このように障害が絶対にバレない保証はありません。このため、障害を隠して一般枠で就職や転職をするとデメリットがあります。

それは、以下のような理由があるからです。

  • 常に隠し事を秘めて働くというのは、自信とやる気を失わせる
  • 隠し事がバレたとき、周りの印象が非常に悪くなる

そこで、クローズで就労する具体的なデメリットを以下でみていきます。

ばれないか不安を抱えながら仕事を続けなければならない

障害を隠して一般雇用で採用された場合、常に障害によって業務に支障がでないかが気がかりです。また障害がなんらかの形で会社にばれるのではないかという不安はつきものです。

こうした心配をかかえながら仕事をすることは、精神的に大きな負担となります。不安や後ろめたいことを抱えれば、集中力がそれらに奪われるといわれているからです。

例えば私の場合、同僚とは比べ物にならないくらい忘れ物が多かったです。業務中に顧客名簿を取引先や昼食休憩の喫茶店に置き忘れ、叱られてばかりでした。営業成績は普通でも、これらの失態が原因で勤務評価を下げられたことがあります。

典型的な発達障害の症状であるため、失態をするたびに周りからも「あいつは発達障害ではないか」と陰口をされているように思えました。このため、不安で仕方ありませんでした。

不安を抱えて仕事をするのは、自分もつらくなってしまうことがあるんですね

能力ややる気がないとみなされて精神的につらい

このように障害者にとって職場で理解や配慮がないまま働くことは、精神的に相当つらいです。障害のためにできないことが、すぐに同僚や上司から「能力がない」とみられたり、「仕事の姿勢がなっていない」とみられたりするからです。

例えば障害を隠して入社したため、電話応対や来客対応業務に配慮が受けられなかった場合です。

入社したてでありながら、かかってくる電話を取ろうとしなかったり、来客で応接を極力避けようとする場合、仕事に対する姿勢を疑われます。

同僚からは「仕事を覚えてないのであれば、せめて電話や応接くらいはやってほしい」と思われるのが普通だからです。

このため仕事を始めたとしても、こうした事態が簡単に予想されるような障害者は、最初から障害者雇用で就職や転職をした方がいいです。

仕事も、無理のないように働くのがいいですね

障害がばれたときに解雇される職種がある

障害を隠して入社した場合、障害が会社に知られたときに立場が悪くなります。それは障害が業務の支障になることが明らかな仕事に携わるときです。

例えば、てんかん発作があるのに配達業務に就くことです。これでは人の生命にかかわるような重大な事件事故に発展する場合があります。

業務の制限や採用時に障害の有無を聞かれた場合にそれを隠していたのであれば、病歴や経歴の詐称で解雇の対象となることもあります。

これは、運転が本業ではない営業職であっても同じです。一日中車で取引先を回る場合は、こうした障害を持つ人は危険です。

ただ、障害が支障になる職種は、一般的に採用過程で障害の有無を尋ねられたり、心身の健康について「仕事に支障がない」という診断書の提出を求められたりすることがあります。

このため障害を隠して就職・転職する場合は、障害による業務の支障が明らかな仕事は、絶対に選ばないようにしましょう

自分の持つ障害とうまく話し合って仕事先を見つけることも大切なんですね

一般枠で障害を開示して就職・転職することは難しい

それでは一般枠で障害を明らかにしても、採用されるのでしょうか。このとき残念ながら、障害は明らかに不利になります。採用側は採用するとき、極力リスクの少ない人材を採用しようとするのが普通だからです。

例えば採用選考過程で、障害を持つ応募者と健常者の評価が同一だった場合、会社はどちらを採用するでしょか。私の勤務先の人事担当の友人に尋ねてみました。

彼は「よほどのスキルがあれば、別だが間違いなく健常者を採用する」「入社後の社員の評価が、われわれ採用係の評価につながることがあるからだ」と教えてくれました。

このように障害のデメリットを打ち消して余りあるスキルや能力がなければ採用されません。

スキルや実績があれば、障害をオープンにして一般採用されることも難しくはないんですね

絶対にバレたくなければ障害の恩恵をすべて捨てるしかない

障害がバレることを絶対に避ける唯一の方法があります。それは障害によって受けている福利をすべて捨てることです。これらをすべて捨てることができれば、健常者と全く同じ条件で勤務することになるからです。

