働くことや学校では、一緒に協力することが大切だとよく言われます。でも、発達障害を持っている人は、どうやってうまくやればいいのか、わからないことがたくさんあります。そして、うっかり誰かを怒らせてしまったりして、友達から離れてしまうこともあるでしょう。
でも大丈夫です。仕事を見つけたり、新しい職場に行くときは、その職場で以前に発達障害者を雇っていたり、配慮を大切にしているかどうかを見てみましょう。そうすることで、ぴったりの仕事を見つけて、安心して働くことができるようになります。
だから、発達障害を持つ人がどうやって良い求人を見つけられるか、どうやって転職するかを説明していきます。
もくじ
発達障害でも就職転職できるのか?
発達障害を持つ人は、その特性から、いろいろな場面で苦労することがあります。周りとうまく調和できないことや、誤解や中傷で傷ついたことが少なからずあるかもしれません。健常な人には、あなたの辛い経験を理解するのは難しいでしょう。
でも大丈夫です。発達障害者のためには、法律的なサポートや特別な配慮、そして就職のサポートがたくさんあります。
普通の人が仕事を見つけたり転職するときは、実績や経験、やる気をアピールして、内定をもらいます。でも発達障害者の場合、違う点に注意を払う必要があります。それは、自分の発達障害について率直に伝えることです。
最初はデメリットに感じるかもしれませんが、あなたが得意なことやできることをアピールすることで、問題ありません。そして、発達障害者が使える法律や支援制度を学び、企業の中から自分に合った就職先を見つけることも大切です。
発達障害でも求人は意外に多い
それでは、発達障害の人はどのような仕事を選べるのでしょうか。発達障害者のために用意された働くための仕組みは、障害者枠で採用されるか、一般の人と同じく一般枠で採用されるかということです。
今は法律が整備されてきて、大きな企業を中心に、一定数の障害者を採用しないといけないという決まりができています。また、「特例子会社」という、障害者のための会社を作って採用している企業も増えています。だから、発達障害者が働く場所を選ぶ選択肢は、どんどん増えてきています。
たとえば、こんな例があります。障害者向けの求人を扱っているウェブサイトの検索画面です。
たくさんの仕事の中で、特に自閉スペクトラム症(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)という障害を持つ人向けの求人を探してみました。
その結果は、次のようになりました。
発達障害を持つ人に特定の条件を絞ってみると、なんと137件もの求人が見つかりました。
発達障害者向けの仕事は、たくさんあるわけではありません。しかし、大きな企業を中心に素晴らしい企業で働くことを考えるなら、これらの企業は中小企業や零細企業と違って、障害者のための特別な枠組みをたくさん用意しているので、有利です。
たとえば、これは大企業の特例子会社の求人の例です。
仕事の種類は、オフィスのお手伝いや簡単な作業、お掃除などのお手伝いです。
特例子会社の中には、考え方を変えて進化し、親会社の大事な仕事の一部を担うまで成長した例もあります。発達障害の特性を活かせる企業は、未来の競争で成功する可能性を高めるチャンスがあると言えます。
発達障害者を大切に考えて、適切な支援を提供する企業が増えているので、安心して働ける職場が増えています。
就業に際し、発達障害者が受けられる配慮と支援
発達障害を持つ人が働く時、一番心配なのは、仕事の中で配慮や支援をきちんと受けられるかどうかです。どうやって、安心して働ける会社を見つけることができるでしょうか。
この時、その会社が発達障害者のことをちゃんと考えているかどうかを知るために、以下のことを調べてみましょう。
- 発達障害者の雇用実績がある
- 具体的な配慮を明らかにしている
たとえば、発達障害者の人が働いている実績がある、下記の有名な外国の会社の求人を見てみましょう。そこで、どのような配慮がされているか、具体的なことを確認してみましょう。
「電話への配慮」「業務スピードの緩急」について、配慮がなされていることがわかります。
発達障害を持つ多くの人は、電話の音や電話対応が苦手で、仕事の速さについていくのが難しいことがあります。そういう人にとって、特別な配慮があると安心できるんです。
最初の会社に入ったばかりのとき、上司に「お願いがあるんです」と言うのは、かなり勇気がいることです。でも、求人広告でそのような配慮がちゃんと書かれていれば、心強いです。
他にも、仕事場に仕切りを置いてもらったり、リラックスできる部屋を用意してもらったり、ひとりひとりの特性に合った工夫がされています。そうして、自分に合った環境で集中できるようにしてもらっています。
こうした方法で、発達障害を持つ人が働く環境が整ってきています。だから、安心して働ける場所が増えているんです。
発達障害だからこそ向いている仕事
では、発達障害を持つ人にはどんな仕事が合っているのでしょうか。自分に合った会社を見つけることが大事です。
