「転職したい」そう思ったとき、まず何から始めればいいか悩みますよね。特に障害者雇用での転職となると、一般の転職活動とは違う部分が多く、「何から手をつけたらいいんだろう…」と不安を感じる方もいるかもしれません。

実は、私も転職活動を始めた当初は同じように悩んでいました。ハローワークに行っても、希望に合う求人が見つからなかったり、面接で自分の障害についてどう伝えたらいいか分からなかったり。そんな時、「障害者向けの転職支援サービス」という存在を知り、私の転職活動は大きく前進したんです。

このブログでいつもお伝えしているように、障害者雇用で転職することは、障害への配慮や理解がある環境で働く上でとても大切です。そして、その転職を成功させるためには、今回ご紹介するような専門の支援サービスを賢く活用することが不可欠だと、私は自身の経験から強く感じています。

この記事では、障害者向け転職支援サービスの種類と内容、そして私自身が実践して効果があった「賢い選び方・活用方法」まで、初心者の方にも分かりやすく解説します。

障害者向けの転職支援サービスとは?

「支援サービス」と聞くと、なんだか大げさに聞こえるかもしれませんが、簡単に言えば「障害者雇用での転職活動をサポートしてくれる専門家」のことです。就職や転職に関する相談、求人情報の提供、面接対策、さらには入社後のサポートまで、多岐にわたる支援を受けられます。

どんな人が利用できる?利用条件や費用について

私の場合、利用する上で一番気になったのは「どんな人が使えるの?」「費用はかかるの?」という点でした。結論から言うと、原則として費用は一切かかりません。 ほとんどのサービスは国や自治体、企業から運営費が支払われているため、私たち利用者は無料で利用できます。

利用条件については、サービスによって異なりますが、基本的には「就職・転職を希望する障害者」であれば利用できます。障害者手帳の有無が条件となる場合もあるので、事前に確認しておきましょう。

支援サービスを利用する3つのメリット

私が実際にサービスを利用して感じた大きなメリットは、主にこの3つです。

  • 障害への深い理解がある専門家からサポートが受けられる
    • 転職エージェントの担当者は、私の障害特性や配慮してほしい点を丁寧にヒアリングしてくれました。「自分だけでは伝えきれない不安」も共有できたのは心強かったです。
    • 担当者は丁寧に話を聞いてくれて、こんなやり取りがありました。

      :「集中力が途切れやすいので、長時間勤務が心配です」
      担当者:「それなら、時短勤務や休憩を取りやすい職場を優先的に探してみましょう」

      自分だけでは伝えきれない不安を、具体的な求人条件に落とし込んでもらえたのは本当に心強かったです。

  • 障害者雇用に特化した非公開求人を紹介してもらえる
    • 一般の求人サイトには掲載されていない、障害者雇用に特化した求人を多く持っています。これにより、選択肢が格段に広がりました。
  • 面接対策や履歴書・職務経歴書の添削をしてもらえる
    • 担当者と一緒に面接の練習をしたり、履歴書の書き方をアドバイスしてもらったりしました。自分一人では気づけなかった改善点が見つかり、自信を持って本番に臨むことができました。
    • 担当者:「答えは良いですが、少し早口ですね。もう少しゆっくり話してみましょう」
      :「確かに緊張すると早くなってしまいます…」
    • 指摘を受けて練習を重ねたことで、面接本番も堂々と受け答えできました。

【目的別】障害者向け転職支援の種類と内容

一口に「支援サービス」と言っても、その内容はさまざまです。私が転職活動で知った主な支援サービスをご紹介します。

職業訓練(就労移行支援事業所など)

「すぐに働く自信がない」「スキルを身につけてから転職したい」という方におすすめなのが、就労移行支援事業所です。私自身、実際に利用はしませんでしたが、担当者に話を聞きに行ったことがあります。

そのとき、こんなやり取りがありました。

:「正直、今すぐ働くのは不安で…。ブランクもありますし、体調が安定しない日もあって」
担当者:「そういう方は多いですよ。ここでは、週に数日から通所を始めて、少しずつ生活リズムを整えたり、PCやビジネスマナーの訓練を受けたりできます」
:「通所のペースも調整できるんですか?」
担当者:「はい。最初は午前中だけでも大丈夫です。続ける中で少しずつ働く感覚を取り戻せるようにサポートします」

話を聞きながら、「いきなりフルタイムで働く必要はないんだ」と安心したのを覚えています。結局私は転職エージェントを中心に進めましたが、「もし準備期間がもっと必要だったら、就労移行を利用していただろうな」と思えるほど心強い選択肢でした。