具体的には障害年金や、所得税・住民税の障害者控除です。

例えば以下は、平均的な障害者の給与所得者の例です。精神障害者保健福祉手帳3級で独身の年収300万円の障害者Aさんが、障害者控除をあきらめた場合の損失です。

給与所得者であればだれでも適用される控除は以下の通りです。

  • 基礎控除額 38万円
  • 給与所得控除額 108万円

年収300万円であれば、38万円(基礎控除)と108万円(給与所得控除)が差し引かれたものが所得になります。すると所得は154万円となります。この154万円に所得税が課せられます。

  • 300万円-38万円-108万円=154万円(課税所得額)

所得税率は課税所得額によって変わります。課税所得が195万円以下の場合、所得税率は5%です。Aさんの課税所得は154万円なので、所得税率は5%です。

一方で所得税の障害者控除額は、27万円です。このため障害者が払わなくていい税金は、27万円の5%にあたる1万3,500円分です。

  • 27万円×5%=1万3,500円(所得税の障害者控除税額)

次に住民税です。住民税率は所得税と違って課税所得額に関係なく誰でも10%です。住民税の所得税控除額は26万円です。

このため障害者が払わなくていい住民税額は、26万円の10%にあたる2万6,000円となります。

  • 26万円×10%=2万6,000円(住民税の障害者控除税額)

このように障害者手帳を持っているだけで、年間合計3万9,500円の税金を払わなくて済みます。

  • 1万3,500円+2万6,000円=3万9,500円(障害者控除税額合計)

こうした障害の恩恵をすべてなくせば、自分から申し出ない限り会社に障害がバレません。

一方で、こうした恩恵を捨て、さらに障害がバレないかを気にしながら働くメリットというのは小さいです。こうした恩恵を捨てても、障害を隠して仕事ができる人は限られているからです。

このため、障害を隠して就職や転職をしようとする人は、障害者雇用で実務能力を蓄えたからの方がいいかもしれません。

障害を隠さずに障害者雇用で就職・転職するメリット

このように障害を隠して働くデメリットは、多いことがわかります。一方で障害者採用で働くメリットは多いです。障害に対する理解や配慮が受けられるからです。ただ、ほかにもメリットはあります。

以下で、障害者雇用求人の具体的なメリットをみていきます。

障害者雇用は大手会社への就職・転職に有利

障害者雇用といえば、中小・零細の会社が障害者の弱い立場を悪用して、安い賃金で働かせるイメージを持ち、不安を感じる障害者がいます。

ほかにも障害者を雇用すれば、国から助成金を受け取ることができます。このため障害に必要な配慮、つまり合理的配慮をせずに助成金目当ての求人があります。

このとき大手の会社であれば、こうした悪質な求人はほとんどありません。だれでも知っているような大手の会社は社会への影響力が大きいためです。

また、大手の会社は障害者雇用に積極的です。一定以上の従業員規模の大きな会社では、一定割合の障害者を雇用する義務があるからです。

この義務を果たせば、助成金がもらえます。反対に、義務を果たさなければ、罰金が科せられます。

また大手の会社はみんなが知っているので、世間の評価を気にします。このとき障害者雇用率を達成していなければ、「あの会社は、障害者に冷たい会社だ」といって、世間からの評判は悪くなることがあります。

そこで大手の会社では、障害者枠を設けて障害者の雇用に熱心な会社は多いです。例えば以下は、東京都内の会社の従業員規模別の障害者雇用率です。

1000人以上 2.38%
500~1000人未満 2.0%
300~500人未満 1.76%
100~300人未満 1.37%
45.5~100人未満 0.86%
45.5人未満 0.8%

引用:東京労働局「障害者雇用状況の集計結果」

このように会社の規模が大きければ大きいほど、障害者雇用率が高いことがわかります。ただ規模が大きい会社の数は、全体に占める割合が少ないです。以下は、東京都内の全会社数に占める従業員1000人以上の会社の数の割合です。

このように全会社数のうち、従業員1000人以上の大企業の数は25.2%にすぎません。しかし全体の障害者雇用数に占める大企業の割合は以下の通りとなります。

大企業の障害者雇用数の割合は、全障害者雇用数の93.2%を占めています。前述の通り1000人以上の大企業は、全企業の数の25.2%に過ぎないのに、障害者雇用の多くを占めているのです

