マルチタスクが苦手で現在の仕事や職場馴染めず、心身に負担を抱えている障害者や、経験不足で働くことに自信がない障害者は多いです。
このとき障害者雇用には、軽作業の求人があります。軽作業の求人は一般枠の社員の仕事を補助する仕事です。単純作業が多く学歴やスキルは不要です。また補助職のため一般雇用の正社員と違って結果や責任を問われることはありません。
こうした仕事はアルバイトが担うことが普通ですが、障害者雇用では正社員の求人があります。これは障害者には負担のかかる仕事をさせないようにする採用側の配慮が理由のひとつです。ただ軽作業であっても正社員なので、障害者にとっては長く安定して働くことができるメリットがあります。
そこで以下では、障害者が軽作業の求人で正社員として転職するための求人や注意すべき点をみていきます。
もくじ
軽作業は補助職として障害に負担なく働ける
軽作業の障害者雇用求人は大手の会社の求人が多いです。一定規模以上の会社では一定割合の障害者を雇用する義務があるからです。
また障害者雇用の場合、障害者に対して負担をかけずに仕事ができるように軽作業で求人をすることがあります。このため一般枠とは別に障害者を正社員で雇用する求人を設けていることが多いです。
軽作業の求人の主なものは以下の通りです。
- 事務職の補助
- 工場作業全般やライン作業の補助
- 倉庫内作業
- 工事現場の補助
これらの職種は高いスキルや経験、知識を必要としない内容ばかりです。そこで障害者雇用の軽作業求人にはどのようなものがあるのか、以下でみていきます。
事務系の軽作業求人
事務職の障害者雇用の軽作業求人は、事務補助としてファイリングやコピー取り、電話や来客の受付・お茶くみなどが主な仕事です。事務仕事なので体の弱い障害者には適しています。
ただ電話や来客の応対もしなければならないので、人並みのコミュニケーション力が必要です。例えば以下は大手メーカーの障害者雇用・正社員求人です。
事務職を補助する軽作業求人です。仕事の内容は郵便物の仕分けや集配なので体を使う必要も周囲に気を遣う必要もありません。この求人の応募資格は以下の通りです。
応募条件は車の運転ができることだけです。郵便物の収受が主な内容なので、障害者でも歩行に問題がなければ誰でも仕事ができます。また、この会社では12名の障害者雇用実績があります。このため同じ障害者として、同僚から配慮をしてもらえます。
こうした求人であれば、スキルや経験がなくても気兼ねなく応募できます。社会人経験に乏しく、体を使った仕事ができない障害者は事務系の軽作業求人を選びましょう。
工場・ライン作業の軽作業求人
こうした軽作業の障害者雇用の求人は、事務系だけでなく工場も多いです。工場では事務系、技能系など様々な求人があり、これらの職種を補助するのが軽作業求人です。
このうち工場の軽作業求人では多くの場合、製造ラインで作業している従業員の補助や機械を操作する従業員の補助をします。そのほかにも工場内の片付け・清掃業務などの雑務があります。
また軽作業求人では、それぞれ個別の仕事に特化して働く求人もあれば、作業補助から雑務まで幅広く担うこともあります。例えば以下は工場施設の部品製造メーカーの障害者雇用・正社員求人です。
この求人では組立てや検査、塗布・洗浄、梱包作業など工場の作業補助や雑務など工場の仕事全般を担います。こうした求人では、指示や要請に応じて工場内を動き回りながら作業をします。このため動き回ることに支障がない障害者や、作業中の従業員に気配りができる障害者が適しています。
一方、工場内のライン作業に特化した軽作業求人もあります。例えば以下は自動車部品メーカーの障害者雇用・正社員求人です。
工場内で製品を運ぶ作業と製品の加工くずの掃除が仕事です。この求人は主に生産工程に携わる軽作業ですが、製造ラインで作業する従業員を支える重要な仕事です。指示や要望に応じてすぐに行動できる障害者や、人並みのコミュニケーション力がある障害者に適しています。またマニュアルがあれば、知的障害者でも仕事ができる場合があります。
このように工場の軽作業求人には様々な内容があります。このため自分の特性がどの仕事内容に適しているかをよく考えて求人選びをしましょう。
倉庫内のピッキング・梱包作業の求人
軽作業求人では倉庫内の求人もあります。倉庫の軽作業求人では、指定された商品を運ぶピッキングや商品を発送するための梱包作業が多いです。倉庫内で黙々と行う作業なので動き回ることができる障害者や、対人不安が強く多人数の同僚といっしょにする仕事が苦手な障害者に適しています。
例えば以下は、縫製メーカーの障害者雇用・正社員求人です。
倉庫内でピッキングや梱包を行う軽作業求人です。指定された商品の服を集めてたたみ、発送のために袋に入れて送り状を貼り付けるだけの単純作業です。
むずかしい判断や高いスキルが必要ないため言われたことをきちんと理解できる障害者であれば、誰でもできる仕事です。また、この求人では接客や電話対応が不要と記されており、うつ病など対人不安の強い障害者でも働きやすいです。
このように決められた作業を黙々とこなすことができる障害者や、動き回る仕事が好きな障害者はピッキングや梱包の軽作業求人を選びましょう。
工事現場の軽作業求人
事務仕事よりも動き回る仕事が好きな障害者には、工事現場の軽作業求人もあります。これは工事現場の作業を補助する仕事です。
現場工事で必要な道具を作業員のところに持って行くことや現場作業後の片付けなど工事全般の補助をします。過酷な天候下で工事現場を動き回ることもあるので、軽作業求人であっても体力のある障害者に限られます。
