ファッションの好きな障害者にとって、アパレル業界はあこがれです。そうした障害者が、あこがれのブランドショップで働くことができれば、自分自身のキャリアや生き方を輝かせてくれます。
アパレル業界は障害者雇用でも求人があり、職種は販売員だけではありません。店内業務の補助など負担の少ない職や専門性の高い市場分析(MD)職・広告(PR)職など多様です。
また障害者雇用のアパレル求人は、外資系の高級ブランドが大半です。このため障害だけでなく、国籍や性別など国内の会社に比べて多様性が尊重されています。障害者雇用に熱心な会社が多く、障害に対する配慮や理解が得られやすいです。
ただ、障害者雇用のアパレル求人には向き不向きがあり、いくつか特徴があります。
そこで以下では、障害者雇用のアパレル求人のメリットや、障害者がアパレル業界に就職・転職するうえで理解しておきたいことを解説します。
もくじ
シフト勤務の販売員求人で勤務時間の配慮を受けながら働く
アパレルの障害者採用は、営業の最前線であるショップ販売員の求人が多いです。各社は人的資源をショップ販売員に多く投入することで、売上の増加を図っています。
販売員の勤務時間については、店舗の営業時間である10時間くらいを中心にシフト制が普通です。ただ、障害者雇用の中には勤務時間を配慮してくれる求人があります。
例えば以下は、フランスのブランドショップの障害者雇用・販売員求人です。
ブランドショップの販売員の求人です。 この会社の障害者雇用の実績などは以下の通りです
身体障害者を中心に、障害者雇用実績が豊富です。この求人の勤務時間は以下の通りです。
基本勤務時間は午前10時~午後7時までですが、午前9時30分から午後10時までの範囲内のシフト制勤務です。シフト時間の範囲で短時間勤務のほか、早めの勤務・遅めの勤務など気軽に相談に応じてもらえます。
こうした勤務であれば通院時間を確保できるので、通院中の障害者だけでなく、精神障害者や発達障害者にしばしば起こる勤務中の症状の悪化でも通院時間が確保できます。
このようにアパレル求人はシフト制勤務がほとんどですが、障害者雇用では時短勤務やフレックス制による柔軟な勤務時間など、障害に合わせてさまざまな配慮が受けられます。
このため通院などで日中の私的な時間の確保が必要な障害者は、こうした勤務時間に配慮があるアパレル求人を選びましょう。
アパレル求人に必要な接客力と実務経験
アパレル業界の障害者雇用求人の多くは前述の通り、ブランドショップの販売員の求人です。
ショップ販売員に求められるのは、いつでも笑顔で明るく顧客に接することができる対人力と、顧客の意をうまく引き出して提案するコミュニケーション力です。
また、販売員には接客以外の仕事も多いです。それは陳列商品の整理、検品・在庫確認や顧客の管理などです。
例えば以下は、イギリスのブランドショップの障害者雇用・正社員求人です。
ブランドショップの販売員の求人です。顧客へのコーディネートの提案など販売・接客がメインですが、それ以外に商品陳列などがあります。
また、こうした売り場の業務だけではなく、バックヤードや事務所で在庫管理や売上げの記録、顧客の分析・管理を担います。
販売員は、あらゆる顧客情報を把握する重要な存在です。このため接客・販売の中で把握した顧客の情報はデータ化し、商品提案や商品の仕入れ・在庫管理にも活かされます。
このためブランドショップの販売員は、衣料量販店と違って接客した顧客ひとりひとりを、会話の中から細かく情報収集できる感度が大切です。
また業務については、接客以外に顧客・商品管理など幅広いことを理解しておきましょう。
販売員は実務経験・パソコンスキルが必要
こうしたアパレル求人で販売員に必要な接客・情報収集スキルは、かんたんに身に付くものではありません。長い接客・販売の実務経験を通して感覚的に身に付くものです。このため、障害者雇用でも即戦力が必要とされており、実務経験者が優遇されます。
また接客力だけでなく把握した顧客情報をデータ化したり、在庫管理や発注・仕入れのためにパソコンスキルを条件とする求人が多いです。
例えば以下は、前述のブランドショップの障害者雇用・販売員求人の応募資格です。
応募条件に、かんたんなパソコンスキルがあります。
把握したデータや、必要な仕入れなどの発注は手際よく行う必要があります。これは、販売員の付帯作業としてパソコンやシステムを使ったデータ入力を行うからです。
また、応募条件には2~3年以上の接客・販売経験が必須となっています。
顧客を自社ブランドに定着させるための育成経験を必要とされていますが、こうした固定客を作るスキルは、長い販売員の実務経験が重要です。
また、販売員は前述の通り、接客や販売以外に在庫・顧客管理などを担うため、かんたんなパソコンスキルが必要であることを理解しておきましょう。
販売員が店舗ノルマを分担する
アパレル業界では、ショップにノルマが設定されていることが普通です。本社はノルマを達成させるために、ショップに報奨金を出している場合がほとんどです。
このとき、販売員個人ではなく店舗に対するノルマが多いです。
例えば以下は、フランスのブランドショップの障害者雇用・販売員求人です。
ダウンジャケットなどの接客・販売員求人です。この求人の仕事内容欄は以下の通りです。