このように障害者雇用の場合、大企業の求人数の割合が圧倒的に多くなるため、大企業への就職や転職がしやすいメリットがあります。

大企業は障害者雇用にとても熱心であることがわかりますね

障害者雇用であれば配慮や理解を受けながら仕事ができる

障害者雇用で就職や転職をしたとき、一般枠と違って様々な職場で理解や配慮が受けられます。障害者の職場環境に対して配慮を行わなければならないことは、法律で規定されているからです。

例えば以下は大手製造機器・建材商社の障害者雇用・正社員求人です。

通勤に自動車を使うことについて検討してもらえるほか、勤務時間の短縮や時間帯の希望を申し出ることができます。また通院の申し出や転居なく働くことができるなどの配慮も受けられます。

会社側はこうした配慮をする代わりに、国から助成金を受け取っています。このため障害者が、配慮を申し出ることに何らためらいや遠慮を感じる必要はありません

一方で障害を隠して働いていれば、絶対に受けることができない配慮です。このため障害者雇用は、働くときの安心感が一般枠で障害を隠して働くときと全く違うのです。

安心して働く環境ができるので、不安を抱えずに働くことができるんですね

特例子会社や作業所など障害に配慮した会社を選ぶことができる

実務が未経験だったり、休業期間が長くて社会復帰が難しいと感じませんか。障害が重くて、就労には職場では特段の理解や配慮が必要だと感じることも多いと思います。このとき、障害者のためだけの働きやすい求人がいくつかあります。

  • 特例子会社
  • 就労継続支援事業所(作業所)

これらの会社は、障害者への配慮が行き届いています。それは、これらの会社が障害者雇用や障害者の就労を支援する目的で設立されているからです。そこで、以下でこれらの会社の特徴を詳しくみていきます。

特例子会社で配慮を受けながら働く

ひとつ目は、大手会社の特例子会社です。特例子会社は、大手会社には法定の障害者雇用率を維持・向上させる目的で設立される子会社だからです。このため特例子会社では、障害者を中心に採用しています。

特例子会社は、障害者に対する理解や配慮が行き届いています。それはバリアフリーやエレベータなどの施設面だけではありません。電話応対や時短・フレックス勤務、通勤など働き方全体に対しても配慮がなされています。

例えば以下は、大手広告代理店の特例子会社の障害者雇用・正社員求人です。

障害者雇用を目的に、大手広告代理店の特例子会社として設立された会社です。この会社の求人内容は以下の通りです。

業務内容は伝票や書類チェックなど負担の少ない仕事です。障害のある社員のために手話・音声認識アプリであるUDトークのほか、バリアフリー、自動ドアなど身体障害者に対する施設が充実しています。ほかにも精神障害者等のために業務の進め方について面談や相談が受けられます。

このように特例子会社では障害に対して施設だけでなく、働き方に対して配慮がなされていることが普通です。

こうした職場環境であれば、同僚・上司も障害者ばかりなので、理解を得ながら安心して働くことができます。また、配慮の申し出もしやすいです。

特例子会社では、似た境遇の人たちと働けるので、安心した環境で働きやすくなるんですね

就労支援サービスで継続的な訓練を受けながら働く

ふたつ目は就労支援サービスです。これは行政からサービスを任された民間の事業所が、障害者の就労を支援する目的で障害者を雇用しています。そうして障害者の就職したり、障害者が長く勤められるように訓練するサービスを提供しています。

サービスには以下の二つがあります。

  • 障害者の就労を目指す教養・訓練施設である「就労移行支援事業所」
  • 作業を通じて継続的に就労できるように訓練・支援する「就労継続支援事業所」

このうち就労継続支援事業所には、A型事業所とB型事業所があります。これらは「作業所」と呼ばれています。

作業所のうちA型は雇用契約が結ばれます。このため利用者には賃金が支払われます。一般の会社と同じですね。

一方でB型は雇用契約はなく、福祉サービスを利用する障害者が継続的に就労できる訓練のために事業所に就労します。このため仕事は単純作業です。雇用契約がないため最低賃金の保証がなく、賃金は安くなります。