就労移行支援事業所では、PCスキルやコミュニケーション能力など働くために必要な基礎を学べますし、何より「少しずつステップを踏める環境」があるのが特徴です。今すぐ就職に踏み切れない方にとっては、非常に有効な準備の場になるでしょう。

就職相談・求人紹介(ハローワーク、転職エージェントなど)

これは、私が最もお世話になったサービスです。障害者雇用での求人を探す上で、外せない2つのサービスをご紹介します。

ハローワークと転職エージェントの違い

私は以前、営業マンとして働いていました。

ただ、長時間労働や人間関係のストレスで体調を崩し、「このままでは続けられない」と感じて退職しました。退職直後は本当に不安で、「自分に合う仕事なんてあるのだろうか」と毎日のように考えていました。

以下は私が勤めていた会社の営業マンの様子です。

そんな中で利用したのが ハローワーク転職エージェント です。両方を並行して使ったことが、私が今の 障害者雇用のエンジニアとしてメーカー勤務 につながった一番大きな要因でした。

ハローワークを使ったときの体験

窓口では、地元の求人をたくさん紹介してもらえました。特に中小企業や役所関連など、安定した勤務時間の仕事が多く、生活を立て直すには魅力的に見えました。

:「実は、エンジニアに挑戦したいんですが…」
相談員:「そうですね、まずは資格を取ってみてはどうでしょうか」

安定した求人を紹介してくれる安心感はありましたが、専門的なキャリア相談には物足りなさを感じました。
「このままでは、自分のやりたい方向には進めないかもしれない」――そう思ったのが、転職エージェントを併用するきっかけになりました。

転職エージェントを使ったときの体験

エージェントでは、障害者雇用に特化したキャリアアドバイザーが担当してくれました。

担当者:「会社員時代に培った“数字に強い”という強みは、エンジニア職のデータ分析や改善業務に活かせますよ」
:「なるほど、自分では結びつけられませんでした…!」

一緒に整理する中で、自分の経験が新しいキャリアにつながる実感が湧きました。

さらに、非公開求人として大手メーカーのエンジニア職を紹介されました。自分一人で求人を探していたら、絶対に出会えなかったチャンスです。

面接前には、
担当者:「障害については、“できないこと”より“工夫していること”を伝えると好印象になります」
と具体的にアドバイスをもらい、何度もシミュレーションを重ねたことで、安心して本番に臨めました。

私が実際にやった「二刀流の作業手順」

まずハローワークに登録
退職後すぐに近くのハローワークに行き、求職登録をしました。失業給付の手続きも同時に行い、求人票を毎週チェック。地元の求人を把握するには最適でした。

同時に転職エージェントに複数登録
大手と障害者雇用に特化したエージェントの両方に登録しました。
:「エージェントごとにこんなに求人が違うんですね」
担当者:「非公開の案件も多いので、複数登録しておくのが一番ですよ」
複数登録が必須だと実感しました。

平日はハローワーク、夜はエージェント面談
平日はハローワークに通って地元求人を確認し、夜や土日はエージェントとオンライン面談。二つを同時進行させることで、「求人がない」という焦りから「選択肢が増えていく」安心感に変わりました。

エージェントの模擬面接で自信をつける
書類選考を通過したら、必ずエージェントに面接練習をお願いしました。
担当者:「志望動機は、もう少し“自分の強み”を具体的に入れましょう」
指摘を受けて修正を重ねたおかげで、本番では緊張しながらも落ち着いて答えることができました。

不安だからこそ「二刀流」で

退職した直後は「自分なんてもう働けないのでは」と何度も思いました。
けれど、ハローワークで安心感を得ながら、転職エージェントで新しい可能性を探す ― この二刀流を選んだからこそ、私は営業マンからエンジニアへの大きなキャリアチェンジに成功できました。

同じように不安を抱えている方にこそ、この方法を試してほしいと思います。

職場定着支援(ジョブコーチ支援など)

無事に転職先が決まっても、「本当に長く働けるだろうか…」という不安は消えません。私もそうでした。転職はゴールではなく、ここからが本当のスタートです。

そんな時に心強いのが、入社後の障害者に対するサポートです。ジョブコーチ支援では、職場にジョブコーチが訪問し、働き始めたあなたの悩みや課題を一緒に解決してくれます。

:「仕事の進め方でつまずいた時、誰に相談すればいいか迷います…」
ジョブコーチ:「まずは私が一緒に状況を整理して、職場と調整します。あなた一人で抱え込む必要はありません」

