警備員は、障害者の方にとって働きやすい仕事の一つです。なぜなら、特別なスキルや学歴がなくても応募でき、体を動かすことが好きであれば、誰でも応募できるからです。
特に障害者のうち、精神障害者は身体を使って働くことに不自由していないので、警備員として働いている人が多いです。精神障害者や自閉スペクトラム症の発達障害者、一部の知的障害者者などは融通が利かず臨機応変が苦手ですが、一度記憶したことを忘れず長く同じ作業を続ける能力が高いため警備員に適しています。
記憶力や集中力が高い方、規則正しい生活習慣を身につけやすい方、周囲の人とトラブルを起こしにくい方には、警備員の仕事がおすすめです。
そこで以下では、警備員の障害者雇用求人の特徴や求人選びで失敗しないためのコツを解説します。
もくじ
応募条件に学歴・資格は不要
警備会社は全国に1万社近く存在します。警備員には年齢や実務経験に関係なく応募できるため、他の業界に比べて障害者雇用の求人は多いです。
ただ会社の規模、職場環境や応募条件は様々なので、慎重に選ぶ必要があります。
例えば以下は中堅警備会社の障害者雇用求人です。
学歴・経験・資格は不要であり、運転免許が「あれば、なお良い」という条件です。警備員は、このように未経験者でも応募可能の求人が多いです。
一方、警備に関する資格はあった方が転職には有利です。例えば以下は大手警備会社の障害者雇用・正社員求人です。
交通誘導警備業務検定2級の資格があれば「なお良い」と記されています。警備員が仕事をする現場のうち、10人以上の警備員が必要な場合は警備業務検定の資格を持った人が必要となります。このため警備業務検定資格があれば、求人で有利です。
なお、この求人の資格手当は以下の通りです。
持っている資格に応じて手当が支給されます。このように交通誘導員業務検定の資格があれば4,000~12,000円です。
警備員の検定は施設警備や雑踏警備など警備対象によってそれぞれ存在します。警備員検定は学科と実技ですが、どの検定も2級であれば学科は運転免許証の講習読本レベルの試験で取得できます。なお1級の場合は1年以上の実務経験があれば受験できます。
このように警備員の求人は障害者雇用であっても多く、資格や学歴がなくても応募できますが、資格を持っておくとさらに有利です。検定費用は会社が費用を負担してくれることが多いので、就職や転職で資格取得を目指してスキルアップしましょう。
不規則な勤務体制と安い給与
ただ警備員の求人は不規則な勤務時間が多く、勤務による拘束時間が長いです。また雨・雪や暑さ・寒さなどの過酷な天候下でも仕事をしなければならず、その割には給与が安いことがあります。例えば以下は大手警備会社の障害者雇用・正社員求人です。
施設警備の求人です。月給が15万7,000円であり、安いうえに土日勤務があります。この求人の勤務時間は以下の通りです。
交代制の勤務のほか深夜勤務や24時間勤務があり、仮眠時間などの休憩を考えると拘束時間がかなり長いことがわかります。
こうした警備員の仕事は、夜間工事現場や夜間の施設の見回りの仕事があるため、勤務時間が夜間になる求人が多いです。また工事現場の警備であれば土日でも工事をします。また、施設であれば週末ということで来所者が多く、土日に休みが取れないことも多いです。このため、うつ病や障害者にとっては生活リズムを崩さないように注意が必要です。
警備員の求人の場合は障害者雇用でも、こうした不規則な勤務であるという特徴を踏まえておきましょう。
警備員の障害者雇用は交通誘導と施設警備求人が多い
このように警備員が働く環境は様々ですが、警備員の業種は警備業法に基づいて大きく分けると以下の4つの職種があります。
職種 | 内容 |
施設 | ビル・工場・ショッピングモール・公共施設などの施設の巡回 |
雑踏・交通誘導 | イベントなどの雑踏や工事現場・駐車場の交通誘導 |
輸送 | 現金・貴重品や核関連物などの危険物の輸送警備 |
身辺 | 政治家や芸能人・会社経営者などの著名人の身辺警護 |
これらの職種のうち障害者雇用の警備員求人の大半は施設警備と交通誘導警備です。なお、輸送や身辺警護などの特殊な警備対象は障害者枠に限らず一般枠でも求人は皆無です。
そこで以下では、障害者雇用に多い施設警備や交通誘導警備の詳しい求人内容をみていきます。
施設内警備で天候に左右されずに働く
施設警備では施設内をパトロールして施設内の防犯と安全を守ります。
また不審者を発見したり、トラブルが発生したりした場合の初期対応をします。必要があれば警察に通報・連携して対処します。制服で巡回する場合がほとんどですが、万引きGメンとして私服で巡回することもあります。
障害者雇用は、こうした施設警備の求人が大半です。例えば以下は、中堅警備会社の障害者雇用・正社員求人です。
ショッピングセンター「ベル」の見回りや従業員出入口の受付などが仕事です。こうした施設内の警備であれば交通誘導のような過酷な環境下で仕事をする必要がないため負担が少ないです。この求人の勤務時間は以下の通りです。
24時間勤務で日中1時間半、夜間に4時間の仮眠休憩があります。この求人はショッピングセンターなので日中は施設内の見回りや防犯パトロールを行います。また人のいない夜間は不審者や異常がないかを定期的に巡回します。
このように施設警備は24時間勤務が多いです。屋内の仕事なので空調が整った場所で働くことができますが、生活リズムが崩れ体調を壊しがちです。このため自分の障害に勤務条件が合わせられるのかを考えてならが求人選びをしましょう。
雑踏・交通誘導は日勤勤務が中心
一方、警備員の求人でも雑踏や交通誘導は夜間や24時間勤務がない求人があります。これは交通誘導は緊急の場合を除き、夜間工事を行う現場は少なく、日中に工事を行うのが普通だからです。またビルや商業施設も駐車場での雑踏警備や交通誘導が必要なのは営業時間中だけです。