例えば以下は、A型作業所の作業風景です。

ひらたけの選別作業を行っています。支援員の方に取材したところ「契約農家から毎朝届けられる農作物を、こうして選別したり加工したりしています」「就労訓練なので、もくもくとこなすことができる単純作業が中心です」と話してくれました。

こうした作業所の求人は、転職サイトに登録すれば見つけ出すことができます。例えば以下は就労継続支援事業所の障害者雇用・正社員求人です。

 

A型作業所で食品の袋詰めや加工などの軽作業を行います。このように障害の程度が重い場合、就労サービスで訓練を積んでから一般企業へ就職を目指すことも可能です。

ただ、こうした作業は退屈で、やりがいを感じることは難しいことが多いです。

このため就労できる心身の状態になりたいと思う障害者は、障害を開示してこうした事業所で訓練を受けてから障害者雇用で就職や転職をしましょう。

障害の重さで悩んでいる人は、事業所などで訓練して少しづつ慣れていくといいんですね

【実体験】発達障害の私がクローズ就労で苦労したこと

私がクローズで働いていた日々は、つらいものでした。ひとことでいえば「仕事ができない」というレッテルを貼られて雑に扱われ続けたからです。

私は大学卒業後に金融機関にクローズで入社しました。クローズを選んだ理由は、学生生活やアルバイトなどで、障害が支障になることが少なかったからです。

例えば学生時代は集中力できなくてミスして叱られたり、空気を読めない発言で友達を失うこともありました。ただ学生時代は責任など、社会人に比べればずっと軽いものでした。このため問題もなく過ごすことができていました。

そうして後、支店に配属されて事務を1~2年経験後、営業に配属されました。

ただ私に事務仕事は適していませんでした。事務職は、別々の仕事を同時進行で処理するマルチタスクが要求されるからです。発達障害の私のもっとも苦手な仕事です。このため、私は事務仕事では、以下のような苦労をしました。

事務の仕事はデータ入力や書類作成だけでなく、来店客の受付・対応とセールス、コピー取りなどの雑用です。こうした同時進行で仕事を行うマルチタスクは、私には難しかったです。

このため電話対応や来客対応そっちのけで事務処理だけに集中したり、商品セールスばかりに集中したりしました。その結果、面倒な客対応を先輩任せになっていました。このため先輩からは「やる気がない」「ふざけている」といわれ雑に扱われるようになりました。

一方私は悪気などみじんもありませんでした。一生懸命、まじめにやっているのは事実だからです。同僚に申し訳ない気持ちと、障害を隠すことの大変さで気を病む日々でした。

こうした発達障害によくある偏った仕事ぶりは、一生懸命やっているつもりでも周囲はそうはみてくれないのが普通です。

このようなとき障害をオープンにしていたならば、ひとつの業務に絞って任せてもらえるように配慮を申し出たりできます。ただクローズで入社していたため、ひとりで改善する努力は大変でした。

また、仕事に対する姿勢も疑われました。発達障害によくある誤解を招く態度を連発していたからです。例えば、以下のような経験です。

人から仕事の手順を習うことが苦手でした。注意力散漫だからです。

例えば専用端末を使ってデータ入力する手順を習っていたときです。一対一で教えてもらうとき、内容が頭に入りませんでした。内容よりも相手の表情やしぐさ、口調が気になってしまうからです。

例えば相手の「わかった?」「ちゃんと聞いている?」などという、どうでもいい言葉ばかりに反応してしまいます。

このため、せっかくメモしながら聞いているのに、後でメモを読み返しても意味が分かりませんでした。そうして先輩から「では、やってみて」といわれても必ずもたつき、毎回先輩をいら立たせ「無能な新人」と雑に扱われるようになりました。

また、話を聞くときも無意識に頭をふらふらさせたり、手足をそわそわさせたりしてまじめに聞いている態度にみられませんでした。

このため同僚から「ふざけたやつだ」「やる気がない」といわれ、冷たく扱われるようになりました。

このように発達障害者特有の行動であっても、障害者雇用であればすぐに配慮を申し出ることができます。例えば「マニュアルを見ながら、教えてください」「文章で教えてもらうと、助かります」などです。