ノルマついては「個人予算なし」となっています。一方で、予算達成店舗にはセールスコミッションを支給することとなっています。
つまり、店舗がノルマを達成して報奨金が出れば、その奨励金はそのショップの各従業員に支給されます。
このようにアパレルでは、求人で個人にノルマが設定されていることは少ないです。
ただ、店舗にはノルマが課されているため、そのノルマは各販売員個人に割り振ります。これは、販売員個人の努力がどの程度店舗に貢献しているのかをわかりやすくするためです。このため、頑張っても販売実績が伸ばせないときは引け目を感じることがあるかもしれません。
このように、アパレル業界では障害者雇用求人でもノルマが普通です。このため、ノルマ達成に対する強い意欲と責任感が重要です。
なお、求人の内容だけでは個人にノルマが課されているかどうかはわかりませんが、実際は個人にもノルマがあることが普通であることを理解しておきましょう。
実務経験の浅い障害者に適した販売補助・事務職求人
こうしたアパレルショップの販売員には接客力のほか、ブランドイメージに見合った容姿やふるまいも必要です。販売員であれば、障害者でもこれらのスキルや素質が人並み以上に必要です。
このためアパレル業界にあこがれていても、こういったスキルや素質に自信を持てず、チャレンジする前にあきらめてしまう障害者は多いです。
また、販売員求人ではシフト制の勤務のため、生活リズムが整いづらいことがあります。このような働き方は、障害者によって大きな負担になることもあります。
このとき、スキルが必要でなかったり、勤務時間の負担が少なかったりする働き方が選べる求人があります。それは店舗のバックヤードや、必要な時に販売員の補助にあたる求人です。
例えば以下は、イタリアのブランドショップの障害者雇用・正社員求人です。
店舗総務アシスタントとして、店舗業務の補助を担います。以下は、この求人の仕事内容です。
バックヤードで在庫管理・ピッキングがメインの求人です。また繁忙時などは、販売員の接客補助をします。
このような求人であれば、販売員のような高い接客力やブランドにふさわしい容姿・立ち振る舞いなど高い素質を求められることはありません。またノルマを気にしなくていいので、プレッシャーを感じずに負担なく働くことができます。
このためアパレル業界にあこがれていても実務経験の浅い障害者や、ゆとりを持って働きたい障害者は、負担の少ない販売補助やバックヤードの求人で就職や転職しましょう。
アパレルの事務職求人は業界未経験OKの求人
これまで、障害者雇用のアパレル求人に多い販売員の求人をみてきましたが、アパレルショップの販売員のような働き方は自分に適していないと思った人は多いかもしれません。
このとき、障害者雇用のアパレル求人には、販売員以外の求人も多いです。その中で、もっとも多いのが事務職です。アパレル業界の事務職でも、ある程度の業界知識も必要ですが、一般の会社の同じような事務仕事がメインです。事務職であれば、アパレル業界であっても資格や実務経験不問の求人が多いです。このため、実務経験を重視される販売員よりも就職・転職しやすいです。
例えば以下は、フランスの高級ブランドの障害者雇用・事務職求人です。
採用過程や採用後に配属が決まる求人です。総務や広報、人事など、一般の会社と同じような事務職の求人です。書類整理・作成やデータ整理・入力などが主な仕事です。
この求人の応募資格は以下の通りです。
応募資格にアパレル業界の実務経験や資格は不要です。必要なのは、かんたんなパソコン操作のスキルだけです。
このようにアパレル業界であっても事務職の求人であれば、仕事の内容は一般の会社と同じです。このためアパレル業界に就職・転職することを決めていても、販売員の仕事には負担を感じる障害者や、アパレル業界の経験が浅い障害者は、こうした負担の少ない事務職求人を選びましょう。
実務経験や資格・特技を活かせるアパレルの障害者雇用求人
このような障害者雇用のアパレル求人は、障害者に配慮や負担の少ない求人が多いです。
一方で、実務経験やスキル・資格がある障害者には、強み活かすこともできます。このとき障害者雇用でも、アパレル業界で専門性の高い職種の求人が存在します。
以下で、アパレル業界の専門性の高い障害者雇用求人を詳しくみていきます。
販売実務経験が豊富であればバイヤー・市場分析(MD)職求人
アパレルショップの販売員は、実務を通じて顧客の傾向を敏感に感じ、情報を得ています。そのような現場の貴重な経験を、ブランド全体の売上向上に活かせる職種のひとつが、マーチャンダイザー(MD)職です。
MDは、市場動向や各店舗への商品配分・売上分析したり、バイヤーとして商品の買い付けや商品の値段を決めたりします。そして、幅広く業界知識やトレンドを把握して販売戦略を練ります。
例えば以下は、ヨーロッパのファッションブランドの障害者雇用・正社員求人です。
高級ブランドのMDを補助する求人です。以下は、求人内容の詳細です。
商品の売り上げや競合他社の動向など調査して、売上の向上に向けた商品戦略や広告を打ち出して生産計画に役立てます。
