ADHDの中でも社交性やコミュニケーション能力を持った人は、障害者雇用で営業職の求人を目指した方がいい場合があります。営業職の求人には、ADHDの特性が活かせるものも少なくないからです。

一般的に営業職の求人は人気がありません。ノルマのプレッシャーや顧客とのお付き合いなど、ストレスフルなイメージが付きまといがちだからです。こうした一面があることは否定できませんが、障害に配慮があったり、過集中が発揮できる条件下では健常者に負けない成果があげられることもあります。

そこで、こうした適職といえる求人に出会えるためにはどのような求人があるのか、どのようにして就職や転職活動を成功させることができるのかを以下で詳しくみていきます。

ADHDの特性に適した営業職求人の種類と仕事とは

ADHDの人の中には、前述の通り人並み以上にコミュニケーション能力や社交性がある人がいます。その理由は外部刺激を対人関係に求め、多動性と衝動性を発揮して対人力が高い場合があるからです。こうした人であれば、営業職の求人を目指すことも可能です。

ADHDの優れた能力を営業職で活かせると考えられる特性として、以下のようなものがあります。

  • 創造性とアイデアの豊富さ
  • 過集中
  • ハイパフォーマンス

ADHDの特性は個人によって異なりますが、営業職において優れたパフォーマンスを発揮する可能性があります。そこで以下では、それぞれの特性についてみていきます。

多角的な視点で生み出す創造性とアイデアの豊富さを活かす

ADHDの人は、通常よりも多くの創造性やアイデアを思いつく傾向があります。これは、営業職において新しいアプローチや戦略を考え出す際に役立ちます。

以下に挙げるような条件が揃った営業職の求人が、ADHDの人にとって特に適していると考えられます。

  • 自由度が高いる求人
  • クリエイティブな業界者製品を扱う求人
  • 経歴や学歴よりも能力重視の採用を行っている求人

営業職の中でも自由度が高く、柔軟性が求められる求人はADHDの人に適しているといえます。

一方でADHDの人は、チームワークや細かい手順など自由度が低い作業を求められるとその長所を発揮できません。周囲の動向や些細な作業ばかりに注意が奪われて目的を失い、肝心の成果や生産性をおろそかにしてしまいがちだからです。

このため新しいビジネスモデルや営業戦略を考えたり、クライアントとコミュニケーションを取りながら最適な課題を解決する方法を提供する営業職が適しています。

例えば以下は、大手IT会社の障害者採用・正社員求人です。

法人顧客に対するセールスの求人です。顧客が抱える経営の課題や問題をITによって解決するために提案・セールスを行います。この求人の応募資格は以下の通りです。

高い専門知識や高い学歴は不要です。ただ、コミュニケーション能力は人並みに求められます。この求人に記載されている通り、営業では自社の強みを活かして様々な観点から提案を行います。そうして顧客が気づいていなかったような切り口で問題解決の提案を行い、契約を獲得する手腕が必要です。

このとき拡散思考と呼ばれるADHDの特性が有利です。様々な思考を組み合わせることで、常識にとらわれないアイデアを提案できることがあるからです。ADHDの人は実践的なアイデアが得意なので、クライアントとの話し合いの中でこうした提案することで喜ばれることもあります。

また、この求人のように学歴よりも能力や実績を重視する採用を行っているときは、ADHDの人にとってチャンスとなることがあります。ADHDの人は人物、人柄など評価者の主観によるところが大きく、基準があいまいな評価である求人は不公平を感じやすいです。

これはチームワークが苦手な場合が多いADHDの人にとって、上司との関係に軋轢が生じたり、不当に低い評価を受けたりするおそれがあるからです。

このようにADHDの人が営業求人を選ぶときは、ADHDの特性を踏まえて自分の強みをしっかりと認識しましょう。そうして、実践的なアイデアで会社に貢献できる求人で就職・転職を成功させましょう。

過集中によって高い成果が出せることがある

ADHDの人は、集中力やタスクの完了能力が低いと言われていますが、興味を持ったことには非常に集中し、ハイパフォーマンスを発揮することがあります。これはADHDの人が「できること」と「できないこと」の差が大きいからです。つまり「できること」に目標を定めたら、すべての注意がその一点に向かいやすい傾向があります。

こうした特性は営業職において、ターゲットとなるクライアントが明確に設定されている場合に役立ちます。例えば以下はメーカーの障害者雇用・正社員求人です。

この求人ように固定のクライアントに営業をかけて成果を上げる方法を、ルート営業といいます。ルート営業であれば、クライアントが絞られているため、自分の持つ知識やスキルを最大限集中して提案することができます。つまり新規開拓と違ってクライアントの志向が把握てきているため、実用的な提案ができるのです。