一方このようなお願いは、クローズ就労ではなかなか申し出づらいです。「いちいち面倒くさい新人だ」と思われるのが普通だからです。

このためクローズ就労では気を遣いながら進めなければいけない仕事も、障害者雇用ではまったく無用であり不安から解放されるのです。

発達障害は個性や豊な発想を必要としない仕事には向いていません。集中できるときは集中できるのに、集中できる点が職場に求められていない点が多いと、単なる怠け者や仕事の能力がない人物だと思われるだけだからです。

私は入社1年目で仕事の能力がないとみなされたため、わずか1年半で転勤となりました。

異動先では営業係に配属されました。私は転勤先でも雑な扱いを受け続けました。それは仕事の能力が低いとみなされて転勤してきているためです。悪い噂は本人の想像以上に広まるものです。

例えば、無理難題やクレームの多い顧客や富裕層が少なく、実績をあげることが難しい地区を押し付けられました。まだ営業になったばかりでこうした事情をわからなかった私は「どうして他の先輩と比べて、私のノルマの達成がこんなに時間と労力がかかるのかな」と不思議でした。

また上司や事務の女性たちからも冷たく対応されました。営業先で持ち帰った事務処理をお願いしても突き返されたり無視されたりする日々が続いたからです。

味方もおらず、こうした嫌がらせやいじめに耐えながら仕事をするのは本当につらかったです。

このように、たとえ大きな会社であっても、悪い評価や噂は長い期間が経っても、転勤をしてもずっとついて回ります。転勤してくる職員がどのような職員かを値踏みするのが普通だからです。

障害を隠しながらこうした悪評を挽回することに苦労をしました。ただ一般的に発達障害者は「普通の人がする仕事を、普通にやるために10倍努力が必要」といわれています。このため、営業成績を維持して普通に働くことは、大変な苦労をしなければいけませんでした。

クローズ就労よりも障害者雇用の方が安心

このようにクローズ就労のときは、障害が仕事の支障になることが多いです。このとき、仕事ではミスの多い人が低い評価を受けることが普通です。また、対人コミュニケーションに劣った人は、見下されることが多いです。

これは、仕事や社会人としての基本的なスキルが低いことと人格を結び付けて値踏みされることが多いからです。

このため、こうしたスキルが低い場合は、技術や資格があったとしても評価は上がりづらいです。

こうしたときクローズ就労でもっとも恐ろしいことは、せっかくの能力があるにもかかわらず、若いうちから雑に扱われたり、周りから低い評価を受け続けることです。そうして自分のことを「仕事の能力が低い」というイメージを固定させてしまうことです。

低い自己評価のままでは、メンタルに悪影響です。このため、症状の悪化にもつながります。これでは自分に否定的な周囲ばかりが気になって、周囲を敵ばかりだと思うようになります。そうして、いつまでたっても職場の健全な人間関係を気づくことができなくなるのです。

私がこうしたクローズ就労のデメリットに気づくことができたのは、障害者雇用で転職して配慮や理解を得ながら働くことができているからです。

例えば、当初はエンジニアの障害者雇用求人に転職した人がいました。その会社は設立から数十年のメーカーであり、毎年障害者雇用を実施しています。このため上司も障害者に対する理解や配慮があり、とても親切です。

その人は一般枠の社員といっしょに働いていますが、「最初は無理をせずにやれることをやれる範囲でやってもらえばいい」といわれています。

このため最初はデータ入力がメインの仕事でした。こうしてその人のペースで作業を覚え、それをマスターすると、次の仕事を覚えたくなります。その都度、仕事のレベルアップを希望し、上司の許可を得て少しずつスキルアップしていくことができました。

職場環境も集中できるように観葉植物でさりげなく囲いを作ってもらったりしていました。

ただ忙しいときに動悸を感じることがあるため、クールダウン部屋として相談室で休むことも許可してもらっていたりもしています。

このように働く環境が整っているときは集中力が増すため、仕事のミスも減りました。また、気持ちが前向きになり成果も増えました。さらに周囲が同じ障害者として仲間意識や安心感があり、人間関係を気づくのがまったく苦にならなくなりました。

このような例からクローズ就労ではなく障害者雇用で就職や転職をした方が働くモチベーションが上がり、結果的にキャリアアップへの意欲を高めることができます。

このため障害を隠して無理をして一般枠で働くよりも、障害者雇用でスキルや実力を蓄えてから一般枠の社員と同じ土俵で成果を競う方がいいです。

まずは障害者雇用から入って力をつけていくといいんですね

転職エージェントを活用して障害者雇用のデメリットを減らす

クローズ就労にチャレンジするか、それとも障害者雇用を選ぶかを迷うくらいなので、こうした障害者は障害があっても、健常者といっしょに仕事をやっていける自信が少なからずあります。