こうしたサポートのおかげで、困った時にすぐ相談できる環境が整い、安心して仕事を続けられるようになりました。

転職は「新しい環境に飛び込むこと」だけでは終わりません。入社後の定着支援を活用してこそ、あなたのキャリアは本当に前に進みます。転職後のサポートこそ、成功の鍵なのです。

自分に合った転職支援機関の選び方

転職支援機関は一つではありません。私自身も「どれを選べばいいのか…」と最初はかなり迷いました。そこで、私が実際に調べて使った経験をもとに、タイプごとの特徴を紹介します。

タイプ①:じっくりとスキルアップしたい人

就労移行支援事業所

  • 就職に必要なスキルを時間をかけて身につけられる。

  • PCスキルやビジネスマナー、職場実習などを通して社会復帰の準備ができる。

体験の例
私の知人は、すぐに働くのは難しかったため、まず就労移行支援で半年かけて「毎日通う習慣」と「Excelスキル」を磨きました。その結果、自信を持って就活を始められたと言っていました。

タイプ②:すぐに転職活動を始めたい人

転職エージェント

  • すぐに求人紹介を受けられる。

  • 履歴書・職務経歴書の添削や面接対策など、短期集中のサポートがある。

私の体験
私は「早く仕事を見つけたい」と思っていたので、転職エージェントに登録しました。営業マンからエンジニアに転職するときも、エージェント経由で非公開求人を紹介してもらい、面接練習まで徹底的にサポートしてもらえたのが大きな力になりました。

タイプ③:入社後も手厚いサポートを受けたい人

就職・生活相談機関

  • 入社後も定期的に相談できる。

  • 職場で困ったときに調整役になってくれる。

体験の例
私の場合は利用しませんでしたが、知人は入社後に「上司との関係がうまくいかない」と悩んだとき、相談機関の担当者が間に入ってくれて助かったそうです。長く安定して働きたい人には心強い存在だと思います。

複数サービスを併用するメリット

私が転職活動で一番効果があったのは、複数のサービスを同時に使ったこと です。

  • ハローワーク → 地元や安定求人を確認

  • 転職エージェント → 大手や非公開求人に挑戦

エージェントによって得意な業界や紹介求人が違うので、複数登録したことで選択肢が一気に広がりました。また、担当者ごとにアドバイスの角度が違うので、「自分に合う考え方」を選べたのも良かったです。

支援機関の担当者と信頼関係を築くコツ

私は転職活動の途中で「希望条件をうまく伝えられず、ミスマッチの求人を紹介される」という失敗をしました。そこで学んだのは、担当者に正直に話すことこまめに連絡を取ること の大切さです。

  • 障害特性や働き方の希望を包み隠さず伝える

  • 応募した感想や不安は小さなことでも共有する

こうすることで、担当者も「この人にはこういう求人が合いそうだ」と精度の高いサポートをしてくれるようになりました。

まとめ:あなたの転職成功は、適切な支援選びから始まる

転職は一人で抱え込むと、とても不安になります。
私自身も退職後は「本当に次の仕事が見つかるのか」と毎日焦っていました。ですが、ハローワークと転職エージェントを併用し、担当者と信頼関係を築くこと で、営業マンからメーカー勤務のエンジニアへとキャリアチェンジすることができました。

あなたの「いまの状況」や「これからの希望」に合わせて、最適な支援機関は必ずあります。この記事が、その一歩を踏み出すきっかけになれば嬉しいです。
あなたの転職活動が実りあるものになるよう、心から応援しています。


障害者が就職・転職するとき、求人を探すときにほとんどの人は転職サイトを活用します。転職サイトを利用しないで自力で求人を探すと、希望の条件の求人を探す作業だけでなく、細かい障害への配慮や労働条件の交渉もすべて自分でやらなければなりません。

一方で転職サイトに登録して、転職エージェントから求人を紹介してもらうと、非公開求人に出会うことができます。また、障害者特有の事情説明や交渉もあなたの代わりに行ってくれます。

ただし、転職サイトによって特徴が異なります。例えば「障害に応じた求人情報が多いか、少ないか」「転職エージェントが障害の特性に理解があるか」「転職後のフォローが手厚いか」などの違いがあります。

これらを理解したうえで転職サイトを活用するようにしましょう。そこで、以下のページで転職サイトの特徴を解説しています。それぞれの転職サイトの違いを認識して活用することで、転職での失敗を防ぐことができます。