このようにADHDの人は、自分の持つビジネススキルなどのリソースを集中できる求人で就職や転職を成功させましょう。

エネルギッシュで社交的な特性を活かす求人

ADHDの衝動性は、外部へ刺激を求める特性に由来します。ADHDの人の中には、この特性によって人と関わることによって刺激を求めるため、エネルギッシュにコミュニケーションを取る傾向がある人がいます。こうしたADHDの人は、営業職に適しています。

ただ、こうした人は継続的な人間関係を構築するのが苦手です。人間関係のバランスに注意を払いづらい側面もあるためです。距離感がつかめず、相手から距離を置かれることがあります。こうした人は前述のルート営業よりも、短期集中で成果を上げるために新規開拓をエネルギッシュに行う求人が適しています。

例えば以下は、アプリ開発会社の障害者雇用・正社員求人です。

自社サービスの導入を提案する、新規開拓営業の求人です。担当エリア内のタクシー会社へセールスして回ります。新規開拓営業は断られることが前提なので、数多くの会社を回って1件でも多くの受注を獲得することが重要です。

またこの求人のようなIT業界では、常に新しい技術やサービスが生み出されており、多角的な視点が求められます。ADHDの人は、新しいアイデアやアプローチを生み出すことができるため、こうした営業の分野で活躍することができます。

このようにADHDの人の中には、エネルギッシュに動き回る営業スタイルが適している人がいます。こうした自分の強みや特性を十分理解したうえで、就職や転職活動を行うようにしましょう。

成果主義の求人でハイパフォーマンスを発揮する

ADHDの人は、成果に対する報酬に対してモチベーションを発揮しやすい特性があります。この報酬は相手からの好意的な反応や金銭的報酬のことを指します。

これはADHDの特性が、外部刺激に敏感なためです。商品の成約に結び付けた場合の社内の賞賛や個人への成果報酬に対して、普通の人以上にやりがいと喜びを感じます。

例えば以下は、中古車販売会社の障害者雇用・正社員求人です。

来店客に対する車のセールスの求人です。商品の成約ごとに報酬、つまりインセンティブが発生します。

こうした求人は、障害者雇用の中でも営業職求人であれば普通です。障害に関係なく成果を競い合うからです。。ADHDの人々は、刺激を求める傾向があるため、目標を設定して挑戦することに魅力を感じます。

仕事に報酬などの見返りを求めることに対して、心理的に抵抗を感じる人は多いです。ただ、ADHDの特性には「報酬に敏感である」という一面があることをきちんと理解しておきましょう。そうして、その特性を強みとして捉え、成果が発揮できる場合があることを理解して求人選びをしましょう。

ADHDの特性をカバーできる営業職の求人

ADHDの人の特性を営業職求人の強みとしてみてきましたが、一方で、特性によるデメリットもあります。ADHDの特性は「できること」と「できないこと」の差が大きいことが特徴です。このため「できること」だけに注目して求人を探しても、「できないこと」が長所の足を引っ張って、仕事がスムーズに進まないことがあるからです。

そこでデメリットをカバーしたうえで、営業職で活躍できる求人を、以下で詳しくみていきます。

働き方の自由度が高い営業職の在宅求人

営業職を希望するADHDの人の中には、在宅勤務の選択肢が比較的多いです。障害者の働き方への配慮として、在宅勤務制度がある求人が多いからです。

在宅勤務であれば、外部の刺激に敏感すぎて職場で注意が散漫になりがちなADHDの人にとっては、働きやすい環境で仕事ができます。

例えば以下はIT系会社の障害者雇用・正社員求人です。

マーケティングツールの販売の求人です。マーケティングの課題に関心がある法人に対して、自社ツールをセールスすることが仕事です。セールスといってもデジタルベースの仕事であるため、在宅勤務が可能です。

こうした求人は専門性や高いスキルが求められますが、IT系であれば営業職の求人であっても在宅勤務ができる場合が多いです。このようにADHDの持つ不利をカバーして営業職で活躍したいと考える発達障害者は、こうした在宅求人を選択肢に入れましょう。

セールストークに特化した電話セールスの求人

営業の形態は、見込み先に訪問してセールスすることだけではありません。見込み先となる個人や法人に電話でセールスする求人も存在します。ADHDの人で営業職を目指す人の中には、こうした形態の営業職に適している場合があります。電話だからこそ、熱意が伝えやすい場合があるからです。

