パソコンがあれば時間や場所を選ばず仕事ができるライターの仕事は、障害者に適しています。ライターの仕事は副業やフリーランス、広告代理店のコピーライターまで様々です。独学や我流だけで生計を立てられるほど甘くはありませんが、実務経験があると有利です。

ライターとして仕事をするならば、正社員として安定して働きたいものです。ただ、ライターの求人は小規模の会社が中心です。このため、ライター求人で障害者雇用枠を設けている会社は少ないです。
一方で、大手の会社は法定の障害者雇用率を満たさなければならないため、障害者でもライターの正社員求人があります。

ここでは、障害者正社員雇用のライター求人の特徴や就職や転職するときの求人の選び方について解説します。

ライター求人は障害者でも原則実務経験が必要

ライターの求人はライティングで生計を立てるプロであり、即戦力として実務経験を必要とする求人が多いです。これは、障害者雇用の求人でも同じです。文章作成は誰でもできますが、プロのライターは読者が最後まで熱心に読み進めてくれるようなライティングの技術が求められるからです。

例えば以下は、IT企業の障害者向けライターの正社員求人です。

Webサイトのライティングの求人です。この求人の応募資格は以下の通りです。

ライティング経験が必須になっています。この求人では実務経験の雇用形態は不問なので、趣味以外の実績があれば応募可能です。このため採用面接では、これまで生み出した記事や作品を示して実績をアピールする必要があります。

このように、障害者雇用でも実務経験必須の求人は多いです。また、実務経験の有無を問わないライターの求人であっても、結果的に採用された全員が実務経験者だったケースはよくあります。このためライターの正社員求人では、障害者でも実務経験が必要であることが基本です。

大手の障害者雇用であれば例外的に未経験でも応募可の求人がある

こうした原則はあるものの、稀に実務未経験者でも応募可能な求人はあります。ただ、大手の会社の求人に限られます。これは前述の通り、大手企業には法律で全従業員のうち一定の割合で障害者を雇用しなければならない義務があるからです。一定以上の障害者を確保しなければならない以上、実務経験者だけに絞っては人材を幅広く募集できません。例えば以下は、大手広告代理店子会社の障害者向けライターの正社員求人です。

広告制作のコピーライターの正社員求人です。以下は、この求人の応募資格です。

コピーライターなどのクリエイティブ職全般の求人ですが、実務経験が必須ではありません。この求人のような大手は、安定して働きたい人なら誰でも入社したいと考えるので競争倍率は高いです。これは、障害者雇用でも同じです。ただ、大手の障害者雇用求人のメリットは、一般採用とは別枠なので競争倍率は下がります。

また、大手で働くメリットは、経営が安定しているだけではありません。未経験者でも職場で指導教養が充実しています。

また大手では分業が進んでいるため、ライティング主体で仕事に取組めるので実務を通してプロのライターへ成長できることもメリットです。

みなし残業手当・裁量労働制の求人が多い

ライターの仕事はクリエイティブ職のカテゴリーです。このため、仕事の効率や生産性よりも創造性が重要です。ただ、時間をかければ優れた記事や作品が生み出されるとは限りません。
いくらライターに「いいものを生み出すため」という理由だけで際限なく残業されても会社は困ります。このため、時間外勤務手当ては、時間外勤務を前提に固定で月給が支払われる「みなし残業手当」や「裁量労働制」の会社が多いです。例えば以下のゲーム会社の障害者採用の正社員求人です。

ゲームのシナリオライターの求人です。給与については以下の通りです。

給与が裁量労働制となっていて、月額固定給になっています。ライターは製造業のように一定の時間に一定の製品を生み出す仕事ではありません。このため時間をかけた分だけ手当が付く給与の仕組みは馴染みません。

このような理由から、ライターの給与は残業手当や裁量労働制にして、時間に縛られない給与になっています。

ライターに在宅の障害者向け正社員求人はあるのか

ただライターという仕事が時間に縛られる働き方は馴染まないのであれば、仕事する場所についても縛られない在宅ワークという働き方ができるのではと考える人は多いです。

身体障害者や適応障害などの精神障害者は通勤が負担です。例えば職場に着けば仕事ができるのに、満員電車や人混みが障害となって出社できないこともあります。このとき、在宅勤務であれば通勤時間が発生しません。勤務時間を自分の裁量で決めることができます。このため、在宅勤務を考えるライターの障害者は多いです。

ただ、障害者雇用で在宅勤務のライターを募集する正社員求人はありません。ライターといっても、Webで情報収集するだけでライティングできるような記事は、外注で安く済むからです。

一方、障害者でもクラウドソーシングなどの外注の記事であれば、在宅で仕事ができます。このとき、クライアントがライティングの指導をしてくれる場合もあります。例えば以下は、クラウドソーシングサイトのライティングの案件です。

