障害者の中には、仕事で実績を積んで専門知識や技能、管理職のポストを得て活躍している人がいます。そのような障害者は現在の待遇に不満があり、転職を考えていることがあります。

また現在の仕事で得ている収入が、自分の能力に見合ったものであるかどうかは分かりづらいです。このとき他社であれば、今よりずっと好待遇で勤務できる可能性があります。それは、高収入のハイクラス求人です。

ただ「障害者は弱者」という立場で扱われた経験が長く、自己アピールが苦手な障害者は多いです。自分のスキルやキャリアに少しでも自信があるのなら、積極的に高収入の求人を目指しましょう。

そこで以下では、障害者にはどのようなハイクラス求人があり、どのような求人を選ぶといいのかをみていきます。

ハイクラスの障害者雇用求人には管理力・即戦力が必要

なお、障害者雇用のハイクラス求人は、最終学歴が大卒以上に限られています。これは専門スキルを必要とする求人が多く、知識を習得する能力の期待値が高いためです。このためできるだけ高学歴が有利であることを理解しておく必要があります。

また、ほかにも障害者雇用のハイクラス求人には、そのほかにもいくつかの特徴があります。主なものは以下の通りです。

  • 人事や企画部門のチームリーダー・マネージメント職の求人
  • 外資系企業・海外事業部門の求人
  • 専門職の求人

これらの中で最も多い求人が、チームリーダーや管理職です。次に外資系の会社や海外進出している会社も求人が多く、英語力が必要です。そして、同じように多いのが、常に人材が不足しているエンジニアなどの専門職です。

またハイクラス求人の採用背景は、新規事業や事業拡大による増員が多いです。自社ではまかないきれない人材を、外部からの即戦力として必要とする場合があるからです。このため高いスキルや専門性があれば、障害者でも好待遇の求人があります。

このとき、もっとも多い障害者雇用求人は企画や人事、管理部門です。プロジェクトや企画のリーダーとしてチームを引っ張っていける人材を求めています。例えば以下は、IT系コンサルタント会社の障害者採用・正社員求人です。

人事の管理職求人です。この求人の応募条件は以下の通りです。

人事や管理職の実務経験が必要です。この求人の給与については以下の通りです。

初年度から最低でも600万円となっており、経験やスキルに応じて1200万円までの給与がねらえることから高給です。この求人では、人事の仕事を長く経験したり部署のリーダーとして管理経験があったりする障害者に適しています。

このように成長企業では、実務経験が豊富でリーダーシップを発揮できる即戦力があれば、好待遇で採用される場合があります。このときに重要なのは、実務経験が採用側の会社にどれくらい貢献できるかということです。これまでの実務経験がたとえ小さい規模の会社だったとしても、あまり気にする必要はありません。つまり、実務で部署のリーダーとして業績に貢献したという実績が必要なのです。

このように障害者雇用でもハイクラス求人に多いのは、豊富な実務経験と高い管理能力のバランスです。障害者でも実務経験に加えて他のスキルを習得しているのであれば、積極的にハイクラス求人に挑戦しましょう。

外資系企業求人は障害者雇用でも高収入が多い

このような実務経験で、管理職以外でも経験を活かせるハイクラス求人があります。それは、英語力です。

このとき、英語力を活かせる企業に多いのは外資系の会社です。海外本社や海外拠点とのやりとりで、英語を使うことが普通だからです。このため外資系企業には、英語力を必須とする求人が多いです。また外資系企業であれば、障害者でも高収入です。

例えば以下は、外資系大手製薬会社の障害者採用・正社員求人です。

課長クラスの事務系管理職求人です。年収は500万円からですが、最高で1200万円までねらえる求人であり高収入です。この求人の応募条件は以下の通りです。

ビジネスレベルの英語力が必須となっています。ビジネスで使われる特有の言い回しや単語の意味などを支障なく理解したり表現したりする能力が必要です。ビジネスレベルの英語力の目安は、TOEICでいえば700~800点程度といわれています。

この求人の場合、英語力に加えて管理能力も必要となるため、応募条件としてはハードルが高いです。ただ管理能力に英語力が加われば、障害者雇用でもハイクラス求人を選択できる幅は大きくなります。

このように外資系企業には高収入の障害者採用でも求人が多いです。実務経験と英語力があるのスキルの高い障害者は、外資系企業の障害者雇用求人で高収入をねらいましょう。

障害者雇用のハイクラス求人は専門職が多い

一方、英語力以外の障害者雇用では、高収入の求人に多いのは専門職です。専門性の高さが転職市場では希少価値となり、その価値が給与に反映されます。

ただ障害者雇用という限られた求人の中で、さらに専門職で限定すればかなり求人数は限られてしまいます。主な専門職の障害者雇用求人は以下の通りです。

  • 通訳・翻訳
  • ITエンジニア
  • コンサルタント
  • デザイナー

このような専門職の中で、もっとも多い高収入の障害者雇用求人はIT系のエンジニアです。例えば以下はゲーム会社のエンジニアの障害者雇用・正社員求人です。

専門性の高い職種のため、年収は560万円から1000万円までとなっており高収入です。収入の詳細は以下の通りです。

この求人はエンジニアの管理職求人です。最初からリーダーとして採用されるならば、最低でも700万円からスタートとなっていて高給です。この求人のようなデータアナリストは、社内に蓄積された大量のデータを集計・分析して会社のマーケティングを決定する仕事です。このため会社の経営方針に大きく関わっており重要な仕事です。

