障害や通院のためフルタイムで勤務できない障害者は多いです。またフルタイムで正社員として働いていて、勤務時間の配慮を申し出られずに我慢している障害者がいます。

このとき障害者雇用であれば、正社員でも短時間で勤務できる求人があります。短時間勤務は障害者の働き方に対する配慮のひとつです。ただ短時間勤務の求人には制限や条件があり職種が事務職に限られ、半日以上の勤務でなければ求人が少ないです。

そこで以下では、障害者雇用の短時間勤務の求人にはどのような特徴やメリット・デメリットがあるのかをみていきます。

時短勤務求人は障害者の働き方に対する配慮のひとつ

障害者に限らず一般雇用でもフルタイムで働けない人は多いです。ただ、この場合はパートやアルバイトの求人が普通です。一方、障害者枠の求人であれば、正社員で短時間勤務の求人があります。

これは採用側が仕事から来る心身の負担を軽くして、障害者が働きやすくするためです。また障害者雇用を行う会社の多くは、障害者が入社してもすぐに退職してしまわないよう施設面や働き方に様々な配慮をして就労定着率を図っています。

それでは障害者雇用の短時間勤務の求人ではどのような配慮があるのでしょうか。以下で、短時間勤務の求人の特徴をみていきます。

短時間勤務の大半は事務職や事務補助職の求人

短時間勤務の求人の特徴は事務職が多いことです。一方、工場の生産ラインや工事などの現場作業求人に正社員で短時間勤務の求人はありません。これは途中で短時間勤務の何人かが作業を抜けたとき、人員の割り振りが混乱して生産管理ができないからです。また作業効率が悪くなり、フルタイムで働く社員の負担が大きくなります。

一方、事務職は浅く幅広い仕事内容です。特定の人でないと担えないような仕事は少なく、同僚が時短勤務で帰宅した障害者の仕事をフォローがしやすいです。

なお、短時間勤務可能の求人はこれら事務職の補助が多いです。フルタイムの事務員は仕事に関わる時間が長いため継続的な仕事を担っているため、短時間勤務の障害者はフルタイムの事務員の仕事の補助に回った方が効率的だからです。

また補助職であれば責任が軽いので、仕事から受ける心身の負担も少なくて済みます。例えば以下は大手石油化学メーカーの障害者雇用・正社員求人です。

大手石油化学メーカーの子会社の求人です。仕事内容は事務ですが、データ入力や郵便物の集配、昼食の弁当注文のとりまとめなどの雑務です。以下は勤務時間に関する内容です。

基本はフルタイムの定時勤務ですが短時間勤務も可能です。以下はこの求人背景の説明です。

障害への配慮として会話補助アプリやバリアフリーなど機器や施設が充実しています。また働き方への配慮は正社員でありながら短時間勤務も可能です。新設部署求人のため仕事の型が定まっていないので、採用後は雑務から始まります。

このような負担の軽い求人であれば精神疾患者やうつ、集中力が持続できない知的障害など、長時間の職場勤務が困難な障害者に適しています。このため短時間勤務で仕事の負担を減らしながら正社員として働きたい障害者は、事務職や事務補助の求人を選びましょう。

短時間勤務の求人では1日6時間以上の勤務が必要なケースが多い

ただ短時間勤務といっても具体的にどのくらいの時間勤務が必要になのでしょうか。このとき短時間勤務の求人の多くは1週間のうち30時間以上となっています。この理由は、障害者雇用率を上げるためです。

大手など一定規模以上の会社は一定割合の障害者を雇用する義務があります。障害者雇用率を満たしていなければ、国に罰金を支払わなければいけません。

このとき障害者の勤務時間には基準があります。勤務時間が短く法定基準以下の場合、常用雇用労働者としてカウントされず短時間労働者としてカウントされます。

短時間雇用労働者としてカウントされた場合、常用雇用の障害者の半分、つまり0.5人分しかカウントされません。さらに短時間雇用の基準以下の勤務時間の場合、障害者雇用の数としてカウントされません。

こうした理由から時短勤務の求人では障害者雇用としてカウントされるために、おおむね30時間以上の勤務条件となっている求人が多いです。例えば以下は大手不動産開発会社の障害者雇用・正社員求人です。

庶務や経理補助の事務職です。この求人の勤務時間の内容は以下の通りです。

時短勤務の場合は週30~40時間以上の勤務となっています。週30~40時間勤務であれば、この求人の場合は週休2日なので1日あたり6~8時間になります。

このように短時間勤務の求人では、フルタイムの求人よりも1日で1~2時間少なくなります。このため通院時間の確保する必要がある障害者やフルタイム勤務では、負担が大きい障害者が短時間勤務で求人選びをするとき、1日あたり6時間以上の勤務になることを踏まえて求人選びをしましょう。

1日6時間未満や週3~4日の短時間勤務求人も存在する

このとき「1日6~7時間の勤務では長すぎる」と感じる障害者は多いです。このため時短勤務といっても正社員の求人選びでは、ある程度まで妥協しなければならない必要があります。

ただ現在の症状で6時間以上の勤務は不可能なときや病院の診察に時間がかかるときなど、障害者にはそれぞれ事情があります。このとき求人数は少なくなりますが、障害者雇用の正社員求人で、1日6時間未満の短時間勤務可能の正社員求人はあります。