クラウドソーシングであれば、パソコンとネット環境で在宅にて仕事ができます。ただ、文字単価0.3円や0.5円で3000文字となっています。

3000文字を半日で仕上げたとしても、わずか900円にしかなりません。これでは時給換算しても、普通に外でアルバイトをした方がマシです。また書き上げた記事はクライアントに譲渡されるため、自分の資産にもなりません。
このように障害者が本気でライターとして生計を立てようと考えるなら、在宅勤務ではなく正社員として就職や転職をした方がいいです。

業界によって内容が異なる障害者雇用のライター求人

それではライターが正社員の障害者雇用で就職や転職をするには、どのような職種を選ぶといいでしょうか。まず、ライターの職種は、大きく分けて「Web系」「出版系」「広告系」です。書籍などの紙媒体は販売が低迷していますが、Web媒体が伸びています。このため、ライター求人の主流はWeb系です。Web系の求人は、ライティング以外にWeb制作や運営に関わることが多いです。また、誰でもパソコンひとつで手軽にWebにアクセスして取り掛かれる仕事なので、未経験でもライターとして応募可能な求人があるのが特徴です。

一方で出版系では、出版社が制作を編集プロダクションに外注しています。中小規模の会社が中心の編集プロダクションでは、障害者の正社員求人はほとんどありません。また給料が低く、残業が多い業界といわれています。

激務といわれているのは、広告系も同じです。広告系のライターは、広告コピーや広告文章を制作します。数十本もの案を制作しなければならないこともあり、締め切りに追われて夜通し仕事をすることもあります。

ただ、こうした厳しい実務経験のあるライターはプロ意識が強く、取材力や対人力が高いため転職に強いです。

そこで以下では、様々な経歴を持ったライターが障害者雇用で正社員として就職や転職をするとき、どのような求人があるのか確認します。

ライティング以外も担うことが多いコピーライター求人

消費者を引き付ける広告コピーのアイデアを出すのがコピーライターですが、障害者の正社員でコピーライター専門の求人は少ないです。特に普段の仕事で記事を書く量が少なかったりすれば、他の仕事を兼務するのが普通です。

例えば以下は、求人サイト運営会社の障害者向けライターの正社員です。

コピーライターとしてキャッチコピーの考案や記事作成のほかに、データ入力をしたりサイトの運用を補助したりする求人です。障害者雇用のため、負担にならないように補助業務から始める求人です。このため、ライティングの実務経験が浅い障害者に適しています。

このように、障害者のコピーライターの正社員求人はライティングに特化した求人よりも、他の仕事を兼務するライターの求人が多いです。

Webライター求人は企画からライティングまで行う求人が多い

一方、Webライターもライティングに特化した求人よりも、他の仕事も兼務する障害者求人が多いです。Webサイトの企画立案から制作までを担当する求人です。

例えば以下は、Web制作会社の障害者向け、ライターの正社員求人です。

Webライターとして、サイト記事の制作が仕事です。ライティングのほかに、編集や企画の仕事もあります。

このようにWebライターの求人の場合、ライティングだけの求人は少ないです。このため、この求人のようにサイト制作を管理したり編集したりする仕事にも関わる場合があります。

発想力を活かすゲームシナリオライター求人

ライターの求人はゲーム会社にもあります。ゲーム会社のライターの仕事は、主にシナリオ作りです。障害者の中でも、発達障害者のように自制心が足りない代わりに、創造力が豊かな人に向いています。

ただ、障害者の正社員雇用の場合は大手に限られ、採用までの競争が激しいです。このため、実務経験の有無やゲームへの熱意のほかに、これまでに制作した作品をアピールすることが重要です。

例えば以下は、大手ゲーム会社の障害者向けのライターの正社員求人です。

ゲームの企画やシナリオを発案し、ゲーム制作を生み出す仕事です。この求人の応募条件は以下の通りです。

実務未経験の障害者でも応募可能ですが、経験の有無に関わらず作品の提示を求めています。つまり、実務経験よりも過去に創作した作品を重視しており、将来の可能性に期待した求人です。

このため、過去に考案したゲームのシナリオをいくつか提示して、熱意と創作力をアピールしましょう。

まとめ

ライターの正社員求人は他のクリエイティブ職と同じように、障害者でも実務経験が応募条件になることが多いです。一方で障害者雇用の場合、大企業では未経験の求人もあります。

このときライターでは出版や広告、Webの各業界を中心に様々な会社で募集されています。主流のWeb系の場合、ライティングだけでなく企画や編集などの仕事を担うことがあります。

一方、ゲーム会社ではシナリオライターの求人が中心ですが、斬新な創造力とそれを表現する文章力が重要です。

このようにライターの求人は様々ですが、明確に将来のキャリアプランを描き、障害者として適性に応じた求人を探すことが大切です。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。