ADHDの特性である注意力は、刺激が周囲に多い環境だと散漫になります。このとき訪問営業だと、複数人を相手にした商談が普通です。ADHDの一対一の対面では集中する相手が一人だけなので強みを発揮できますが、複数を相手にして話をするとき、他の人の表情や言動が気になって商談をうまく進められなかったりします。

こうしたとき、電話によるセールスであれば、電話口の相手一人に全集中できるため、コミュニケーション力や社交力など本来の持ち味を発揮できることがあります。また、手段は声だけであり、さらに集中力が高まります。

こうした電話セールスの求人は障害者雇用であっても多く存在します。例えば以下は、プラント事業や人材紹介事業を手掛ける会社の障害者雇用・正社員求人です。

法人向けの電話セールスの求人です。見込み先の担当者に電話して、自社サービスをセールスするのが仕事です。電話であれば商品やサービスの利点を声で伝え、雰囲気を変えながらアピールします。対面が苦手な人にとっては、セールスがしやすいです。

このように営業の求人は、接客や訪問ばかりではありません。対面は苦手であっても電話で話をすることが得意だと考えるADHDの人は、電話セールスの求人で、就職や転職先の選択肢を増やしましょう。

営業職求人の採用担当者が見るポイントとアピール方法

採用側が障害者雇用で営業職求人を募集する際には、一般枠の採用と同様に求職者のスキルや経験、適性、人物像などを見て判断します。ADHDの障害者である場合、採用側は以下のような点を見ます。

  • コミュニケーション能力
  • タスク管理能力
  • 粘り強さ

こうした特徴は障害者雇用であっても、営業職の求人では必須のスキルです。それぞれの特徴について、以下で詳しくみていきます。

過去の成果からコミュニケーション能力をアピールする

営業職の求人では、当然、顧客とのコミュニケーション能力が求められます。このときADHDの人であっても、社交性が高い場合があります。これはADHDの特性の内、外への刺激を求める特性が強い人がいるからです。

そこでADHDの特性として積極的にコミュニケーションを取り、顧客のニーズを把握することができることをアピールできる場合があります。

このとき採用面接では、過去にコミュニケーションにおいて問題を解決した経験や、困難な状況下で上手にコミュニケーションを取った例を具体的な実績を示すといいです。

また過去の営業実績や、顧客との交渉において成果を出した経験など、具体的な実績を示すことで、自分がどのようにコミュニケーション能力を発揮しているかをアピールすることができます。

例えば以下は、採用面接でコミュニケーション能力をアピールする時の自己PR例です。

私は、医療機器メーカーの営業職として、過去に顧客企業との契約更新交渉に臨んだことがあります。当時、顧客企業側は、当社の製品価格に対して疑問を抱いていました。しかし、私はそれをチャンスに変えることができました。

まず、顧客企業側が抱える課題や要望を詳しくヒアリングし、そのニーズに応える提案を考えました。そして、当社の製品の特長やメリットを詳しく説明し、価格を据え置く代わりに保守・点検の保証を付帯する事を提示しました。

その結果、顧客企業側は当社の製品に対する疑問を解消し、当社の製品を更新することを決定しました。また、今後の取引においても、当社製品に対する信頼度が高まり、顧客企業との信頼関係を構築することができました。

今後も、このようなスキルを活かし、顧客企業との信頼関係を築き、会社の業績向上に貢献していきたいと思っています。

このように、コミュニケーション能力を活かして営業活動の成果に結びつけた経験が、実績やスキルについての説得力を持ち、相手側に受け入れられやすくなります。

このように営業職の求人でスキルをアピールするとき、最も重要な要素がコミュニケーション能力です。この能力をアピールできるかどうかで、就職や転職で成功でできるかどうかが左右されるといっても過言ではありません。

このように営業職で就職や転職をしようとするADHDの人は、自身の特性と強みを踏まえつつコミュニケーション能力の成功体験をアピールして就職や転職を成功させましょう。

工夫と実践経験で自己管理能力をアピールする

ADHDの障害者は、時間管理やタスク管理などの課題がある場合があります。営業職では、自己管理能力が求められます。採用側は、求職者が自分のスケジュールを管理できるかどうかを見るかもしれません。

採用側にタスク管理について語る際には、これらのポイントを具体的に説明することが大切です。自分が実際にどのようにタスク管理を行っているか、どのように自分の時間を管理しているか、どのように優先順位をつけているか、などを具体的な例を挙げて説明することが有効です。