発達障害者と言っても、人それぞれの特性が違うので、その特性に合った仕事を見つけることが大切です。有名な企業や安定した会社だからと言って、適性に合わない仕事を選ぶと、つらくなることがあります。つまり、心が傷むことになってしまうんです。
自分の特性をよく知り、どんな仕事が合っているかを注意深く選ぶ必要があります。そこで、それぞれの特性に合った仕事を考えてみましょう。
注意欠陥・多動性障害(ADHD)で高い専門性を発揮する
注意欠陥多動性障害(ADHD)の特徴は以下になります。
- 創造性、好奇心、感性が豊か
- 奇抜なアイディアや発想が得意
- 自分の得意分野に集中する力に優れている
- 決断や物事の取り組みが早い
こうした特性を踏まえた適職のひとつが、営業職です。ここでは、大手総合電機メーカーのグループ会社の求人を見てみます。
営業職というのは、「ノルマ」とか「お客さんにお願いして回る仕事」というイメージが強くて、これまで全くやったことがない人には、ちょっと遠慮されがちです。
でも、実は営業職の目的はとてもシンプルです。「外に出て、会社の商品やサービスを説明して、売り上げを上げること」なんです。
事務職のにょうに社内のオフィスで細かい人間関係で疲弊しがちな発達障害者は、周囲のわずらわしさにとらわれないメリットがあります。
また、ADHDの人は、細かい事務作業や同時にいくつものことをすることが苦手です。だから、一つのことに熱中して頑張れる仕事が向いています。周りと公平に競い合って成果を出せるので、評価が高く、お金もたくさんもらえる可能性があります。たとえば、同じ会社で働く仲間と競争して、上手に成績を上げれば、自信もついてきます。
ADHDの人は、元気でエネルギッシュな人が多いので、未経験でもチャレンジしてほしい仕事の一つが営業職です。
次に、ADHDの人は自分の好きなことに没頭する能力が高い特徴があります。もしあなたが専門的なスキルを身につけたいと考えているなら、SEプログラマやITエンジニアといったコンピュータ関係の仕事もおすすめです。ADHDの人は、一つのことに集中して取り組むことが得意なので、スキルを伸ばすのに向いている職業と言えます。
ただし、専門的なスキルがない状態からプログラマなどの仕事に転職するのは難しいかもしれません。ここで、ITの仕事の求人を載せている転職サイトを見てみましょう。
これは、ADHDの人が応募できる、経験がなくてもいい仕事の求人です。最初に書かれている会社の説明文には、発達障害者に気を使った配慮が詳しく書かれているので、安心できます。
経験がないけれど、発達障害者の人でも、こうした素晴らしい会社で、専門的なスキルを学びながら働くことができるんです。どちらにせよ、得意なスキルを活かせる職業が向いています。
自閉スペクトラム症(ASD)で集中力を発揮する
自閉スペクトラム症の方は、ADHDと同様に集中力を発揮するのが特徴です。自閉スペクトラム症は、ADHDよりもこだわりが強い分、さらに集中力、没頭する力が強いと言われています。適職といわれているのは例えば以下です。
- プログラマー
- 工場での製品管理やラインなどの作業
- 書籍などの校閲、校正
- 清掃業務
同じことを繰り返す仕事は、ちょっと敬遠されがちです。でも、自分のこだわりや興味がピッタリ合えば、大きな得意なことになるんです。
だから、プログラマーなどの仕事は向いています。ただし、中にはこだわりが強すぎて、難しい知識やスキルを学ぶのが苦手で、専門的な仕事には向かない人もいます。シンプルな作業を黙々とこなすのが得意な人たちです。
そんな人に向いているのが、例えば以下のようなシステムキッチンを作る会社での繰り返しの仕事です。
自閉スペクトラム症の人は、こだわりが強いから、同じことに集中することが得意なんです。だから、繰り返しの作業があるライン作業が向いています。ライン作業は、特別な知識や技術はいらない仕事だから、お給料はあまり高くないです。でも、ちゃんと頑張って働くと、正社員になることもできる制度があるんです。自閉スペクトラム症の人特有の、細かく丁寧に作業に取り組む特性を活かせば、正社員になることもできるかもしれません。
このような仕事は、他にも清掃作業員や、マニュアル通りに行う事務の仕事もあります。だから、大きな企業や特別な子会社が求人を出していることが多いです。
学習障害(LD)は障害への配慮を受けながら働く
学習障害の場合、エクセルなどを使った計算やデータ入力など、単純な作業が向いています。能力がバラバラで、直感的な理解や目で見る力が得意な反面、言葉や文章を理解したり、推測するのが難しいことがあります。たとえば、以下の求人は、外資系の会社の人をサポートする仕事の求人です。
学習障害者の人が働いている例があります。求人は事務の仕事で、データ入力などのシンプルな作業なら、学習障害があっても問題なく働けるんです。それに、働く時間や残業の時間、作業の速さなど、障害者に合わせた配慮がされています。しかも、オンラインで職場の雰囲気を見ることができるから、どんな感じかも知ることができます。