このような求人は、障害者雇用の実績や施設面・働き方の面で充実した配慮ができる安定した経営基盤をもつ大手などの会社が中心になります。

例えば以下は大手コンビニエンスストア本部の障害者雇用・正社員求人です。

事務の補助職求人です。この求人の勤務時間は以下の通りです。

勤務パターンに応じて1日の勤務時間を減らすことができます。1日あたり5時間にすることも可能です。1日5時間の勤務であれば集中力の途切れがちな障害者や通院中の障害者が、ゆとりをもって通院できます。

一方で1日の勤務時間を長くすれば、週3日の勤務も可能です。遠くまで通院しなければならない障害者や休日を充実させたいと考える障害者に適しています。

こうした短時間や短期間の豊富な働き方ができるのは事務職の求人が大半です、事務職は前述の通り、同僚で仕事の補完がしやすいからです。

このように障害者雇用では一般枠の求人に比べて働き方の充実度が高い求人が多いです。1日あたりの勤務時間については6時間未満でも応募可能の求人は他にもあるため、自分の症状や障害に合わせた働き方ができるよう障害者雇用の恩恵を活かして求人選びをしましょう。

障害者雇用では専門職や在宅勤務で時短勤務可能の求人がある

障害者雇用で時短勤務可能の求人は、事務職だけではありません。数は限られますが専門職にも存在します。一般枠では、専門職で障害に配慮をしながら時短勤務可能の求人は少ないです。仕事で必要とされるスキルや経験が多く、短時間勤務では専門職の担当がいなければ仕事が回らないことがあるからです。

このとき専門職でも働き方の配慮のひとつとして時短勤務ができるのが障害者雇用のメリットです。

正社員の障害者雇用で時短勤務がもっとも多いのが、システムエンジニアやプログラマーなどのIT系職種です。ただ、企画や制作工程、納品・保守まで一貫して行うエンジニアには短時間勤務の求人はありません。他の上司・同僚がフルタイムで働いているにも関わらず、時短勤務ですべての工程に関わることや管理することは不可能だからです。

このためエンジニアの時短勤務求人は、ほかの同僚がカバーしやすい内容の求人が多いです。例えば以下はソフトウェア開発会社の障害者雇用・正社員求人です。

社内のシステムの保守・管理するエンジニアの求人です。この求人の勤務内容は以下の通りです。

週20時間以上からの時短勤務求人であるため、1日あたり4時間の勤務もできます。求人の内容が社内システムの保守・管理なので、社内のシステムに精通していれば、短時間でも問題なく勤務できます。

また短時間勤務で抜けた仕事の穴は、社内システムに精通したほかの同僚に担ってもらうこともできます。これはソフトウェアの開発などのような継続性や生産性が必要ないからです。

このように障害者雇用では専門職であっても仕事の内容によっては時短勤務が可能です。現在のスキルや実務経験を活かしながら、障害に負担が少なくてすむように働きたい専門職の障害者は、時短勤務で働くことができる求人があることを踏まえて求人選びをしましょう。

テレワーク可能の時短勤務求人

このように時短勤務は障害への配慮として様々な職種で可能であることをみてきましたが、ほかにも障害者雇用のメリットがあります。それは時短勤務可能の在宅勤務です。

一般枠でも在宅勤務可能の求人はありますが、さらに時短勤務まで可能の求人は少ないです。一方、障害者雇用に時短勤務と在宅勤務の組み合わせが可能な求人があるのは、障害者への配慮を一層充実させるためです。短時間勤務で在宅勤務が可能であれば仕事の負担が少なくて済むので、あらゆる障害者が安心して勤務できます。

例えば以下はネットワークシステム開発会社の障害者雇用・正社員求人です。

大手電機メーカーのグループ会社の求人です。事務員として書類作成やデータ管理を行います。この求人の勤務時間は以下の通りです。

定時勤務が基本ですが、在宅勤務が可能です。また、そのほかにも時短勤務やフレックス勤務可能など障害者にとっては働きやすい条件が充実しています。こうした求人は、専業化や人員体制が充実している大手の会社だからこそ可能です。このため大手では障害者雇用の実績が豊富なため、障害者の同僚だけでなく健常者でも障害への理解や配慮ができる同僚が多いです。

身体障害者は動き回ることができないので通勤は負担になりますが、精神障害者も同じく周囲の環境に敏感過ぎるため負担になります。職場の対人関係も上手くありません。

このように多くの障害者にとって在宅勤務のメリットは大きいです。ただ時短勤務と在宅勤務の組み合わせが可能な求人は大手に限られます。

このためフルタイムの勤務が困難なだけでなく通勤も困難な障害者は、出来る限り仕事の負担を減らしながら働けるように大手の障害者雇用求人にチャレンジしましょう。

まとめ

障害者雇用における障害への配慮は大手の会社を中心に充実していて、長時間勤務に耐えられない障害者のために時短勤務の求人があります

短時間勤務の求人の職種は事務職やその補助の仕事が大半です。事務職であれば短時間勤務の障害者の仕事を他の同僚でカバーしやすいからです。

ただ短時間勤務が可能の求人には、エンジニアなどのIT系の会社を中心に専門職の求人があります。IT系の時短勤務可能の求人は、時短勤務を補えることができるシステムの保守・点検が多いです。

また働き方が充実している大手の会社では、時短勤務と在宅勤務が可能な求人も存在します。大手の会社では施設面と働き方の両面で障害に配慮できるゆとりがあるからです。

このように障害者雇用は正社員でも時短勤務で働くことができるチャンスがあります。ただ時短勤務は同僚への仕事の負担を増やすことになります。このため時短勤務の求人を考えている障害者は、将来フルタイムで働くことを目指す気持ちを持ち、そのことを採用側にアピールしなければ転職で成功できないことを理解して求人選びをしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。