例えば以下は、採用面接などで自己管理能力をアピールするときの自己PR例です。

私はADHDですが、自己管理能力を高めるために様々な工夫をしています。例えば、毎日のタスクをTo Doリストにまとめ、優先順位をつけて取り組んでいます。さらに、スケジュール管理にも力を入れており、会議や面談などの予定をカレンダーに入力して常に把握しています。

また、集中力を高めるために、運動や瞑想を取り入れることでストレスを軽減し、効率的な業務を行っています。これらの取り組みにより、ADHDであることが業務に影響を与えることなく、仕事を成し遂げることができています。

このように自分がどのような方法でタスク管理を改善してきたか、今後どのような取り組みをしていくか、なども伝えることが必要です。こうした具体的なアプローチを通じて、採用側に自分がタスク管理を行うための具体的なスキルや能力をアピールすることができます。

ADHDであっても自己管理能力は営業職においては重要な要素の一つであるため、採用担当者にアピールすることが成功への近道となるでしょう。

粘り強さが成果につながった経験をアピールする

営業職は、顧客獲得や売上達成に向けて、粘り強さが求められます。ADHDの障害者は、短期的な集中力が課題になることがありますが、長期的に取り組むことができるかどうかを見られる可能性があります。

ADHDの人は短期的な刺激に敏感な傾向があります。ただ、その一方で自分自身が興味を持っていることに対しては、非常に熱心に取り組むことができます。このため自分自身が興味を持っている仕事に就くことで、長期的な目標に向けて努力を継続することができることを採用担当者に伝えましょう。

またADHDの人は、注意力が散漫になりやすく、ミスを犯しやすいという弱点があります。ただ、その一方で、困難に直面してもあきらめずに取り組む力があります。自分自身が困難に直面したときに、どのように乗り越えたか、どのようにして解決策を見つけたかなど、具体的な事例を採用担当者に伝えましょう。

例えば以下は、粘り強さをアピールするときの自己PRの例文です。

私はADHDであるという特性を持っていますが、それは私が物事に対して集中力を発揮するための方法として受け入れ、活用しています。

私は営業職で長年働いてきましたが、常に挑戦的な状況に直面し、それに対処するために集中力を発揮し、結果を出すために必要な努力を惜しみません。

私が自信を持って言えることは、一度目標を設定すると、それに向かって突き進むための粘り強さを持っていることです。私は目標の販売実績件数に達せず何度も壁にぶつかり、途中で諦めたいと思ったこともありましたが、その度に自分を奮い立たせ、目標を達成するために新しい戦略を立て、行動を起こしました。

私がADHDであることは、私がユニークな視点やアプローチを持っていることを意味し、時には周囲とは異なる視点を持ち出し、新しいアイデアを生み出すことができることを示しています。私は、この特性を営業職に活かし、目標を達成するために必要な努力を惜しみません。

このようにADHDの人は、エネルギッシュで、熱意や情熱を持って取り組むことができます。そのため、周囲の人たちにポジティブな影響を与えることができるというメリットがあります。

自分自身がどのような特性を活かしてポジティブなエネルギーを発揮できるか、採用担当者にアピールしましょう。

まとめ

ADHDの人のうち、特性の一つである多動性のために社交性やコミュニケーション能力に優れた人がいます。こうした人は、営業職の障害者雇用求人を選ぶことができます。
ADHDの人に適した求人の一つは、コンサルタントなど多角的な視点で生み出す創造性とアイデアの豊富さを活かせる求人です。

また報酬に敏感なため、成果主義の求人でハイパーフォーカスという過集中を発揮して高い成果が出せることがあります。他にも多動性によるエネルギッシュな特性が社交性につながるため、その特性を活かす求人も存在します。
そして成果主義の求人や、エネルギッシュな社交性を活かした新規開拓営業で、ハイパフォーマンスを発揮することも可能です。
ただ営業職の求人にはADHDの負の特性をカバーする必要もあります。こうしたとき、人や環境に刺激が多い場合は、集中力が発揮できるように在宅の営業職求人が存在します。他にも、電話セールスの求人のように一人の相手に声を使って集中して対応する求人もあります。

このような営業職の障害者雇用求人で採用側が重視するのはコミュニケーション能力です。他にも営業スキルに欠かせないタスク管理などの自己管理能力や営業マインドに欠かせない粘り強さです。

このように障害者雇用であっても営業職求人は多いです。ADHDには営業職に適した特性がいくつかあるため、こうした特性を活かして営業職求人で就職や転職を成功させましょう。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。