例えば以下は、造園会社の障害者雇用・正社員求人です。
造園工事の現場で発生した木くずなどを片付けて処分場まで運び出す仕事です。造園工事ですが木の枝の剪定作業には加わりません。
このように障害者には負担にならないよう、危険な作業は避けられます。このような仕事であれば指示通りに作業をすればいいだけなので、どのような障害者でも務まります。
体を使うことが苦にならない障害者や、同僚といっしょ仕事することが苦にならない障害者であれば、現場工事の軽作業求人を選択肢に入れて求人選びをしましょう。
軽作業の障害者雇用求人のメリット
このように障害者枠の軽作業求人は補助業務や雑務です。このような単純作業をアルバイトではなく正社員として雇用してもらえるのが障害者雇用の特徴です。
障害者であれば前述の通り、障害者雇用率を達成しなければならない大手の会社や障害者を雇用しても助成金でまかなえる中小零細企業が正社員として採用してくれます。このため正社員として長く安定して働くことができます。
また大手の会社など経営基盤の安定した会社では、人員体制や資金面で余裕があるため障害者に対する配慮が充実しています。一般枠に限らず障害者雇用でも正社員であれば1日7~8時間勤務が普通です。一方で障害者雇用の軽作業求人であれば、勤務時間を自由に選べるフレックス勤務や時短勤務があります。
これは障害者の場合、通院のために勤務時間を制限しなければならないことがあるからです。このように採用側は勤務時間を配慮することで障害者の就労の定着を図っています。
例えば以下は美容整形外科の障害者雇用・正社員求人です。
洗濯や清掃などの雑務を担い看護師を補助する求人です。この求人の勤務時間に関する説明は以下の通りです。
6時間という短い勤務でも正社員として働くことができます。軽作業という負担にならない働き方をしながら短時間勤務が実現できる求人です。月給は17~20万円であり一般的な水準です。
このように大手や経営の安定した会社では、軽作業で障害に負担にならないように働くことができるだけでなく、時短勤務など勤務時間にも配慮された会社で正社員として働くことができます。
障害への配慮を受けながら働きたい障害者はこのような大手などの経営基盤の安定した会社の求人を選ぶようにしましょう。
配慮が行き届いた特例子会社求人が多い
なお、障害に対する配慮がもっとも行き届いている会社は特例子会社です。特例子会社は大手の会社が障害者雇用率を達成するために障害者雇用を目的に設立した会社なので、施設や働き方に配慮が行き届いています。
特例子会社における働き方の配慮は負担の少ない軽作業求人です。特例子会社ではグループ会社の事務的な雑務や工場の清掃などの雑務を担うことが多いです。このため軽作業は特例子会社の求人が多いです。
例えば以下は大手製薬会社の障害者雇用正社員求人です。
特例子会社の軽作業の求人です。グループ会社に派遣されて工場で清掃や梱包などの単純作業を担います。以下は勤務時間と休日です。
1日の勤務時間は6時間15分と短く、土日2日の完全週休2日です。祝日や年末年始、お盆休暇のほか年間休日は124日となっており充実しています。
このように特例子会社では軽作業という負担の少ない働き方だけでなく、勤務時間や休日にも多くの配慮がなされています。また大手の会社が設立しているため正社員として安定して長く働くことができます。
このため障害への配慮を受けながら長く働きたい障害者は、特例子会社の求人を選んで転職しましょう。
軽作業求人のデメリットと注意点
ただ障害者雇用の軽作業の求人には、いくつかデメリットがあります。それは低収入であることやスキルアップができないということです。
軽作業の求人は前述のように、障害への配慮として時短勤務や充実した休日があります。このような働き方は一般枠よりも優遇されているため会社への貢献は減る分の収入は低くなります。
例えば以下は製材会社の障害者雇用・正社員求人です。
梱包などの軽作業求人です。正社員求人ですが月給は14万2,560円であり安いです。手取りであればアルバイトの給料並になってしまいます。
また軽作業求人でもっとも問題なのは、単純作業ばかりでスキルアップしないことです。スキルがなくては昇給しないので、給料は低いままです。障害者を理由に仕事を調整しているうちに仕事を回してもらえなくなり、「仕事がつまらない」「暇すぎる」と嘆く障害者も多いです。
このように軽作業の求人は働き方には恵まれていますが給料は安く、単純作業のためスキルアップできないという問題があります。このため軽作業求人で実務経験を積み給与アップやスキルアップを目指すときは、再び転職する必要があります。
まとめ
軽作業の障害者雇用求人は事務や技能職の補助なので、障害に負担なく働けます。特別なスキルや知識は不要なので誰でも応募できる求人が多いです。軽作業求人で補助する業種は事務系、工場作業、倉庫、工事現場などです。このため障害や特性に応じて様々な働き方を選ぶことができます。
また軽作業求人は障害者雇用の場合、大手の会社が多いことがメリットです。大手では人員や資金面にゆとりがあるため、障害への配慮が行き届いているからです。
一方デメリットは単純作業のため正社員でも給与が安く、スキルアップできないことです。
このように軽作業求人には給与は安いですが、単純作業でも正社員として働くことができるメリットがあります。このため軽作業求人では障害者雇用のメリットを生かしてキャリアの地盤を固め、スキルアップにつながるように明確な将来像を思い描きながら求人選びをしましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。