MDは専門性が高いため、即戦力の中途採用が普通です。なお、この求人は障害者雇用のためMDアシスタントの求人であり、実務経験や専門知識が浅くても応募できます。
このようなMD職を経験すれば、企画やマーケティング、経営などアパレルで必要な幅広い知識を学べるため将来に活かすことができます。このため、実務を通じてアパレル業界の専門知識とスキルを身につけ、長く安定して働くことも可能です。
アパレル業界でキャリアアップして長く働きたいと願う障害者は、こうした専門性の高い求人で就職・転職を成功させましょう。
ファッション業界の花形・PR職の障害者雇用求人
こうしたMD職のほかにも、アパレル業界には専門性の高い人気の職種の求人あります。それは、PR職です。PR職は、広告関係者へ自社商品のアピールや広告制作、イベントの開催などブランドの広報全般に携わります。
対外交渉が中心のため、ブランドの代表として自分自身もファッションセンスや振る舞いなどが重要です。また、MD職と同じようにファッション業界の知識やトレンドに敏感でなければいけません。
例えば以下は、イタリアのファッションブランドの障害者雇用・正社員求人です。
PR職のアシスタントの求人です。この求人の仕事内容は、以下の通りです。
雑誌やテレビなどの広告会社へ自社商品をアピールのために貸出したり、雑誌・広告記事の校正やカタログの作成など、ブランドのイメージアップと商品売り上げの向上のためのあらゆる業務を担います。
なお、この求人の応募要件は以下の通りです。
障害者雇用のため障害者手帳は必要です。応募資格に実務経験は必須ではありません。
PR職は専門性の高い業界知識と豊富な実務経験、素質がなければ務めらないため、即戦力の中途採用が普通です。一方、この求人は障害者雇用のアシスタント職です。このため、アパレル業界やPR職の実務経験は必須ではありません。人並みの体力があれば十分であることがわかります。
なお、ビジネスレベルのパソコンスキルが必要です。ワードやエクセル、パワーポイントでデータ入力や広報・資料作成を難なくこなせることが求められます。
このようにPR職はブランドの顔として対外交渉を担う重要な職種です。人をひきつける素質と魅力が必要な職種ですが、会社にとっては貴重な人材なので、長く安定して働くことができます。
アパレル業界でキャリアアップをねらう障害者は、こうした華やかで人気のPR職のような狭き門の求人にもチャレンジしましょう。
アパレル求人ではTOEIC700点以上であれば英語力を武器にできる
アパレルショップには日本人だけでなく多くの外国人も訪れます。 そのため仕事の中で英語を学び、その英語力を活かして活躍する障害者がいます。
またブランドショップの本社は大半が欧米の外資系なので、本社とのやり取りで英語力は欠かせません。こうした理由からアパレル求人には英語力を歓迎する求人が多いです。
例えば以下は、アメリカのフットウェアブランドの障害者雇用・正社員求人です。
配属先が採用過程や採用後に配属が決まる、いわゆるオープンポジションの求人です。一般的な事務職だけでなく、経験や専門性の高いMD職などの仕事まで様々です。
この中で、「英語を話せる障害者は大歓迎」となっています。これは、海外にある本社とのやり取りで英語を使うためです。 この時必要な英語力の目安はビジネス英語です。
例えば以下は、ヨーロッパブランドのMD職の障害者雇用・正社員求人です。
応募条件で、「TOEICが700点以上あれば歓迎」となっています。これは、英検準1級に近いレベルであり、ビジネス英語と同等の高い英語力です。
このようにアパレル業界の求人には、職種を問わず英語力が歓迎される求人が多いです。このため英語力のある障害者は、アパレル業界のスキルや経験が浅くても、英語力を武器にすることが可能です。TOEICで700点以上の高いスキルをもった障害者は、英語力を積極的にアピールして就職・転職を成功させましょう。
まとめ
このように障害者雇用のアパレル求人では、シフト勤務の販売員求人が大半です。 このため生活リズムが整いづらく働きにくいと感じる障害者がいます。ただ障害者雇用のときは勤務時間をなどで一定の配慮をしてくれるメリットがあります。
また、販売員には店舗ノルマを達成する責任があります。店舗ノルマは販売員個人に振り分けられるため、これを負担に感じる障害者もいます。
こうした負担を避けたい障害者には、バックヤードや事務室などで販売補助や事務職など裏方としてショップを支える求人もあります。
一方で、実務経験や資格がある障害者は、これまでの知識と経験、スキルを活かすことができる障害者採用の求人があります。そのひとつが、買い付けや市場分析をするMD職です。
また専門性の高い求人には、広告媒体などを通して広くブランドの魅力を発信するPR職があります。
ほかにも英語力があれば外国人客に対する接客・販売だけでなく、英語で海外本社とのやりとりをすることができるため、アパレル求人ではどのような職種でも重宝されます。
このように、アパレル業界の障害者雇用求人は様々な特徴があります。このため自分の障害と向き合い、どの部分で自分の強みが発揮できるのかをよく整理して求人選びをしましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。