この求人のように、専門職の求人であれば高給が普通です。このため専門性に加えて即戦力となる管理職であれば、たとえ障害者でも高収入で採用されます。

このように現在専門職に勤務している障害者で、高い専門性に自信を持っていたり管理経験があったりする場合、ハイクラス求人で転職できる可能性が高くなります。

障害者雇用であれば一般事務でも高収入求人がある

ただ、職場で高い管理能力やスキルがない障害者は、高収入の求人はあきらめなければならないのでしょうか。このとき障害者雇用には、英語力などのスキル不要の負担の少ない一般的な事務職の求人があります。また障害者への配慮のひとつとして、在宅勤務可能といった好待遇の求人もあります。

その理由は、大手の会社には一定割合で障害者を雇用しなければならない義務があるからです。障害者雇用率を達成しなければ、会社は罰金を納めなければなりません。

このため罰金を支払うくらいなら、事務職でも在宅勤務でもいいので障害者を雇用したいと考えるのが普通です。そこで障害者枠でハイクラスの求人を出す場合があります。例えば以下は、外資系コンサルティング会社の障害者雇用・正社員求人です。

仕事の内容は一般的な事務職求人です。年収は500万円からとなっており最高で900万円をねらえるハイクラス求人です。この求人の応募要件は以下の通りです。

簡単なパソコン操作で応募できます。この求人が高収入である理由は、以下の通りです。

障害者雇用を目的に創設された部署であり、各部署からの一般的な事務作業を請け負う仕事です。この求人が高給な理由は、大手外資系のグローバル企業であり、外資系の中でも特に高給のコンサルティングファームだからです。

障害者だからといって、健常者と比べて不当に給与を低く設定するのは法律違反です。このため、障害者でも負担にないような一般的な事務仕事であっても他部署に合わせて高給にしているのです。

このように障害者雇用では、実務経験や専門知識がなくても大手や外資系の会社であれば高収入をねらえることがあります。このためスキルや実務経験にあまり自信のない障害者であれば、このような障害者雇用の恩恵を活かして求人選びをしましょう。

在宅勤務でも高収入の障害者雇用求人

障害者雇用求人のメリットは、ほかにもあります。それは、前述のした在宅勤務です。障害者雇用では、障害への配慮の一つとして在宅勤務可能の求人があります。

高い専門性やスキルを持っているものの、障害が原因で出社が難しい障害者はいます。また、ハイクラス求人をねらえるスキルがあっても、ハイスキル求人が大都市に集中しており、地方在住では高収入で転職することは難しいことがあります。このとき障害者には、必ずしも出社して働く必要がない在宅勤務があります。

在宅勤務可能の障害者採用の求人数は決して多いわけではありません。ただ大手で専門性の高い仕事であれば、高収入がねらえる求人があります。例えば以下は外資系コンサルタント会社の障害者雇用・正社員求人です。

月給が37.5~62.5万円(年収500~850万円:ボーナス込み)であり、高給の求人です。この求人は、経営企画やコンサルティングの実務経験が必要です。この求人の勤務条件は以下の通りです。

フルリモートでの在宅勤務も可能です。ただ、経営企画や実務で経営指導の経験がなければ応募できないため、応募するための条件をクリアするにはハードルが高いです。

このように高い専門性や実務経験が豊富であれば在宅勤務でも、障害者雇用であれば高収入がねらえる求人があります。このため高収入をねらうからといって、必ずしも障害者でも心身に負担の大きいハードな働き方を強いられるわけではありません。

このように通勤が困難だったり、地方在住でも専門性やスキルが高かったりする障害者は、ハイクラス求人で転職を成功させましょう。

まとめ

このように障害者雇用にも、一般枠と同じように高収入の求人はあります。ただ、高収入で就職や転職をしようとするとき、障害者でも実務実績と高いスキルが求められます。このとき、障害者雇用求人でもっとも求められるスキルは管理力と即戦力です。つまり即戦力になりうるチームリーダです。

また、英語力が求められるハイクラス求人が多いです。このときビジネスでも通用する英語力がある障害者は、障害者雇用でも高収入が多い外資系企業を中心に求人選びをしましょう。
また、障害者雇用のハイクラス求人に多いのは専門性の高い職種です。ただ障害者雇用であれば、必ずしも実務や専門性を必要とはしない求人があります。それは、全体的に給与レベルが高い大手の会社や外資系企業です。こうした会社では、一般の事務でも高収入求人があります。

このように障害者がハイクラス求人で転職するためには、英語力などのスキルや専門性など自分がどのような点で強みが発揮できるのかを一度整理してみましょう。また、スキルに自信がない場合は好待遇で転職できるチャンスを逃さないように、転職サイトを活用して情報収集をしましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。