学習障害の人は、目で見ることで大まかな内容を理解するのが得意なことがあります。だから、適した仕事は単純な作業に限らないんです。今では、アプリやソフトウェアなどを使うことで、能力をサポートするツールもたくさんあるから、仕事の選択肢を広げることもできるでしょう。
発達障害が避けるべき仕事がある
発達障害者は、能力にムラがあることが多く、一般の人よりも大きな差が出ることがあります。だから、人と一緒にいると、浮いてしまったりすることがよくあります。「普通の人が当たり前にできることが、なぜ自分だけできないんだろう」と自分に自信を持ちにくくなることもあって、心が疲れてしまうこともあります。だから、どんな仕事を選ぶかはよく考える必要があります。
発達障害者は、得意なことではすごい才能を発揮します。その代わり、普通の人にはできることでも、彼らには難しいことが多いです。
たとえば、ADHDの場合、ミスや失敗、不適切な行動や言葉が多いことがあります。だから、慎重な作業が必要な事務仕事や、商品のチェックや品質管理をする仕事、そして同じお客さんに何度もアプローチする営業も向いていないことがあります。例えば、以下は大きなメーカーの子会社で求人を出している障害者向けの仕事の例です
システム管理の仕事があります。ADHDの人も働いている大きな会社で、お給料は年に500万円ももらえるかもしれません。とても魅力的な求人ですが、絶対にミスをしてはいけない品質管理の仕事で、ちょっと不注意なADHDの人には合わないかもしれません。
別の例では、自閉スペクトラム症の人の場合、人の感じる気持ちや相手の状況を理解したり、他の人と感情を共有することが得意ではないことがあります。そのため、お客さんと接する仕事やお客さんに商品を売る営業の仕事はあまり向いていないと言われています。たとえば、以下は大きな自動車メーカーが出している、障害者向けの営業の求人の例です。
ASDの人が働いている大きな会社がありますが、人とのコミュニケーションが大切な法人営業の仕事で、ちょっと合わないかもしれません。
学習障害の人の場合、大まかな内容は目で理解するのが得意な反面、細かいところに気が回らなくなることがあります。だから、正確さや細かさが求められる事務仕事や商品のチェックなどは向いていないことがあります。
発達障害者の人たちも、一人一人の特性が違います。残念ながら、発達障害者は普通の人が簡単にできることが難しいことが多いです。だから、得意なことに特化している場合が多いんです。
発達障害者の人は、自分が得意なことや苦手なことをよく考えてみると良いです。苦手な仕事は避けて、得意な分野で活躍する道を探しましょう。
専門職で就職転職するメリット
避けるべき仕事がある一方で、おすすめなのは専門職です。発達障害者が専門職の仕事をすると、一つのことに集中して取り組む得意な能力が活かせます。
自分の好きなことや得意な分野に集中すると、素晴らしい成果を上げやすくなります。発達障害者は、気がつくと時間を忘れるほど、すごい集中力を出すことが得意なんです。
たとえば、どんなことでも熱中して学びたい人なら、研究開発の仕事を考えてみるのもいいでしょう。以下のような求人は、発達障害者の得意な研究分野で、集中力を活かすことができる求人の例です。
特許を申請するなどの資格を持っている人や、研究開発の経験がある人を中心に採用する求人です。大きな薬の会社で、職場での気遣いや待遇の面で、ずっと長く働ける魅力的な仕事です。
専門職の仕事は、普通の人よりもお給料が高いことが多いです。高い収入を得るために、自分のスペシャルなスキルを伸ばしながら、成長できる会社を見つけるのがおすすめです。
発達障害が就職転職を成功させるためには
発達障害の人は、他の人との関わりや言葉の理解が難しいことが多いので、仕事探しで困ることがあります。でも、自分の思った通りに行動する力や、集中する力が強い特性があります。だから、営業職やエンジニア、研究者、翻訳などが向いているんです。
他にも、事務のお手伝いや軽作業もおすすめです。発達障害の人は、特性に合わせて働ける場所がたくさんあるんです。自分に合った仕事を考えるときに大切なのは、自分の特性をよく知って、どの仕事が自分に合っているかを考えること。
知識や経験があれば、専門職の仕事でお金をたくさん稼ぐこともできます。自分や同僚がスムーズに働けるように、職場で必要な支援や配慮をしっかり伝えることも大事です。
障害者向けの求人サイトには、さまざまな仕事が載っているので、自分にぴったりの求人を見つけて応募しましょう。
障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。
一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。
ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。
これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。