こうした理由から雑踏・交通誘導求人の場合、日中だけの求人を選ぶことが可能です。例えば以下は中堅警備会社の警備員・正社員求人です。
イベント会場の雑踏警備や工事現場の交通誘導警備の求人であり、障害者でも応募可能です。この求人の勤務時間は午前8時から午後5時までの日勤勤務だけです。
こうした日勤だけの警備員求人は施設警備よりも雑踏・交通誘導の警備に多いです。特に工事現場の交通誘導の警備は短時間の勤務で済むことが多いです。工事現場の場合、工事がはかどって予定よりも早く切り上げたり、工事環境で早く終了しなければならなかったりすることがよくあるからです。
このため工事現場の警備では、時間に対する賃金が割高になることがあります。
ただ雑踏・交通誘導警備は炎天下や降雨降雪などの過酷な環境下で働かなければならなかったり、突発の工事で飛び込みの仕事に対応したりすることが多いです。また交通量が多くて危険な場合やドライバーからの理不尽な罵声を浴びせられたりすることもあり、心身の負担が大きいです。
このように雑踏・交通誘導警備は日勤の勤務が多いですが、過酷な環境と隣り合わせです。このため体力面と精神面がバランスよく強くなければ務まらない場合があります。このためデスクワークの経験のみ、またはうつなど情緒に不安が残る障害者は慎重に検討しましょう。
シフト制のため勤務時間や勤務日に配慮がある
障害者雇用の警備員求人の働き方は勤務時間が多様です。三交代やシフト制の勤務が多いからです。
このため警備員の障害者雇用では勤務日や時間に融通が利かせてくれる場合があります。特に大手の警備会社は警備員を豊富に雇用していることから、空いた人手を埋める体制が整っています。このため障害者の働き方について配慮をしてくれる求人が多いです。
例えば以下は大手警備会社の障害者雇用・正社員求人です。
警備員の制服を着てビルの巡回や従業員受付をする施設警備の求人です。この求人の勤務時間や休日は以下の通りです。
警備員の求人に多いシフト制の勤務体制を利用して、日勤や夜勤などの希望を受け付けてくれます。そして通院への配慮も可能であることが記されています。
全国には大量の警備会社が存在しますが、大手の会社は法定で障害者雇用が義務付けられています。このため障害者雇用実績が豊富で、障害者に対して必要な配慮を理解していることが多いです。
ただ中小や零細企業が障害者雇用を行うのは、人手不足が理由の場合が多いです。中小や零細の会社の場合、国からの雇用助成金を利用しつつ障害者を雇用しています。
中小・零細の会社では、一般枠の採用者と同じように働く環境のため障害者への理解や配慮がないケースがあります。このため通院のための休日を申し出づらい場合があります。
こうした理由から、障害者が求人で障害への配慮を重視するときは、大手警備会社の求人を選ぶようにしましょう。
研修や業務指導の充実した求人で安心して働く
警備員の障害者雇用の求人では、前述の通り実務未経験者だけでなく社会人未経験者でも応募可能です。ただ警備員が学歴や経験が不要であったとしても、仕事になじめるのか不安は残ります。
このとき警備員の初心者でも現場に出る前や現場に出た後もしっかりと研修や指導を受けることができれば安心です。例えば以下は、警備員の障害者雇用・正社員求人です。
ビルの見回りなどが仕事の施設警備員の求人です。入社後に30時間を費やして研修を受けることができます。また1か月もの間、現場で同僚の先輩から業務指導を受けることができます。
警備会社の求人では、このような充実した指導研修体制がある会社は大手に限られます。なお、この求人の条件は以下の通りです。
身体障害者でも精神障害者でも応募可能の求人です。募集理由は障害者雇用の充実であり、障害者雇用に積極的な会社であることがわかります。こうした障害者雇用に積極的な会社であれば、障害者同士で同僚として働くことができます。
この求人のように障害者雇用に熱心だったり研修が充実していたりするのが大手に限られるのは、前述の通り従業員が豊富で研修や指導に充てることができる人員体制が整っているからです。
また障害者雇用枠で入社しているため、理解や配慮が受けられやすいのも大手の特徴です。
このように実務や社会人の経験が乏しかったり、障害や病気からの回復までのブランクが長かったりして働き始めることに不安がある障害者は、研修や指導の充実した求人を選びましょう。
まとめ
障害者が警備員の求人に応募するとき学歴や資格は一切不問の求人が多いです。このため誰でも応募することができます。
ただ警備員は24時間体制で三交代や夜間勤務などの不規則な勤務が多く、心身に負担になることがあります。またスキルや知識が不要のため、24時間勤務などで仮眠時間も含めた拘束時間が長い割には給与が安いです。
障害者雇用の警備員の求人でもっとも多いのが施設警備や交通誘導の求人です。施設警備では屋内の巡回が主な仕事なので過酷な環境下ではありませんが、24時間勤務や夜勤などが多いのがデメリットです。一方、交通誘導は日勤が中心ですが、悪天候下でも仕事しなければならず過酷です。
このように警備員の仕事は心身に負担がかかりがちですが、大手の場合シフト制のため勤務時間や勤務日に配慮があります。また研修や業務指導が充実しているため、安心して働くことができます。
障害者にとって警備員の求人はハードルが低いものの、働く環境は厳しいことが多いです。このため障害者に対する配慮や理解が比較的充実している大手警備会社を優先して障害者雇用の警備員求人を選びましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。