ただ、こうした障害者であっても障害者雇用の方が無難といえます。これまでみてきた通り、障害者雇用のメリットがクローズ就労のデメリットよりも明らかに大きいからです。

障害者が障害者雇用へ不満を持つおもな理由は、障害であることで他の社員と対等に働けないことや給与の低いという思い込みです。またスキルアップや昇進に不利になりがちであることなどもあります。

このような障害者雇用を選ぶことに抵抗感を感じる障害者はどうしたらいいでしょうか。

・転職エージェントが最適な求人を吟味・提案してくれる

このとき、障害者雇用のデメリットを少しでも緩和しながら求人選びをする方法はあります。それは転職サイトに登録して転職エージェントに求人を提案してもらいながら就職・転職する方法です。

その理由は転職エージェントであれば、あなたが希望している条件に合う求人情報をもっていたりするからです。これはエージェントが公開求人だけでなく非公開求人を多く持っているからです。

非公開求人数は公開求人の3~5倍あるといわれています。このため、ネットなどで広く知られていない情報からあなたに最適な求人を提案してくれるのです。

・転職エージェントがあなたの代わりに条件交渉してくれる

また場合によっては、あなたに代わって売り込みや交渉してくれることもあります。転職エージェントは、転職希望者と求人先の希望に合う転職を1件でも多く実現することが実績となるからです。

例えば給与の要望です。外資系の事務職で英検準1級などの資格を理由に一般枠と同程度の給与を希望するなどです。こうしたとき、採用もされていない自分が求人先に尋ねることは不可能です。

一方転職エージェントであれば、多くの求人先の情報からあなたの希望に見合う求人を提案してくれます。また、それだけでなく求人先にあなたのスキルを売り込んだりしてくれることもあります。

例えば私の場合、銀行業務の経験を活かした職種を希望していました。このとき、エージェントからは「実は銀行の職員は、意外とつぶしが効かないですよ」といわれました。

そこで職種を絞らず求人を探すことにしました。するとすぐに、私が重視していた条件のひとつである給与について、同程度の大手の会社を提案してくれました。

このように転職エージェントであれば、転職のプロとして客観的な視点であなたの能力や特性に合わせた求人を提案してくれます。

このため障害者が障害者枠で就職や転職をするときは、転職サイトやエージェントを使うようにしましょう。

まとめ

障害を隠して働くためには、クローズ就労について担当医の許可は必要です。また障害の程度が軽く、配慮がなくても働くことができたり、障害の配慮を必要としない職種を選んだりした方がいいです。

一般枠の求人数は障害者雇用求人よりも圧倒的に多いため、スキル・資格を活かしたり、同僚と対等な気持ちで働くことができたりします。

なお、障害を隠して就職・転職するときに自分から障害を申告する必要はありません。万が一、面接などで障害の有無を尋ねられたときは、入社後のトラブルを防ぐために障害があることを正直に答えましょう。

また入社後、障害を隠しながら障害者控除を受けるときは年末調整後、自分で確定申告をして税金の還付を受けましょう。
ただ、いくら対策をしても障害がバレないとは限りません。職場でのうわさ話や社会保険の事務手続きなど、予期せぬことから障害が会社に知れる場合があるからです。
このように障害を隠して働くことは、障害がばれやしないかという不安を抱えながら仕事をするなります。また障害が原因で、能力ややる気がないとみなされてつらいことがあります。さらに障害がばれたときは、最悪解雇があり得ます。

このため障害は隠さず、障害者雇用で働いた方がいいでしょう。そうすれば、障害者雇用に熱心な大手会社への就職・転職が有利です。ほかにも大手の特例子会社や、障害者就労を支援している就労継続支援事業所など障害に配慮した職場で働くこともできます。
このとき、転職サイトに登録することで障害者雇用のデメリットを緩和できます。転職エージェントが給与交渉や、スキル・実務経験を売り込んだりしてくれるからです。

このように転職エージェントを活かしながら、自分に合った障害者雇用求人で就職・転職を成功させましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。